「フリーきっぷ」とは何か?という明確な定義はないと思いますが、
ここでは一定の区間内なら何度でも乗降が自由なきっぷを
「フリーきっぷ」と呼ぶことにします。
以下、何度でも乗降が自由な区間を「フリー区間」と書きます。
フリーきっぷは大きく2種類に分けられます。
参考までに、JR東日本では、前者を「○○パス」、 後者を「○○フリーきっぷ」という名前に統一しました(が、 歴史的経緯から例外もあります)。
このページでは取り上げていませんが、「青春18きっぷ」もフリーきっぷの一種ですよね。 フリー区間が広いので(日本全国!)、 ある距離を超えれば単純往復だろうと片道だろうと、 かんたんにもとがとれてしまうわけです。
フリーきっぷは「何度でも乗り降り自由」というところが売り物なので、
本来はフリー区間で何度も乗り降りすることを想定しています。
が、きっぷによっては単純往復でももとがとれることがあります。
フリー区間の区間の端から端まで乗るようなときにはその可能性が大です。
ただし、中には何度も乗り降りしないと絶対にもとがとれないきっぷもあります。
フリー区間が自分の目的地まで届かないこともあります。
たとえば、横浜から宇都宮に行きたいのに、
フリー区間がその手前の小山までになっている、などという場合です。
こういう場合、そのフリーきっぷをあきらめるのではなく、
足りない部分を買い足すことで、
通常よりずいぶん安くなることがけっこうあります。
あきらめることはありません。
ただ、「フリー区間は特急列車に乗り放題」というきっぷで、 特急列車に乗ったままフリー区間をはみ出すと、 はみ出した区間の乗車券と特急券を買い足すことになり、 短距離でもけっこういい値段になってしまう傾向があります。
フリーきっぷには、
「学割証を提出すれば2割引」といった学割の設定はまずありません。
が、「学生(あるいは若者)限定」というきっぷはしばしば出ています。
そういう商品はけっこう安いのがふつうです。
また、最近は「大人18000円、中高生9000円、小児3000円」などと、
若い人だけ極端に安いフリーきっぷもあります。
家族旅行のときには要チェックです。
いずれにせよ、学割の使える人が長距離の旅行をするときは、
「学割の通常価格」と「フリーきっぷ」を比較して、
それでもなお安いのかを考えましょう。
ほかに、利用対象を限定したフリーきっぷとしては 「女性限定」「お年寄り限定」などがあります。 こういったきっぷは「万人向け」より安いのがふつうですので、 使える人はぜひ活用しましょう。
その名のとおり、東京23区内のJR線に1日乗り放題のきっぷです。
23区内で発売している「都区内パス」は730円で、
JR6乗車で必ずもとがとれます。
このきっぷは東京23区内外の各駅でも買えます。
この場合、効力は「23区までは往復1回だけ、23区内は乗り放題」となり、
名前も変わって「都区内フリーきっぷ」になります。
もちろん往復ぶんは高くなりますが、もとをとるための条件はやや緩和され、
「都心まで往復」+「都心で2乗車」程度でOKです。
単純往復でもとをとるには、フリー区間を端までたっぷり利用する必要があります。 たとえば横浜〜葛西臨海公園、柏〜中野、大宮〜蒲田など。
東京都心のJR、地下鉄(営団、都営)、都営バスが乗り放題という便利なきっぷ。
これ1枚あれば、都心での移動に困ることはまずないでしょう。
ただ、便利ですが1580円もします。
このきっぷでもとをとるのはかなり難しいでしょう。
「金に糸目はつけないから、とにかく1枚で何でも乗りたい」という人向けです。
横浜近辺(根岸線の横浜〜新杉田間)と、
横浜市営バスの「あかいくつバス」に自由に乗り降りできるきっぷです。
フリー区間に乗り放題のきっぷと、
発駅からフリー区間までの往復の乗車券がセットになっています。
発売額はおおむね「横浜までの往復運賃+100円程度」なので、
横浜への単純往復に使って得をすることはほとんどありません。
ただ、関内や石川町など、根岸線内への単純往復なら元が取れることがあります。
もちろん、「あかいくつバス」を利用する予定があれば、
このきっぷを使わない手はありません。
その名のとおり、鎌倉・江ノ島周辺が乗り放題のきっぷです。
JR(藤沢・大船・鎌倉間)のほか、江ノ電や湘南モノレールも乗り放題です。
大船から100kmを超える駅からは学割の設定もあります。
発駅から大船までの往復運賃に乗り放題分の運賃を加えた標準的な価格設定で、
鎌倉、藤沢から江ノ電に乗る、
あるいは大船からモノレールに乗るともとがとれます。
運がよければ、まれにJRの単純往復でももとがとれます。 たとえば南浦和・藤沢だと、通常2560円のところ、このきっぷだと2400円です。
23区内のJR線と東京臨海高速鉄道、
東京モノレール(浜松町・天王洲アイル間)が乗り放題のきっぷです。
2日間有効で、発駅からフリー区間までの往復の乗車券もついてきます。
このきっぷは東京から50km〜200km圏の駅で発売されています。
発売額は「東京までの往復運賃+10円」という例が多いので、
東京への単純往復では元が取れないものの、
東京より先までの単純往復(茅ヶ崎から上野まで、
熊谷から品川までなど)では元が取れることもあります。
また、往復運賃との差額はわずか10円なので、
東京に出て2カ所以上の目的地を転々とするようなときには確実に元が取れます。
また、通常運賃の高い東京臨海高速鉄道が乗り放題なので、
臨海副都心方面へ行く場合には単純往復でもかなり得です。
たとえば藤沢から国際展示場を往復する場合、
通常(大崎経由で)2280円かかるところ、このきっぷなら1910円で済みます。
土曜・休日は後述の「ホリデー・パス」のほうが安いこともあるので注意が必要です。
土曜・休日や長期休暇中に限り、首都圏近郊のJR線に乗り放題のきっぷです。
平塚、成田空港、木更津、成東、茂原、土浦、奥多摩、大月、
熊谷、小山といった範囲内が乗り降り自由で大人2300円、小児1150円。
JRのほか、東京モノレール、りんかい線にも乗れるようになりました。
東京からだと単純往復でもとをとるのはなかなか困難で、
熊谷、小山など、フリー区間の限界近くまで乗る必要があります。
が、東京をまたいで旅行すると楽にもとがとれます。
たとえば横浜からだと、千葉より少し先(蘇我、都賀)まで往復すれば、
それだけでもとがとれます。
成田や木更津まで足を延ばせば差額はかなりのものになります。
長期休暇中なら「青春18きっぷ」も1日あたり2300円と安いのですが、 「ホリデー・パス」は土曜・休日なら1年中、1枚単位で買えますし、 別に特急券を買えば特急やグリーン車にも乗れるところが便利です。 行き先や列車によって上手に使い分けましょう。
南伊豆(おおむね伊東駅以南)の電車・バスが乗り放題で、
フリー区間まで〔踊り子〕〔スーパービュー踊り子〕の普通車指定席が利用できます。
ねだんは東京都区内発で11400円。
〔スーパービュー踊り子〕で伊豆急下田まで往復すればもとがとれ、
これでバスの1本も利用すればお釣りがきます。
発駅から木更津もしくは茂原までの往復と、
その先の房総半島が3日間乗り放題のきっぷがセットで東京都区内から7500円。
特急の自由席に特急券なしで乗れるほか、
発駅からの往復に限り特急の指定席も追加料金なしで利用できます。
館山、千倉、安房鴨川といった「奥地」
まで普通車指定席で往復すれば単純往復でもとがとれます。
「三連休パス」は、 「JR東日本全線+函館まで+一部の鉄道会社」の特急(新幹線含む) ・急行の自由席に3日間乗り放題で、4列車までなら指定席も利用できます。 利用期間は特定の連続する3日間(主に3連休)に限られますが、 価格は大人26000円、中高生14000円、小児5000円。 グリーン車用もあり、こちらは大人30000円、小児9000円です。 乗車当日は売っていないので注意が必要です。
このほか、2日間有効の「土・日きっぷ」もあります。 「三連休パス」との相違点は以下のとおりです。 こちらも、週末のちょっとした旅行にはおすすめ。 子供用が安いので家族旅行には特におすすめです。
どちらも子供向けが極端に安いので、大人ではもとのとれない区間でも、
子供だけはこのきっぷを買っていくという手は大いにあり得ます。
たとえば東京から新幹線で宇都宮を往復するのに、
大人18000円の「土・日きっぷ」はどう考えても高すぎますが、
小学生ならかんたんにもとがとれてしまいます。
計画を早めに立てれば、子連れの旅行は非常に安く済みます。
このような広域にわたる乗り放題きっぷは、
使いようによっては通常よりかなり安く旅行することが可能になります。
たとえば東京〜盛岡を往復する場合、
新幹線指定席での往復には大人で27680円かかりますが、
「三連休パス」は26000円。これだけでもとがとれています。
秋田などに足を延ばせばさらにお得です。
首都圏では、このほかにもかなり多種類のフリーきっぷが発売されています。 中には高くて使えないようなものもありますが、 期間限定の商品が多いのも特徴ですから、ふだんから情報収集しておくと、 思わぬ掘り出し物にめぐりあえるかもしれません。