このページには、東北・上越新幹線(長野・山形・秋田方面含む)の、 回数券タイプの企画乗車券をまとめてあります。 ただし、ここで紹介するのは主に首都圏で定常的に発売されているもののみであり、 首都圏以外で限定的に発売されているものなどについては省いてあります。
東北・上越新幹線の回数券は、以下の3種類に分類されます。 各区間の詳細なねだんについては、JR東日本の Web ページで調べてください。
普通車自由席用 | 普通車指定席用 | グリーン車用 | ||
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きっぷの名前 | 新幹線自由席回数券 | 東北新幹線回数券 上越新幹線回数券 あさま回数券 つばさ回数券 こまち回数券 |
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設定区間 | 東京から | 小山・熊谷・本庄早稲田 | 宇都宮以遠・高崎以遠の各駅 | 仙台・盛岡・八戸・新潟 および軽井沢以遠の各駅 |
大宮から | 宇都宮・高崎 | 那須塩原以遠・上毛高原以遠 ・軽井沢以遠の各駅 |
軽井沢以遠の各駅 | |
その他 | 一部の近距離区間 (おおむね100km以下) |
仙台〜宇都宮・盛岡・八戸 高崎〜新潟 |
− | |
発売形態 | 6枚つづり、3カ月間有効 | |||
割引率 | 約10〜15% | 東北・上越・長野:約8% (ただし中距離では約15%) 山形:約5% 秋田:約10〜20% |
約7% あさまのみ約20% |
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利用できない期間 | 4月27日〜5月6日、8月11〜20日、12月28日〜1月6日 |
補足すると、「つばさ回数券」は一部の駅への設定がありません。 また、「こまち回数券」は、 着駅が「田沢湖・湯沢〜秋田〜八郎潟・男鹿・羽後本荘」という秋田周辺の広いエリアになっていて、 エリア内のどの駅へ行くにも同じきっぷを利用することになります(つまり、 遠くへ行けば行くほど割引率が上がる)。
上の表を見ると、自由席用の回数券は近距離にしかなく、
100kmを超えると回数券は指定席用のみということが分かります。
指定席用の回数券で自由席に乗ることもできますが、差額は戻ってきません。
しかし、「ふつうに乗車券と自由席特急券を買う」より
「指定席用の回数券で自由席に乗る」ほうが、
1回あたりのねだんはかろうじて安いので、
たとえ自由席しか使わなくても、指定席用の回数券を買って損はありません。
上の表を見ると、一見すると同じような回数券でも、
割引率にはちがいがあるのが分かります。
この割引率は新幹線の「強さ」を示す指標だと思ってください。
分かりやすいのは「こまち回数券」です。
「東北新幹線回数券」が約8%程度の割引率なのに対し、
「こまち回数券」で秋田まで乗ると割引率は20%にもなります。これは、
東京・秋田間では新幹線と飛行機が激しいシェア争いを繰り広げているからです。
また、新幹線自由席回数券など、短距離のきっぷは割引率が高めです。
これは「短距離だったら在来線や高速バスでいいか」という人に対して、
割引価格でアピールするためと考えられます。
もっとも、どんなに割引率が低くても、 ふつうに乗車券と特急券を買って乗るよりも安いのは明らかです。 3人以上で往復するとき、同じく間をひんぱんに行き来するときには、 選択肢の一つとして頭に入れておきましょう。
学割だと運賃が2割引になりますが、特急料金は割引にならないので、 新幹線を利用するときの実質割引率は10%強というのがふつうです。 秋田方面や近距離を除けば、 学割を捨ててまでこの回数券を利用する価値はないことになります。
ここで紹介した回数券に限ったことではないのですが、
東北・上越新幹線を大宮から利用すると、
交通費を大幅に節約できることがあります。
東北線、埼京線、武蔵野線、湘南新宿ラインなど、
大宮に出るのはどこからでも意外に便利です。
また、東京・大宮間は新幹線も在来線並みのスピードなので、
所要時間に関しても東京や上野から乗るのと大差ない場合がほとんどですし、
場合によっては都心を貫通する電車に乗れるので、在来線で座れるぶん快適です。
特に渋谷、新宿、池袋が最寄りターミナルの人は、 埼京線や湘南新宿ラインで大宮に出るのがおすすめです。 たとえば新宿から東京までは約15分かかりますが、大宮までは快速で約30分。 「朝出発」「夜到着」なら通勤ラッシュの影響もあまり受けません。
東京発と大宮発で回数券のねだんをくらべてみると、
差額はたいてい1枚あたり500円ほどです。
東京・大宮間の運賃が540円ということを考えると、東京発のほうが、
新幹線に長く乗れて、しかも23区内ならどこまでも行けるのでお得です。
しかし、調べてみると妙に差額の大きい区間が見つかります。
目的地 | 回数券1枚あたり | 備 考 | ||
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東京から | 大宮から | 差 額 | ||
宇都宮 | 4150円 | 2600円 | 1550円 | 東京発は指定席用 大宮発は自由席用 |
郡山 | 7400円 | 5750円 | 1650円 | |
白石蔵王 | 9400円 | 7950円 | 1450円 | |
高崎 | 4150円 | 2600円 | 1550円 | 東京発は指定席用 大宮発は自由席用 東京発は高崎・前橋間の在来線利用可 |
浦佐 | 7400円 | 5800円 | 1600円 | |
長野 | 7450円 | 5750円 | 1700円 | 大宮発のグリーン車用は1枚あたり7000円 (東京発の普通車用より安い!) |
東京から大宮まできっぷを買って「1500円です!」って言われたらどうします? ふつうは「高すぎる」と思いますよね。 しかし、上記の区間で回数券を買うと、それとほぼ同じことが起こるのです。
かりに大宮発の回数券を買って、東京から(東京まで)新幹線に乗ったとしても、
上記の区間に限っては、ねだんは東京発の回数券とほぼ同じです。
たとえば「大宮・郡山」という回数券を持っていて、
渋谷から東京を経由して郡山へ行く場合、乗車券は渋谷から大宮まで(540円)、
特急券は東京から大宮まで(自由席で1040円)、計1580円が別に必要です。
しかし上の表によると、東京発の回数券との差額は1枚あたり1650円なので、
1580円を別に払っても、大宮発の回数券のほうがまだ安いことになります。
こうすれば、大宮発の回数券を買っておいて、
「今日は疲れたから東京から新幹線」「今日は元気だから大宮まで在来線」などと、
気分によって乗車駅を選べます。
大宮まで在来線で行けば1回あたり約1000円が戻ってくる、という感覚です。
東京・大宮間で新幹線の指定席を利用すると、
特急料金が2500円にはね上がるので注意。
大宮で指定席と自由席の間を移動すれば回避できます。
指定から自由に移るときには、前もって自由席特急券を買っておくのが無難です。
大宮までの指定席特急券で東京まで乗り越したら、
「大宮・東京間も指定席に乗った」と思われてしまいますから。
最後に、長野へ行く人におすすめしたいのが、
大宮・長野間のグリーン車用の回数券です。
東京から長野へ行くのに、東京・長野間の普通車用の回数券を買うと、
1枚あたりのねだんは7450円。
しかし、大宮からグリーン車用の回数券を買うと、
1枚あたりのねだんは7000円。
実は、大宮までがまんして在来線で行けば、
ほぼ同額でグリーン車に乗れてしまうのです。
庶民には「高嶺の花」という印象のあるグリーン車ですが、
ちょっとした工夫で安く乗れることもあります。
ふだんは普通車ばかりの人でも、これなら乗ってみようかという気になるねだんです。