Yahoo! ゆうパックで郵便小包を安く送る

[警告]この文書は長年更新されていません

 この文書は本来、世の中の現状について解説するために公開しているものであり、 常に現状に追随することが期待されます。
 しかし実際には、最後の更新(ページ末尾に記載)から相当な年月が経過しており、 記載内容は現状に追随していません。 また、この文書を今後更新する予定はありません。
 したがって、この文書は本来の目的を達成していません。 最終更新当時の世の中の様子を伝えるという、 本来とは異なる目的で公開を続けているものです。
 以上の点を理解のうえ、お読みください。

Summary

 「Yahoo! ゆうパック」は、発送手続きの一部を Web で行い、クレジットカードなどでオンライン決済することを条件に、 郵便小包を従来料金の約1割引で送れるサービスです。 荷物はファミリーマートもしくはローソンに直接持ち込む必要があります。
 インターネットの利用に抵抗がなく、 差出人の身近にファミリーマート・ローソンがあれば、 少し割安な宅配便として活用できます。
 ただし、配達に要する日数や「セルフサービス計量」など、 意外な落とし穴もあるので注意が必要です。 また、2004年10月から、一般の「ゆうパック」は「サイズ制料金」に変わりましたが、 「Yahoo! ゆうパック」は重量制のままなので、 大きさのわりに重い荷物ではかえって割高になることもあります

公式 Web サイト


正体は「大口割引」

 このサービスは、ひとことでいうと、伊藤忠商事(=Yahoo! の提携先)を胴元にした「大口割引のばら売り」です。
 Yahoo! ゆうパックの利用者は、小包を郵便局ではなくファミリーマート・ローソンに持ち込み、 小包の料金を郵便事業(株)ではなく伊藤忠商事に支払います。そして伊藤忠商事は、 「ウチは全国でいっぱい小包を出しました」と郵便事業(株)に申告し、 全国各地のファミリーマート・ローソンに持ち込まれた小包すべてに対する料金をまとめて支払います。 郵便事業(株)には「伊藤忠商事が大量の小包を出した」ように見えるので、Yahoo! 経由で出した小包の料金には大口割引が適用されます。
 このため、伊藤忠商事がある程度の手数料をとっても、 利用者の払う料金は(2004年9月以前の)通常の小包より1割ほど安くて済みます。

サイズ制 vs 重量制

 2004年9月まで、郵便小包の料金は「差出人から受取人までの距離」と 「重さ」で料金の決まる「重量制」でした。 つまり、箱の大きさは(もちろん上限はありますが)料金に影響しませんでした。
 しかし2004年10月から、通常の郵便小包の料金は、 「距離」と「箱の大きさ」で決まる「サイズ制」になりました。 今度は逆に、「重さ」が料金に影響しなくなったのです(上限は30kg)。
 しかししかし、Yahoo! ゆうパックは2004年10月以降も従来の「重量制」料金のままです。 したがって、「Yahoo! ゆうパック」が通常の郵便小包より常に安いとはいえないことになりました。


発送手続きの流れ

 Yahoo! ゆうパックを利用するには、まず初回利用時にIDを取得し(無料)、 そのIDを用いて荷物の情報を登録します。そして最後に決済まで行います。

Step 1: 差出人、受取人の登録

 IDは取得済だとすると、まず最初にすることは、 差出人、受取人の住所・氏名の登録です。Yahoo! ゆうパックの Web サイトにアクセスし、ふつうならゆうパックのラベルに書くであろう情報を、ここで Yahoo! 側のコンピュータに登録してしまいます。
 以前は「自分(IDを持っている人)が受取人になる」という、 送料着払い感覚のサービスもあったのですが、 今は「自分が送り主になり、自分が料金を払う」という、 ふつうの発払いしか利用できないようになっています。

IDは他と共通

 以前は「Yahoo! ゆうパックID」という専用のIDが必要だったのですが、 2004年1月20日からは、Yahoo! の他サービスと共通の「Yahoo! JAPAN ID」を用いることになりました。
 「Yahoo! JAPAN ID」をすでに持っているという人は多いと思いますが、 そのような人は新たにIDを取得することなく Yahoo! ゆうパックを利用できます。

Step 2: 荷物の大きさ、重さを計測

 次に、荷物の大きさと重さを自分で計測します。 ここが一番やっかいなところです。
 Yahoo! ゆうパックの料金は重さ(と送り先の住所)だけで決まるので、 大きさの入力は(郵便小包で送れる範囲の大きさであることが示せれば) ある程度いいかげんでもいいと思うのですが、 重さはそこそこ正確に量らないと料金がちがってきます。
 料金はここで自己申告した重さにもとづいて計算されますが、 荷物を出したあとに郵便局であらためて計量され、 そこでもし料金不足が判明したら、不足分を追加して支払う必要があります。 それで済めばいいのですが、 不足額の請求時には事務手数料が別に請求されるので、 適当に量って軽めに申告するのはやや危険です。 かといって、多めに申告して料金を払いすぎると、 割引分がほぼ帳消しになってしまいます。 (事務手数料は、以前は「105円」と書いていたのですが、 「52円」という情報もあります。いずれにせよ、その程度です。)

体重計でもOKだが

 Yahoo! ゆうパックの料金計算はおおむね2kg刻みなので、 g単位まで精密に量る必要はなく、たとえば体重計があればOKです。 しかし、体重計で量ってみて「6kgを超えるか超えないか微妙」という結果なら、 より詳しく計量したくなりますよね。やっぱり、このステップはめんどうです。

Step 3: 決済

 ここまで入力し終わると料金が確定するので、決済を行います。 決済には一部のクレジットカード(JCB、VISA、マスター)、 一部の「ネット銀行」が使えます。
 最近になって、「料金はファミリーマート・ローソンで払う」という選択肢もできたので、 カードも銀行口座もないという人でも差し出せます。 後述しますが、「ファミリーマート・ローソン払い」のほうが便利なこともあります。 ただし、Step 1・2 をすっ飛ばして、いきなりファミリーマート・ローソンに行ってもダメです。

 ここまでの手続きが終わると、 荷物1個に対して1つの「受付番号」(16ケタ)が発行されます。 この受付番号をメモして、いよいよ、荷物をファミリーマート・ローソンに持ち込みます。

Step 4: ファミリーマート・ローソンで発送手続き

 荷物を持ってファミリーマート・ローソンに行き、受付番号を「Fami ポート」ないし「Loppi」という端末に入力します。 最近コンビニエンスストアでよく見かける多機能端末です。 この端末のない店では手続きができませんし、「端末はあるが Yahoo! ゆうパック未対応」という店舗も一部ありますので、差出人の身近な場所に「Yahoo! ゆうパック対応のファミリーマート・ローソン」があるかどうか、 あらかじめ調べておく必要があります。
 受付番号を入力するとレシート状のものが2枚出てきます。 それを持ってレジへ行き、荷物といっしょに差し出すと、 レシート状の「本人控」が渡されます。料金の支払いがまだならここで払います。 それから、レジにあるプリンタで送り状が印刷されるので、 自分で荷物に貼り付けます(他人の荷物とまちがわないように、 自分で貼るのが原則になっています)。

 これで手続きは終わりです。 あとは、出した小包がファミリーマート・ローソンから郵便局へ持ちこまれ、 通常の郵便小包として受取人に届きます。Step 4 で受け取る「本人控」を見ると問い合わせ番号(通常、 小包のラベルに印字されているもの)が分かるので、郵便事業(株)の Web サイトで小包の配達状況を知ることができます。

受取人の住所はどこでもOK

 「Yahoo! ゆうパック対応のファミリーマート・ローソン」が身近にないとダメなのは差出人だけで、 受取人は日本全国どこにいても、郵便小包の届く場所ならだいじょうぶです。
 というのは、 ファミリーマート・ローソンから最寄りの集配郵便局に荷物が持ち込まれたあとは、 通常の郵便小包とまったく同じ扱いで受取人のもとに届けられるからです。 荷物の流れに関して、 ふつうの小包とちがうのは「郵便局ではなくファミリーマート・ローソンに小包を持ち込むこと」だけです。

注意:他県のファミリーマート・ローソンへ持ち込む場合

 補足ですが、自分の住む都道府県以外のファミリーマート・ローソンへ荷物を持ち込む場合、 送り先によっては料金が変わってくるので注意が必要です。
 Yahoo! ゆうパックを含め、 ゆうパックの料金は「差し出した都道府県」と「相手の都道府県」によって変わり、 「差出人の住所」は料金に関係ありません。 たとえば神奈川県在住の人が東京都のファミリーマート・ローソンから小包を出せば、 料金は「東京都発」で計算します。
 しかし、Yahoo! ゆうパックでは、Web 上での料金算出を「差出人の住所」によって行っています。 ということは、荷物を「住所地以外の都道府県」のファミリーマート・ローソンに持ち込むと、Web 上で示された料金より安くなったり、高くなったりする可能性があります。
 クレジットカードなどを利用して料金を Web 上で先に払ってしまった場合、 店に持ち込んだ段階で差額が発生すると「過剰分は Yahoo! ゆうパックセンターに申告→後日返金」、 「不足分は事務手数料とともに後日請求」となり、いずれもめんどうです。 一方、ファミリーマート・ローソンで料金を支払う場合には、 支払う時点で「ファミリーマート・ローソンのある都道府県発」の料金が計算されるため、 事前の案内とは異なることがありますが、 常に正しい料金を支払うことができます。
 県境付近に住んでいると、 場合によっては「わざわざ隣県まで荷物を持ち込んで料金を節約する」ことができますが、 Yahoo! ゆうパックでこういうことをする場合、 料金は事前に支払うのではなく、ファミリーマート・ローソンで支払うのがよさそうです。


独自の補償制度

 Yahoo! ゆうパックの特長として、 小包が破損・紛失した場合の補償制度が充実していることが挙げられます。
 通常の郵便小包では、補償額の上限は30万円です。 これ以上の補償が必要な場合には書留を利用しろと言われますが、 料金が(補償額にもよりますが)別に数百円かかるので、 保険料としては割高感があります。
 しかし、Yahoo! を経由して出した郵便小包では、送ったものの価値に応じて、 最高50万円まで補償されます。 さらに、Yahoo! オークションで落札したものを送る場合については、 小包の中身がごく一部の人にしか価値の分からないようなものであっても、 落札額+送料を確実に補償してくれます。 (Yahoo! の「補償制度の解説ページ」を読むと、 約款より厳しい条件が書いてあるような気もしますが…)

送れないものもあるが…

 この補償のためか、Yahoo! ゆうパックの規約を読むと、 送れるものにはかなり細かな制限がついています。 危険物や海賊版CD、現金などはまだ分かるとして、 原稿や原図のような「再製不可能なもの」や食品などもダメで、 これらのものは「そもそも Yahoo! ゆうパックでは引き受けない」と規定されています。
 が、制限をクリアするものを送る場合には、書留小包よりだいぶ料金が安いので、 補償目当てで利用する価値もあるといえるでしょう。

「禁制品」は自己責任で

 小包の内容物はあくまで自己申告なので、実際には食品なども送れてしまいます。 もちろん、万一のときには Yahoo! 側からの補償は受けられませんし、 その他の不利益を被ることもあり得ます。送るなら自己責任でどうぞ。


メリット・デメリット

 最後に、このサービスのメリット・デメリットを挙げてみます。

料金が安い(ことがある)

 郵便小包と民間の宅配便を比較すると、通常料金はほぼ拮抗しています。 Yahoo! ゆうパックを利用すると郵便小包を割引料金で送れるので、 他の宅配便を利用するよりも安くつくことが多くなります。
 ただし、2004年10月から、「通常の郵便小包」「Yahoo! ゆうパック」「民間の宅配便」で料金の決めかたが全部異なることになったので、 荷物の性質によって使い分けるのが賢いといえます。
 具体的には、配送料金は、相手までの距離のほかに

によって決まるので、「箱だけは大きいが中身はすかすか」という荷物は「Yahoo! ゆうパック」が相対的に有利です。 その逆に「箱は小さいが中身が詰まっていて重い」という荷物は、 郵便局からふつうに送るほうが安くつくことも考えられます。 そして民間の一般的な宅配便は、大きさ、 重さの双方を見ている(たとえば「3辺の合計100cm以下、 かつ重さ10kg以内なら1000円」のような料金の決め方)ので、 「箱だけは大きい」「中身だけは重い」といった極端な荷物を送ると相対的に割高になります。

実例:ダウンジャケット

 兵庫県から広島県へ、ダウンジャケットを送ることになりました。
 ある程度「圧縮」して紙袋に入れたのですが、 大きさは3辺合計で60cmにはおさまらず、 通常の「ゆうパック」では「80サイズ」になります。 郵便局へ持ち込んだ場合の料金は800円です。 (参考までに、ヤマト運輸の「宅急便」なら850円です。)
 いっぽう、重さを量ると2kg以下だったので、重さで料金の決まる「Yahoo! ゆうパック」では、料金は550円で済みました。
 こんなに安くなったのは荷物の密度が極端に小さいからですが、 大きさのわりに軽い荷物は、Yahoo! ゆうパックを使うと実際にかなり割安になることが分かります。

補償制度が充実している

 前述のとおり、Yahoo! ゆうパックでは最高50万円まで補償されます。 ただ、通常の郵便小包でも30万円まで補償されることになったので、 この差が大きく影響することはあまりないでしょう。使いでがあるのは「Yahoo! オークション」利用時の「落札価格補償」ぐらいでしょうか。

送り状を手で書かなくていい

 手書きで小包のラベルに住所・氏名を記入するかわりに、 自分のPCのキーボードから住所・氏名を入力すればよいというのは、 人によっては便利です。 が、これがメリットと感じられる人は末期症状かもしれません。:-)

荷物の計量を自分でしなければならない

 これは前述したとおりです。家に「はかり」のない人は困ってしまいます。 ファミリーマート・ローソンにはたぶん備え付けてあるのでしょうが、配送手続きの Step 3 までは自分のPCで行わなければいけないので、 ノートPCを店に持ち込まない限りは二度手間になります。 (ノートPCを持っていってその場で手続きするのもかなり怪しい光景だと思いますが…)

ほかより遅いことがある

 郵便小包は「翌日配達」の範囲がそれほど広くないので (以前よりは広がったようですが)、 他の宅配便より1日遅く着くこともあり得ます(逆に早く着くことも、 ごくまれにあります)。「いつ出せばいつ着くか」は郵便事業(株)の Web サイトで調べられますので、気になる場合は事前に調べましょう。
 さらに、これは Yahoo! ゆうパック特有の事情ですが、 ファミリーマート・ローソンから郵便局へ荷物を運ぶのは1日1回だけ(午後〜夕方?)です。 最悪の場合、ファミリーマート・ローソンで1日近く荷物が足止めを食らうわけで、 この点でも急ぎの荷物には不向きといえます。
 なお、読者からいただいた情報によると、 ローソンでは集荷が1日2回になっていることがあるそうです。 ローソンでは店内に郵便ポストを設けていて、 そのポスト内の郵便物は標準的に1日2回集荷されるようですが、 ゆうパックに関しても(ポスト集荷と別人かもしれませんが)1日2回集荷していく、 という例が複数地区で確認されています。 ローソンとファミリーマート、 どちらか選べるならローソンに差し出したのほうが少し早く着くかもしれません。

不運な実例

 筆者の例では、2003年1月5日の夕方に出した荷物が、 1月6日の午後(推定)にようやく郵便局に持ち込まれ、 1月8日の昼に相手に届いた、というのがあります。 暦の上で3日かかるとさすがに遅く感じます。

配送確認がじれったい

 ファミリーマート・ローソンでの受付完了後、相手に届くまでの間は、 「小包がどこにあるか」を郵便事業(株)の Web ページで確認できるのですが、 この小包追跡システムの挙動は(Yahoo! 経由か否かにかかわらず)若干いいかげんで、 いらいらさせられることがあります。
 具体的には、 小包は「ファミリーマート・ローソン→その最寄り集配局→受取人の最寄り集配局→受取人」 という経路で運ばれるわけですが、受取人の最寄り集配局に着くまで、 追跡システム上で小包の現在位置を確認できないことがしばしばあるのです。
 システムへの登録は集配局で行われる(と思う)ので、 差出人最寄りの集配局に着くまで追跡システムで確認できないのは理解できますが、 受取人の最寄り集配局に着くまで確認できないのは不思議ですし、心配になります。 他社の追跡システムを見ると、かなりのリアルタイム性が実現されているものも多く、 現状では郵便事業(株)のシステムは見劣りします。
 ただ、最近はこのような例を見ないうえ、 2005年秋に「中継地を含めて配送経路を表示する」ようシステムが改善されたという話も聞きますので、 この項はすでに昔話といえるかもしれません。また、他社の宅配便でも、 「受取人側の集配センターに着くまで」の情報が遅延/欠落する例があるようなので、 郵便事業(株)が劣っているということではないのかもしれません。


まとめ

 以上のように、「Yahoo! ゆうパック」はメリット、デメリットがはっきりしたサービスで、 「送ろうとする荷物が大きさのわりに軽いので料金が安くて済む」 「ファミリーマート・ローソンがすぐ近くにある」など、 自分にとって明確なメリットがなければ、 デメリットばかりが目立ってしまうサービスということもできます。
 ただ、条件が自分の都合にあえば安くて便利ですので、 選択肢の一つとして頭の片隅においておく価値はあります。



(c) SWA / KASAI TakayaSWA へメールを送る
最終更新: 2007年12月 9日
簡易包装にご協力ください。