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ノートPCの「非純正ACアダプタ」

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 以上の点を理解のうえ、お読みください。

Summary

 ノートPCを持ち歩く人にとって、 ACアダプタは2個以上あったほうが絶対に便利だ。 しかし純正品はモノのわりに高価なことが多い。
 この文書では、純正品でないACアダプタでノートPCを動かすことを考える。 具体的には

ことで、安上がりに不便を解消できる可能性があり、 その際のACアダプタの選定方法を検討する。


警告:実践は自己責任で

 念のため最初に書いておくが、 以下で紹介する方法はすべて各PCメーカー非公認である。 純正以外の電源でノートPCを動かそうとし、 かりにそれが原因でPCが故障した場合、 たとえ「サードパーティが動作を保証しているACアダプタ」を使った場合であっても、 PCのメーカーは責任をとってくれない(保証期間内でも有償修理となる可能性が高い)。 他社製品の転用に至っては論外で、まずまちがいなく、 だれも責任をとってくれない(私も責任はとらない)。 実際に試そうと思う人は、それを承知の上でやってほしい。
 また、以下に記す「適合性チェック方法」は自分の乏しい経験に基づくものであり、 以下のチェック方法にしたがうと適合するはずなのに実際はダメだった、 ということもあるかもしれない。 事実、メーカーの「純正オプション対応表」を見ていると、 以下に記すチェック方法では説明のつかない記述もたまに見つかる。 この点に関しても私は責任を負いかねる (ただし、「具体的に合わない事例があった」という情報は歓迎)。


意外と便利、2個目のACアダプタ

 ノートPCを買えば、ACアダプタはまずまちがいなく付属品に入っている。 だから、わざわざACアダプタだけを買おうとする人は少ないと思う。
 しかし、ノートPCを持ち歩くなら、ACアダプタが2個あると想像以上に便利だ。 たとえば家に1つ、会社あるいは学校に1つACアダプタを置いておけば、 PCといっしょにACアダプタを持ち歩く必要はない。 それに、万が一どちらかのACアダプタが故障(典型的には断線)しても、 もう1個あればノートPCは使い続けられる。
 そんなわけで、ノートPCをしばしば外に持ち出す人には、 ACアダプタを買い増すことをおすすめしたい。


サードパーティ製のACアダプタを使う

 ACアダプタはたいてい「メーカー純正のオプション」として用意されているので、 ACアダプタだけを単体で買うことはできる。 たぶん、カタログの最後や取扱説明書に型番が載っているだろう。 が、こういうのはモノのわりに高いことが多い(定価だと10000円ぐらいすることがある)。
 そこでちょっと探してみると、 ノートPC用のACアダプタにもサードパーティ製のものがあることが分かる。 数年前、カメラ量販店のPCフロア(規模はかなり大きめ)に行ってみたところ、 純正品よりも目に付くところにサードパーティ製のものがあったので、 その気になればすぐに見つけられるはずだ。
 かつては聞き慣れないメーカーの製品が多かったものだが、 現在調べてみると、サンワサプライ、エレコム、バッファローコクヨサプライと、 PC小物の大手企業が軒並みACアダプタを商品化している。 それだけ需要があるのだろう。


(余談)ついでにバッテリ容量も増やしてしまう

 ちょっと話はそれるが、 サードパーティ製のACアダプタの続きとして紹介したいのが 「サードパーティ製の外付けバッテリ」である。
 ノートPCのバッテリといえば、たいていは本体に直接くっつく「内蔵型」だが、 電池ボックスのお化けのような外付けバッテリも世の中には存在する。 この外付けバッテリをノートPCの「ACアダプタ差込口」につなぐと、 ノートPCは「あ、コンセントから電気が来た」とかんちがいして動いてくれる。 言ってみれば「ノートPCをだます」わけで、 このせいで若干具合が悪いこともあるのだが、 外で長時間使いたい人には選択肢の一つとしておすすめできる。
 実際、私も一時期使っていたが、夜しか充電できない長期間の旅行中、 外付けバッテリとPC本体の内蔵バッテリを並行して充電できるという点が便利だった (内蔵バッテリの予備を持っていても、一度に1個しか充電できないのがふつうだから、 夜しか充電できないという条件下では、 夜中に一度起き出してバッテリを交換しないといけないことになる)。 また、ノートPCの発する熱を直接受けないので、 バッテリの劣化が少ないらしい(ただ、 冬は気温とほぼ同じ温度まで冷えてしまうので、 使用可能時間が顕著に短くなるという欠点もある)。
 この手の商品は数少ないが、ENAX という電池メーカーが外付けバッテリ「Power Battery」シリーズを出している。 そして、最近の新商品は、 「コンセント−外付けバッテリ−ノートPC」という順で接続すると、 外付けバッテリに充電しながらノートPCにも電源を供給できる、 いわゆる「フローティング充電」に対応しているため、 実質的にはノートPCのACアダプタとしても使用できる。 ふぅ、ようやく本題に戻った。


対応機種表から分かること

 上で紹介したような製品について Web で調べると、必ず「対応機種表」というのが見つかるはずだ(たとえば、 バッファローコクヨサプライの対応機種表Power Battery の対応機種表)。 「あなたのPCに合うのは当社のこのACアダプタです」というのが書いてあるものだが、 別の視点でこの表を見ると、おもしろいことが分かる。 すなわち、ノートPCのACアダプタは意外に使い回しがきくのである。

ACアダプタの種類を決めるもの

 そもそも、ノートPC用ACアダプタの機能は何か?と考えると、 「交流を直流(16Vとか19Vとか)に変換する」という1点に尽きる。 ということは、変換後の直流電圧とプラグの形状さえ合えばいいわけで、だからこそ、 PCメーカーと何の関係もないサードパーティにもACアダプタが作れるわけだ。
 現在のところ、 ノートPCの要求する電圧は16Vあるいは19Vというのが多い(メーカーにより、 20V以上の場合もたまにある)。 保証の限りではないが、定格より多少電圧が高めでも、 ノートPC側で吸収してくれるはずだ (たとえば定格15.1Vのところに16Vのアダプタを接続したことがあるが、 短期間なら特に不具合はなかった;長期間だと若干不気味ではあるが)。
 また、プラグの形状については、件の対応機種表を見るに、 主要メーカー各社をひっくるめて5種類程度しかないようだ。 メーカー内でも機種によって異なることがある一方で、富士通と SONY、IBM と Panasonic など、会社がちがっても同一形状ということがある。
 細かい話をすると、極性、つまり「+と−の向き」も合わないと非常に危険だが (乾電池を逆向きに入れるようなもの)、丸型のプラグの場合、 最近はほとんどの機種で「内側が+、外側が−」となっている。
 というわけで、サードパーティが出しているACアダプタの種類は10前後しかない。 それで各社のノートPCをだいたいカバーできるわけだ。

 ただ、実際に安定して使うためには、定格電流も押さえておきたい。 これは「ACアダプタがどの程度の消費電力に耐えられるか」を示すものだ。 純正品ならPCがフルパワーで働いてもだいじょうぶなように作ってあるが、 純正品以外だとその保証はない。
 この点に関しては「大は小を兼ねる」ので、 定格電流の大きいものを選んでおけばまちがいない。
 なお、会社によっては、 「定格電流(アンペア)」ではなく「定格電力(ワット)」でACアダプタの能力を表記している。 電流と電力は比例関係にあり、純正ACアダプタの表示を見れば容易に計算できる(後述)。 また、定格電力はPC本体に記載されている場合がある。

まとめ:4つのチェックポイント

 まとめると、ACアダプタは

の4点が合致すれば「同じもの」として利用できる。 細かい話をするときりがないのだが(海外で使えるかとか、 整流部分の品質はどうかとか)、 ほとんどの人は日本国内でしか使わないだろうし、 ノートPC用ならどの製品でもそこそこの品質は確保されているので、 それほど神経質になることはないと思う。


他機種の純正品を転用する

 以上のような事情をふまえて、最後に「応用編」。 他機種の純正品を転用するという手を考えてみよう。

友達の友達はみな友達?

 まずは前述の「対応機種表」で自分の持っているノートPCを探す。 すると「どのACアダプタが自分のノートPCに合うか」が判明するわけだが、 それで満足せずに、 「そのACアダプタが他機種のノートPCでも使えるか?」という点を調べる。 もし、他の製品にも適合するということが分かればしめたものだ。
 たとえば、自分の持っているAというノートPCに、 サードパーティ製のαというACアダプタが適合するとしよう。 このαというACアダプタが、Bという別のノートPCにも適合するなら、 以下の三段論法が成立する。

 何が言いたいかというと、B用の、つまり他機種用の純正ACアダプタを、 自分の持っているノートPCでも使える可能性が高いのである。
 対応機種表に「同じACアダプタ(α)が使えます」と書いてあるのだから、 出力電圧、プラグ形状、極性の3点はAとBで共通のはずだ。 となると、問題は定格電流(想定している最大消費電力)だけ。 この問題をクリアしていれば99%だいじょうぶだ。
 定格電流って何?という人は、自分の持っている純正のACアダプタを見て、 「出力:16V−2.5A」のような表示を探そう。「2.5A」の部分が定格電流だ。 この値はあくまで「最大能力」で、「PC側で大量の電気を食っても、 2.5Aまでなら対応できます」という意味だから、 たとえば「16V−5A」というACアダプタを持ってきても問題ない。 (逆に「16V−2A」というものだと、 電気を食う作業中に電力不足を起こす可能性がある。CPU パワーを食う作業や、電源を入れながらの充電が特に危ない。) また、この場合の最大消費電力(ワット数)は16V×2.5A=40Wというふうに求められる。

用法その1:出先で充電したいとき

 出先にACアダプタを持っていくのを忘れて、 バッテリの残量が心許なくなったときのことを考えよう。 もし、出先に自分と同じPCがあればACアダプタを借りて充電すればいいが、 前述の見分け方を使えば、他機種のACアダプタでも用が足りるかもしれない。 特に何台もノートPCのあるオフィスだと、 他機種(場合によっては他社製品でもいい!)まで対象に加えれば、 対応するACアダプタがけっこう見つかるのではないだろうか。
 機種対応表を即座に見られない環境でも、 自分のノートPC用ACアダプタがどういう仕様か(だいたいのプラグ形状、 出力電圧、定格電流、極性)を正確に覚えておけば、 そのへんにあるACアダプタを手当たり次第に裏返し、 仕様を比較して「合うかどうか」を判断することもできるだろう。 電圧と極性、消費電力ぐらいなら、 機種によってはノートPC本体にも書いてあるかもしれず、 電圧と消費電力が分かれば最大電流も計算できることになる(周辺機器をつないだり、 メモリを増設したりしていると表示以上に電気を食うことも考えられるが)。 また、プラグ形状に関しては見た目で判断できかねるものもあるが、 たとえ形状がちがっていてもプラグをうまく差し込めないだけなので、 差してみれば分かる。
 以前、バッテリがほぼ空なのにACアダプタを持たずに出勤したことがあったが、 そのへんのACアダプタを手当たり次第に試したところ、 他社製のものが見事に合致し、充電できたということがある。

用法その2:サードパーティ製品の代わりに

 純正品のACアダプタの定価はいくらぐらいか、ご存じだろうか。 私も調べるまで気付かなかったのだが、メーカー間で意外に価格差がある。 安いところだと5000円程度で入手できるいっぽう、高いところだと12000円以上もする。 何台も買うものではないけれど、見過ごせない差だ。
 これを積極的に利用し、純正ACアダプタが高い場合、 わざと他社PC用の純正ACアダプタを買って流用するという手がある。 適合性をだれも保証してくれない分、 サードパーティ製のACアダプタよりも危険だが、 前述の「対応機種表」を利用すればたいてい何とかなるだろう。
 「対応機種表」で同じACアダプタを利用できると分かれば、 電圧、プラグ形状、極性まではクリアできていることになるので (電圧は1V程度の微妙な差があるかもしれず、 やや怪しいので事前に調べておきたいが)、残る問題は定格電流だ。 実際に買う前に他社純正ACアダプタの定格電流(=電源供給能力) を知ることができるか?というところが最大のポイントとなる。 (もちろん、店に行ってモノを見せてもらったり、 メーカーに問い合わせたりすれば分かるわけだが…)
 定格電流を知る方法としては、 買おうとしているACアダプタの「本来のお相手」であるPCの仕様を見て、 最大消費電力を調べる、というのがある。 たとえば、自分の持っているPCの最大消費電力が50Wで、 買おうとしている他社のACアダプタが「最大消費電力60W」というPCで使えることが分かれば、 自分のPCでもパワー不足に陥ることはないだろう、という予想ができる。 ACアダプタの正確な定格電流が分かるわけではないが、 電源供給能力が十分であることが分かれば目的は達せられる。

 こんなことを思いついたのは、私の使っている Panasonic の純正ACアダプタが高いから。実に定価10500円(税込み)である。 だから、2台目のACアダプタを買うときには迷わずサードパーティ製にしたのだが、 あろうことか購入後1年強で断線してしまった。 さすがに同じものをもう1個買う気にはなれない。
 サードパーティ製のACアダプタを買ったときに知ったのだが、 自分の使っている機種のACアダプタは IBM(現 Lenovo)の16Vタイプの機種と互換性があるようだ。IBM なら台数もけっこう出ているし、 ACアダプタだけ買い増しするヘビーユーザも多そうだから、 もしや…と思って調べてみると、IBM ダイレクト価格(定価に相当?)は6090円(税込み)。IBM のサイトで買えば、 特別価格で実に5040円(しかも送料無料)である(価格はいずれも購入当時)。天下の IBM 製でありながら、へたにサードパーティ製のを買うより安いかもしれない。 気になる最大電力も「56W」ないし「72W」と明記してあるので、 自分のノートPC(カタログ値で最大40W)には十分だと分かる。文句なしだ。

 それにしても、なぜACアダプタの形状が各社でばらばらなのだろう。 「規格どおりの良質の電源が保証されない限り、 精密機器の動作は保証できないので、 自社のアダプタしか使えないようにしている」とか何とか、 理屈はいくらでもつけられるのだろうが、消費者にしてみれば単に不便なだけだ。 こういう「メーカーの論理」を覆すにはどうしたらいいんだろうな。



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最終更新: 2010年11月26日
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