30000円の成果は出るか。
11月14日。ついに、最難関といわれる仮免許の技能試験の日がやってきた。 例によって夜間作業明け、しかも運転は10日ぶりという悪条件ではあるが、 試験場の練習に3万円を費やした以上、一発で合格しないとアホらしい。
まずは二俣川自動車学校に寄り、教習原簿を受け取っていく。
原簿は受験に必須の書類ではないが、同校の Web ページによると、
これを試験に持っていける点が「俗にいう『一発試験』とはちがう」らしいので、
どういう効果があるか不明ながら持っていくことにしたものだ。
しかし、受付にその旨を伝えると「かえって気になるでしょうから、
持っていかないことになっています」だそうで、
かわりに「試験官は警察官なので礼儀にも注意せよ」
「試験の採点に疑問があっても直接抗議せず、
あとで自動車学校を通してやれ」などと書かれた紙を渡された。
原簿を持参する、しないはたいして合否に影響しないようだ。
なお、後日この件に関して問い合わせたところによると、
特に強く希望すれば原簿を持参して受験することも可能だという。
ただ、原簿持参で受験して不合格だった場合、
試験官は何らかのコメントを原簿に書くことになっていて、
実際、ほとんどの試験官は快く書いてくれるのだが、
ごくまれに、その手間を快く思わない困った試験官もいるらしいので、
デフォルトでは持参させないことにしたのだという。
さらに歩いて試験場へ。
仮免許の試験はこの前の学科試験から延々と続いているという扱いなので、
受験料を新たに支払う必要はない。
しかし、今日は試験場備え付けの車を借りて試験を受けるので、
「貸車券」なるものを買う必要がある。1100円。
受験料は警察に納めるので窓口で印紙を買うのだが、
こちらは後述のとおり相手が警察ではないので印紙ではなく、
社員食堂の食券のようなきっぷを自動券売機で購入する。
出てきた券には「財団法人神奈川県交通安全協会」という文字があり、
免許更新のたびに半強制的に加入させられる「あの」協会が試験場の貸車業務を行っていることが分かる。
ものすごい癒着だな。どうせ協会の役員は警察の天下りだろうし。
この業務を複数のレンタカー会社に入札させたら、
貸車料金が800円ぐらいにはなりそうだ。
そうこうしていると13時になり、受付が始まる。
この受付、13時15分までのわずか15分間というのがすさまじい。
しかも応対は学科試験に輪をかけてひどかった。
学科試験の最後に受け取った用紙(住民票つき)を提出すると、
運命のコース発表。して、その結果は普通仮免3号コースだそうである。
3つのコースの中では一番素直なコースで、まずまずの当たりだろう。
待合室でひたすらコース図を眺め、これまでの練習を思い起こしていると、
13時20分に試験官がやってきて受験者が集合。AT、MTともに3号コースだそうで、
受験者は10人以上いるのに試験官は両者合わせて1人だけ。
先にATの試験を済ませてからMTに移行し、
その途中で助っ人試験官が登場するという。
私はATで受験番号2番なので全体で2番目ということになる。
試験までの待ち時間が短いのはいいことだ。
何せ、受験者は吹きっさらしのベンチ、
あるいはイスのない玄関先でひたすら待たされるのだから。
発着場に出ると、いきなり車に乗れという。
どうも、本番の前に1つ前の人の受験風景を後部座席から見ることができるらしい。
受験番号1番の人には非常に不利な気がするのだが、私は2番なのでまぁいいや。
ありがたく見せてもらうことにする。
しかし、これがまったく参考にならない運転であった。
運転者はどうも一度取り消しを食らった兄ちゃん(私より2歳年下)なのだが、
課題速度50km/hはいいとして、
その後の「法定の曲がり角」はどう見ても20km/h以上で通過。
徐行の際の速度としては10km/h程度が推奨されているところなので、
これでかなりの減点を食らったはずだ。
私は内心やれやれと思っていたが、1人だけ何も知らずに運転し続ける兄ちゃんは、
交差点を3つ曲がったところにある徐行区間(標識あり)にも、
これまた20km/h程度で突っ込んだ。
来るぞ来るぞ…と身構えていると、試験官はおもむろに曰く
「はい試験中止。踏切通って戻って。」
そりゃそうだ。この兄ちゃん、おそらくこの試験場での受験は初めてなのだろうが、
目立ったミスもないのに…と、さぞ驚いたことだろう。
と同時に、私にとってはほとんど得るもののない添乗になってしまった。
発着場に戻って私だけ下車。
その後、件の兄ちゃんは試験官から相当いろいろ言われていたようだ。
たしかにあれはひどい。と同時に、いったん免許を取って公道に出ると、
ああいう運転がふつうになるということを暗示している。
とかなんとか考えている間に「お説教」は終わっていて、私の番である。
この試験官、とにかく受験者をせかす。
受験者が多いからという理由もあるのだろうが、
これは焦らせようという策略なのでは?と私には思えたので、
意図的にのんびりと行動することにした。
たいして急ぎもせずにもろもろの準備を済ませ、発進。
試験開始から約100mは「慣らし運転」として採点の対象外になっているのだが、
その区間は発着場から次の交差点まで、ほんのわずかだ。
こんなの、1回アクセルをふかしたらおしまいで、
ハンドルの重さなんかは採点が始まってみないと分からない。
軽い「ひさしぶり運転ショック」を味わっていると、また試験官が私を急かす。
いいもん、自分のペースでやるから。
いったんコースに出てしまえば、そこはもはや見慣れた世界だ。
さっき大量減点の現場となった直角カーブ
(といっても20km/hなら余裕でクリアできる程度)を皮肉っぽい超徐行でクリアし、
右折、左折、左折で徐行区間に突入。
これまた寝てしまいそうな速度で通過し、左折して踏切。
大サービスで窓は全開だ。そういや、さっきの兄ちゃん、
試験中止宣告後とはいえ、踏切では窓を開けていなかったな。
左折後すぐに右折で、見通しの悪い交差点をまた徐行。
進路変更ののち、AT車のクライマックス、狭路の通行である。
幸い貸車はフェンダーミラーだったので「ミラーと縁石が一致したら曲がる」
という便法がそのまま適用でき、切り返しもなく一気に通過。ここまで好調だ。
と、次の右折に落とし穴が待っていた。
曲がろうとしたら左から直進車が来たという、まぁただそれだけのことなのだが、
あと0.5秒判断が遅れていたら試験官にブレーキを踏まれて試験が終わるところだった。
どうも「車が来ない→じゃあ曲がろう」と判断するときに一瞬の隙があるようだ。
これは練習の段階からしばしばあったので、
公道に出てからも引き続き注意すべき点である。
これで動揺すると損だ、と意外に冷静に考えることができたので、
次のS字はやや怪しいながらも無事に通過、右折してまた見通しの悪い交差点。
ここまで来ると、
あとはコースを端から端まで行ったり来たりするだけなので楽勝だ。
左折2回をこなすと信号機がある。
これ、間隔が非常に短いので、進入時に青だと要注意なのだが、
幸い今日は赤だったので止まるつもりで走っていけた。
あとは進路変更して右折を2回、坂道発進(ATだから楽勝)ののち、
徐行で坂を下って最後の左折、右折。致命的なミスもなく、ひとまず完走である。
けっこう余裕の表情で講評を聞く。
すると、まぁ例の衝突寸前事件は指摘されたものの、
あとは「もっと的確な判断をしろ」という抽象的な指摘にとどまった。
例のミスが何点減点に相当するか確認すると、
試験中止になっていないことから「交差点不確認」に該当し、
おそらく10点減点で済むと思われる。
細かいところで20点まで減点されてもだいじょうぶということで、
それほど心配することはなさそうだ。
試験後、受験を待つ兄ちゃんに根掘り葉掘り聞かれたので答えてきた。
どうもこの兄ちゃん、取り消しを食らって今日が4回目の受験なのだそうで。
取り消しを食らうほど激しい運転のできる人が4回受けても合格しないのだから、
やはりこの試験、「技能試験」というよりも、
専用の対策の必要な「技巧試験」なのではなかろうか。
と、無事に試験は終わったのだが非常に胃が痛い。
合格発表が1時間以上あとであることを確認し、いったん試験場を出て駅のほうへ。
一刻も早く胃薬を買いたかったのだが、
薬屋より先にセブンイレブンが見つかったので、
ここで500ml100円のジュースを買って胃液を薄め、胃痛をごまかすことにする。
試験場に戻って、待合室で一息。
1時間強、今日の記録を書いて時間をつぶすことにした。
とにかく試験場では待ち時間が多いので、ひまつぶしの道具は必須である。
そうこうするうちに、徐々に発表が始まった。発表の順序はまちまちである。
というのは、発表が試験官単位で行われるからで、
複数の試験官で行われた仮免のMTは3、4回に分けて発表があった。
で、私の試験官は一番最後の発表だった。
当然合格だろうという気分で待っていたのだが、名前は呼ばれず。ガーソ。
納得できないながらも次の試験日を11月29日とした(最速でも26日の午前)。
帰りながら考える。やはり、あの「ブレーキ踏み未遂」が致命傷なのか?
技能的にはそれしか心当たりがない。
だとするとこれ以上の練習は不要で(ここが指定校にくらべて有利なところ;
指定校なら必ず1時間は補習を受ける必要がある)、
実に半月後の試験を待つしかないことになる。
ほかに思い当たることは…と考えてみると、やはり無意識のうちに、
試験官という名の警察官に敵意を抱き、応対がぶっきらぼうになっていたことか。
行きがけにもらった例の「警察官には礼儀も重要」
という紙が今さらながらに思い出される。
そんなんで「技能」試験を不合格にされたのではたまったもんじゃないが、
しかし微妙な採点のさじ加減に影響を及ぼさなかったとは限らない。
で、いま一番恐いのは「そのほかに原因があること」だ。
それがもし存在するなら、次に受けてもまた同じ原因で不合格になってしまう。
などなど、考えながら帰宅。1900円の回数券をまた1冊買った。
あと何冊買うことになるのだろうか。
また、今後のスケジュールも気になる。次の試験に合格したとして、
12月に5日間の路上練習をこなし(これは休日でもOKなので可能だ)、
本免許の学科試験を受けられるのが20日以降。
これでは年内に技能試験が回ってくることはなさそうだ。
ということは、免許取得は来年に持ち越しか。
取得後はさらに取得時講習でしばらく待たされる懸念もあり、
今年度中に取れれば御の字といったところだな。
…と書いていて、ちょっとショックなことを発見。
最初に指定された11月26日、スケジュールをよく見たら平日なのに仕事が休みだった。
この日にすれば、最速でしかも身体が楽だったのにー。
マクロに見れば大差はないのだが、これに気付いてどっと疲れが出た。
貸車券 | ‥‥‥‥‥ | 1100 |
回数券 | ‥‥‥‥‥ | 1900 |
Part 12 小計 | 3000 | |
これまでの合計 | 166400 |