金券ショップに行くと、
たしかに正価より安い新幹線や飛行機のきっぷが並んでいます。
が、これらはいったい何なのでしょう?
まさか、金券ショップ用の特別のきっぷではないはずだし…
このページでは、 金券ショップで売られている商品の素性についてまとめています。
売られている商品がどういうものかを知れば、 「どの区間のきっぷが安く買えるのか」「相場はどのくらいか」 「使用上の注意点は何か」といったことが分かってきます。
新幹線の場合、売られている商品は回数券のばら売りがほとんどです。
新幹線の回数券の主流はその名も「新幹線回数券」という商品で、
〔のぞみ〕を含む全列車の指定席を利用できますが、
1枚あたりの価格は自由席と同額程度というのがふつうです。
つまり、「自由席のねだんで指定席に乗れる」という意味しかありません。
東京・静岡間や新大阪・静岡間など、
〔のぞみ〕を利用しにくい区間では「ひかり・こだま自由席(or
指定席)回数券」といったものが発売されていることがあります。
ねだんは通常の運賃・料金の1割引程度と、これもそれほど安くはありません。
なお、ほとんどのきっぷは年末年始、GW、お盆には利用できません。
2003年10月のダイヤ改正に合わせて、 これまでの主力商品だった「新幹線ビジネスきっぷ」が廃止されました。 これにより、金券ショップでの実勢価格は相当上がっています。
このほかにJR各社の株主優待割引券も見かけます。 券自体の売値が高く、単純に新幹線を利用するだけだとそれほど安くなりませんが、 繁忙期にも利用できたり、マイナーな区間でも割引になったりする利点があります。
航空では、以前は無記名式回数券が商品の柱となっていましたが、
最近は記名式の回数券しかないため、
株主優待券(割引券)の利用が一般的のようです。
株主優待券は、1枚で任意の路線の航空運賃が50%引きとなるもので、
利用の方法は2パターンあります。
まず1つは、優待券そのものを金券ショップで買い、
その優待券を利用して、旅行会社などで割引航空券を買うという方法。
もう1つは、店があらかじめ「便を指定しない割引航空券」を買っていて、
客がその航空券を金券ショップで直接買う方法。後者の方法では、
店には単に「便変更可の格安航空券あります」と書いてあるだけのことが多いようです。
株主優待券は任意の路線に使える割引券なので、
割引券そのものを買ってくれば、どんなマイナーな区間にも利用できるのが便利です。
競合のないマイナーな路線は一般的に割引が乏しいため、
そうした路線では株主優待割引は相対的にかなり有利です。
逆に、2社以上が競合する路線では、株主でなくても利用できる割引が充実しており、
そうした割引を利用したほうが安くつく場合も多くあります。
航空各社の Web ページを読むと、株主優待運賃に関する情報は見つけにくいのですが、 「IR情報」「株主のみなさまへ」といったコーナーにあります。
金券ショップの中には旅行会社と手を組んでいるところがあり、
そういったところでは「飛行機を利用したツアー」
を航空券のように売っているところもあります。
また、一般の人がふつうに買える割引航空券(「特割」「早割」など)も、
一部の金券ショップに頼むと若干安く手に入ることがあるようです。
まったくの推測ですが、
「月に○百万円売り上げたら、航空会社は旅行会社に×%の奨励金を出します」
といった制度があり、その奨励金のぶんを割り引いてくれているのではないかと思います。
その他の交通機関に関しては、 回数券のばら売りと株主優待券(1枚で1乗車)、 プリペイドカードが主力商品です。
また、最近では、 青春18きっぷを取り扱う店が少数ながらあるようです。 ただ、ふつうの回数券のようにばら売りができないため、 いったん全部を売ってしまい、 一定の期間内なら余ったぶんを買い戻す、という形態が多いようです。
たまに、期間内なら何度でも乗れるタイプの株主優待券が売られていますが、 長距離の定期券を意識した価格設定になっていて、たいして安くないのが常です。
以下、単なる利用者にとっては余談となりますが、 金券ショップの「仕入れ」について、外からのぞいて考えてみました。
最も単純なのは、自分で回数券を買って、 それをばら売りする方法。 単純なばら売り価格より高い売値をつければ商売になります。 また、買うときにクレジットカードを使うなど、 少し工夫すれば何らかの特典を得ることもでき、利益の上乗せになります。
回数券を買ったけど余ってしまった、 でも制度上は払い戻しができないので困った、という人はたまにいるでしょう。 こういう持て余された回数券を買い取ることもあります。 買う側はある程度「買いたたく」ことができるので、 これなら単純なばら売り価格より安く売ることも可能でしょう。
乗車券類の買える「旅行券」を金券ショップに持ち込む人がいます。
「お歳暮で旅行券をもらったけど使わない」という、うらやましい :-)
人が売りにくるのでしょう。
当然、買い取り価格は額面より安くなります。
このように安く買い取った旅行券で回数券を買うと、
正価より安く回数券を手に入れることができます。
これなら単純なばら売り価格を下回ることも可能でしょう。
この「手口」のため、商品券類はたくさん店頭に並んでいるのに、 乗車券類の買える商品券だけは全般に品薄です。 それでも以前よりよく見かけるようになったのは、 不況下で「現物持ち込ませ」が幅を利かせているからかもしれません。
なんだか妙な日本語ですが、
「持て余した回数券の買い取り」の確信犯的な用法です。
鉄道の回数券はクレジットカードで買うことができます。
これを正規の方法で払い戻してもクレジットカードにお金が戻るだけですが、
これを金券ショップに持ち込めば、預金口座から代金が引き落とされるまでの間、
一時的に現金を用立てできます。
売れ筋の回数券ならかなり高く買い取ってもらえますから、
消費者金融などより有利…なんでしょう。
最近はこの手の宣伝を町中でよく見かけます。
また、「後払いで金券を売る会社」と「金券を買い取る会社」が結託し、
金券を媒体とした金融会社と化しているところもあるようです。
さらに、旅行会社の営業所が「売り上げ実績を伸ばして報奨金をもらいたい(or
ノルマを達成したい)から」と、大量にきっぷを持ち込む例もあるようです。
私が想像できたのは以上の4つですが、このほかにもまだ何かあるのかも。 業界の裏事情には詳しくないのですが、 怪しげな領域に足を突っ込んでいるものもありますね。
これに似た「手口」で、乗車券類の買える商品券をクレジットカードで購入、 それを持ち込んで換金、ということも考えられます。 汎用性が高いぶん、こちらのほうがより売り手には有利ですし、 自分の好きな区間の回数券が手に入るので、買い手にも都合がいいでしょうが、 こうした「手口」にはカード会社も警戒を強めているようです。