金券ショップで買うのがほんとうに一番安いのか、
考えて利用していますか?
「正規のきっぷ売り場じゃないから安そう」という印象を受けがちですが、
正規の割引を利用したほうが安いこともあります。
このページでは、金券ショップで扱われている代表的な商品について、
その安さがどの程度なのかをまとめています。
総論:回数券のばら売りは商品による差が大きい。 もともと割引率の高い回数券のばら売りは利用価値が高いが、 そうでなければ安さは知れている。
鉄道の回数券で飛び抜けて安いのは、 高速バスや飛行機との競合がある一部の区間のみ。 新幹線を含め、その他の区間ではおまけ程度にしか安くならない。
航空の場合、株主優待利用は、 よほどの長距離やマイナー路線でなければあまり安くない。 予定が急に決まったり、 予定が急に変わる可能性があったりする場合には向いているが、 そうでなければ、 正規の割引運賃やホテルとセットの旅行商品のほうが安い可能性が大。
結局、お得な用法を知る早道は「どういう回数券が存在するか」を知ることなのです。
金券ショップにできることは、回数券を「ばらすこと」だけですから。
「この回数券は安くていいな、でも自分で買ったら余る」というときにはじめて、
金券ショップという選択が浮上してきます。
まずは新幹線についてですが、東海道新幹線については、2003年10月以降、
販売価格がかなり上がっています。これまで主流だった「新幹線ビジネスきっぷ」
「新幹線エコノミーきっぷ」が廃止されたためで、
代わりになる商品はそれほど安くありません。
たとえば東京・大阪間を〔のぞみ〕で移動すると、
通常の運賃・料金の合計が14050円(通常期)であるところ、
金券ショップで「新幹線回数券」のばら売りを入手すると13200円程度です。
学割(乗車券2割引)を利用すると片道12340円ですから、
学生にとっては金券ショップのほうがむしろ高いことになります。
その他の新幹線はもともとそれほど安い商品がなかったため、
後述する「例外的に安いもの」を除けば、
割引額は1割に満たない程度と思ってください。
〔のぞみ〕じゃなくて〔ひかり〕でいい、あるいは指定席じゃなくて自由席でいい、
だからもっと安いきっぷはないか?と思う人もいるでしょうが、
東京から名古屋や大阪へ行く場合、〔ひかり〕専用、
あるいは自由席専用の回数券はないので、
結局は〔のぞみ〕指定席にも乗れるきっぷを13200円程度で買うことになります。
東京・大阪間の場合、1週間前までに予定が決まっていれば、
片道12000円で〔ひかり〕指定席を利用できる「ひかり早特きっぷ」があります。
これが利用できる人は、金券ショップに行くまでもありません。
新幹線の中にも例外的に安いきっぷの存在する区間があります。 それは主に、飛行機との競争が激しい区間です。
具体的には、まず大阪・博多間がこれに該当します。
〔のぞみ〕普通車指定席利用時の通常価格が14890円(通常期)のところ、
この区間の「新幹線回数券」は1枚あたり12900円で、かなりの差があります。
さらに、期間限定でもっと安い回数券が発売されていることもあります。
ほかに東京・秋田間も飛行機対策の安いきっぷがあります。
〔こまち〕普通車指定席だと通常片道16810円のところ、
「こまち回数券」の1枚あたりの価格が13300円です。
新幹線に利用できる商品といえばもう1つ、株主優待券があります。
が、結論からいうと、
新幹線の普通車に乗るためだけに株主優待券を利用するのは、
かなりの長距離でなければ得策ではありません。
たとえばJR東日本では、株主優待券は「1枚で1列車の料金券と、
その列車を含む片道乗車券が2割引」「2枚で同様に4割引」という効力を持っています。
株主優待券の売価を1枚1600円と見積もったとき、
「通常価格の10%引き」を得ようとすると、通常価格が片道10670円以上になる区間
(東京から新幹線の普通車利用だと仙台以遠)を利用しなければなりません。
「通常価格の20%引き」を目指すなら通常価格16000円以上の区間になります。
JR西日本の株主優待券は、2005年から「1枚で片道5割引」となり、
株主にとっては利用価値が上がりましたが、
これにともなって優待券の実勢価格も上がるはずで、
「株主優待券を金券ショップで買う人」にとってどの程度の効果があるかは、
まだ分かりません。
株主優待割引は繁忙期にも利用できますので、
めぼしい割引きっぷが利用不可の場合には次善の策として活用できます。
ただし、JR東海の株主優待割引はJR東日本・西日本にくらべてしょぼいので、
気休め程度にしかなりません。
株主優待割引は、通常運賃の5割引なので一見安そうに見えますが、
それはあくまで、株主優待券がタダで手に入る場合の話。
株主優待券を他人から買って利用する場合は話が別です。
株主優待割引の航空券は、便の変更が何度でも可能であったり、
繁忙期にも使えたりと、かなり使い勝手のいいものです。
となると、「座席数限定」「季節限定」「便変更不可」など、
制限の厳しい割引航空券より市場価値は高くなります。
したがって、株主優待券の市場価格は、
「それを利用して主要な路線の航空券を買ったときに、
使い勝手の悪い割引運賃より高くなる」程度に決まってきます。
したがって、「とにかく安く移動したい」という人は、
まずは「制限の厳しい割引航空券ではダメなのか?」と考えるところから始めるのが賢明です。
具体的には、多くの路線で、
割引率が最大5割ほどの「事前購入割引」や「特定便割引」が使えます。
もし条件に合致する割引があれば、
それを使うのが文句なしに一番安く行く方法です。
若者ならスカイメイト割引運賃もいいでしょう。
また、旅行会社が出している各種のツアーも検討に値します。
ホテルがセットになっているのが常ですが、
往復の航空運賃にも満たないようなねだんのツアーも多くあります。
「出発日が迫っている」「当日まで予定が確定しない」「繁忙期で通常の割引がない」
など、こうした割引が利用できないときに初めて、
株主優待割引を検討するのがいいでしょう。
金券ショップには乗り物用の各種プリペイドカードもあり、
雀の涙ほどではありますが正価より安く売られています。
ふだんプリペイドカードを現金で買っている人は、
金券ショップを利用したほうが確実に有利ですが、
一部のプリペイドカードはクレジットカードでも買え、
そちらのほうがトータルでは安くつくこともあります。
たとえば、JR東日本の「ビューカード」をすでに持っている場合、 これを使ってオレンジカード・イオカードを購入したり、Suica へチャージしたりするとポイントが貯まります。 貯まったポイントをオレンジカードなどに交換すると、 1.5%のキャッシュバックに相当します。 さらに、貯まったポイントをルミネ商品券に交換すると、 通用範囲が狭いものの1.92%のキャッシュバックに相当し、この場合、 実質的には約981円で1000円のオレンジカードなりイオカードなりが買えることになります。 オレンジカードを恒常的にこの価格で売っている金券ショップはあまりないはずです。
JR以外のプリペイドカードをクレジットカードで買うのはそれなりに困難ですが、 パスネットや首都圏のバス共通カードなどだと、 カード会社のサービスカウンターなどで取り扱っている例があります。 自分の持っているクレジットカードの特典と照らし合わせて、 どちらが得か検討してみてください。
ビューカードの例で、
実際にオレンジカードだけ購入して1.92%のキャッシュバックを受けるには、
2年間で実に209000円分のオレンジカードを買う必要があります。
オレンジカードだけのためにビューカードを持つなら、
年会費も考慮すべきでしょう。
この例はあくまで「すでにビューカードを持っていて、
年間10万円程度は利用している(or
他の方法で所定のポイントを貯められる)人」がオレンジカードを買う場合の話です。