まず、実際に遭遇する確率は低いものの、
偽造券をつかまされるリスクがあることは知っておく必要があります。
だれかがニセ物を作って、それを金券ショップに持ち込んだとします。
もしそこでニセ物だと気付かなければ、それがそのまま客に流れます。
これでJRや航空会社も気付かなければ、ひとまず利用者に被害はないわけですが
:-)、使おうとして「それはニセ物だ」と言われた場合、
そのきっぷは当然ながら使えません。
きっぷ自体には金券ショップ名が書かれていないので、
きっぷを購入した店も責任をとってはくれないでしょう。
運送会社非公認の店で入手したニセ物(=紙切れ)で乗り物に乗ろうとすれば、 単なる不正乗車と扱われても無理はありません。 かりに自分に悪意のないことが証明されたとしても、 運ぶ側に補償を求めるのはお門違いでしょう。
きっぷを買ったあとの予定変更についても、
購入前に知っておかないと思わぬ出費になります。
金券ショップできっぷを買ってから旅行を中止することになった場合、
JRや航空会社では払い戻せないので、
払い戻しも金券ショップに頼らざるを得ません。
つまり、金券ショップで買ったきっぷを、今度は金券ショップに売るわけです。
買値と売値の差額はきっぷや店にもよるでしょうが、
大口の取引でもありませんので、それなりに買いたたかれることを覚悟しましょう。
扱いが乱雑できっぷが折れ曲がってしまっていると、 それだけで商品価値が下がります。 きっぷの現物を売買するのですから、外見にも気をつかわねばなりません。
手に入れたきっぷがクレジットカードで購入されたもののときには、 乗った列車が遅れたり途中で打ち切りとなったときなど、 事故時にも不利な扱いを受けることがあるので注意しましょう。
割引きっぷで乗った特急が遅れた場合、
特に定めのある場合には割引後の特急料金が、
そうでなければ通常の特急料金が払い戻されます。
ふつうにきっぷを使う人は心配無用です。
が、クレジットカードで買った回数券(券面に「C制」「東C」などと表記)では、
特急料金はクレジットカードに返金されます。つまり現金では戻りません。
これも、ふつうに買った人にはそれほど被害はありません。
ところが、金券ショップで買った回数券がクレジットカードで購入したものだった場合…これは不幸です。
何せ、その回数券を買ったクレジットカードなど、
どこにあるやら分かったものではありません。
ということは払い戻しが受けられないのです。
本来、事故時にはクレジットカードで購入したものでも(要求があれば)
現金で払い戻すべきで、そういう内部規定も一部の部署にはあるようです。
が、約款で規定されているわけではないので、
実際には拒否されることもあります。
このような扱いが金券ショップ対策であることは想像に難くありません。
意外に見落としがちなのが有効期間です。
回数券には有効期限があります(標準で3カ月)。
売れ筋の商品ならたいてい発券したてのものが置いてありますし、
店のほうもあまりに期限の近いものは売らないはずですが、
使用日まで間があるときは、
乗る日まで有効かどうか確認してから買いましょう。
また、回数券には、年末年始、ゴールデンウィーク、
お盆など繁忙期に利用制限期間が設定されているのがふつうです。
この期間に旅行をしようとしているときには要注意です。
期限切れ間近のきっぷは「たたき売り」される場合もあります。 ふつうは通常価格で売り切るように金券ショップも考えているはずなので、 こういうのを見つけたらラッキーですね。
しつこいようですが、最後にもう一度、念を押しておきます。 金券ショップを利用するかしないかは、 リスクを知ったうえで自己責任で判断してください。
金券ショップは、
使わなくて済むならそれにこしたことはない、というのが私の考えです。
回数券をばら売りすることは、法規上問題ないとしても、
運送側の想定外の行為です。偽物騒動があると、
必ず「きっぷは当社指定の発売所でお買い求めください」という掲示が出ますが、
これは裏を返すと「うちに無断で売ってるところできっぷを買っても面倒は見ないぞ」ということです。
本来、回数券は、何度も利用してくれる「お得意さま」のための商品で、
金券ショップを介して赤の他人どうしが利用するというのは想定外です。
そんな、意図に反する回数券の売りかたをされて、
あげくのはてにニセ物まで出てきては、この反応は当然でしょう。
(航空各社が無記名式の回数券を発売しなくなったり、
青春18きっぷが「1葉で5回分」になったりした理由もこのへんにあるのでは、
と容易に想像できます。)
また、金券ショップの仕入れには、
単に「自分で買ってきてばら売り」「不要品を買い取って売る」というだけではない、
不透明な面もあります。特に最近は、前述のとおり、
クレジットカードの「ショッピング枠」を利用して融資を受けるという手法がかなり有名になってきており、
金券ショップで新幹線の回数券を買うという行為は、
こうした手法の一翼を担っているという言い方もできます。
利用者に直接のリスクがあるわけではありませんが、
個人的には利用者が心に留めておくべきことだと思っています。