この文書は本来、世の中の現状について解説するために公開しているものであり、
常に現状に追随することが期待されます。
しかし実際には、最後の更新(ページ末尾に記載)から相当な年月が経過しており、
記載内容は現状に追随していません。
また、この文書を今後更新する予定はありません。
したがって、この文書は本来の目的を達成していません。
最終更新当時の世の中の様子を伝えるという、
本来とは異なる目的で公開を続けているものです。
以上の点を理解のうえ、お読みください。
7890形と8701形の2形式は、もともと3801形と呼ばれる車両でした。
3801形は西大阪線の難波延長を見越して新造された車両で、
第1・2編成が1974年に、第3編成が1977年に登場しました。
西九条以東にできるであろう連続下り勾配に対応するため抑速ブレーキを装備、
モーターもそれまでより少し出力の大きい130kWとした意欲作でした。
ところが、第1編成は故障続出のためあっさり捨てられてしまいます。
その台車の一部は8000系8217〜8220に流用されています。西大阪線の延長話は USJ
開業や五輪誘致の関係でようやく本決まりになりましたが、
3801形の登場からはすでに25年以上が経過しています。
西大阪線の延長計画こそ不透明だったものの、
本線でも発電ブレーキは必需品となりつつありました。
しかし、そのころの阪神には発電ブレーキを持たない「経済車」が依然として多く、
特に2連で使える車両はほぼすべてが発電ブレーキを持っていませんでした。
3801形は4連ですから4+2で6両編成を組まなくてはなりませんが、
2連がすべて発電ブレーキなしでは、
3801形のせっかくの発電ブレーキが生きません。
そこで、3801形2編成8両のうち6両を組み替え、6両固定の8701形としました。
そして、残った2両は武庫川線専用車両の7890形となりました。
7890形は改造時にすでに武庫川線専用車両となることが決まっていたため、
それ相応の改造がなされました。
具体的には、3801形の売りものであった発電ブレーキを使用しないようにし、
また、武庫川線が最高速度45km/hであることから、
モーターの接続を永久直列にしてしまいました。
つまり低速走行しかできないようにしたのです。
これで本線がまともに走れないようになってしまいました。
また、もともと3801形では先頭車にパンタがなかったのですが、
7890、7990ともに先頭車であることから、7890の前方にパンタが新設され、
7890の大きな特徴となっています。
最近では、武庫川線のワンマン運転開始にあわせてワンマン対応改造を受け、
武庫川線の看板車両として活躍中です。
いっぽう、8701形のほうは特に走行機器の改造は受けず、
4両を6両にしただけと言ってしまってもいいような状態で走っています。
が、「走っています」というのは、実はどうだか分かりません。7890形は、
他の車両にはなかなかつとまらない武庫川線勤務を毎日のようにこなしていますが、
この8701形、モーターや制御器、ブレーキが他とちがうものになっているせいか、
どうも車両運用上は第一線から外されているようで、
昼間お目にかかることはあまりありません。
そんなわけで近年はとみに目立たない8701形ですが、
ドアカットスイッチを1997年度末にようやく取り付けられて、
三宮駅3番線の降車ホーム使用も可能となるなど、
まだまだ戦力として認識されているようです。
今日もどこかできっと走っているはず。たとえラッシュ時の1往復だけだとしても。