トレインシミュレータ(阪神)発売

シリーズ初の関西編は阪神。完成度の高さは特筆もの。

概要

 1998年7月17日、 音楽館から「トレインシミュレータ 阪神電気鉄道」が発売されました。 シリーズ12作目にあたりますが、関西の鉄道が取り上げられるのは、 これが初めてです。
 回を重ねるごとに完成度が上がっているという評判のとおり、 完成度はこれまでで一番、というのがもっぱらの評価のようです。 5500系、9000系のインバータ音がかなり忠実に再現されるなど、 満足のいく出来映えになっています。


主な特徴

車種は5500系と9000系

 シミュレートする車種は5500系(普通)と9000系(それ以外)です。 最新の車両であること、両者は運転台などがほぼ共通であることなどから、 妥当な選択でしょう。
 5500系をシミュレートするからには、 あの高加速も再現されていなくてはなりませんが、その点はだいじょうぶ。 阪神の現役運転手が「ダイヤどおりに走れる」と太鼓判を押したそうです。

種別は普通・準急・急行・快急・特急・直特

 上りのみ運転の種別(区急、区特)を除いた6種類が見事にそろいました。 といっても、種別ごとの差は、普通とそれ以外の差を除くと、ほとんどありません。 微妙な余裕の入りかたが一番のちがいといえるかもしれません。
 発車番線などを忠実に再現するため、準急は今津から、急行・快急は野田から、 という半端な設定になっています。ただ、快急が三宮2番線着なのが謎です。 調べてみると、どうも、三宮到着後、 高速神戸(だったか)まで折り返して回送となる、 珍しい快急をシミュレートしているようです。

阪神電車が全面サポート

 シミュレートされる側の阪神電車が、 驚くほど積極的に制作を支えたことは特筆すべきでしょう。 撮影専用列車の運転から、完成記念イベントの挙行、 さらには駅長室などでの販売まで、全面的にかかわっています。
 細かな制限などが余すところなく再現されているのも、 このサポートによるところが大きいものと思います。

高い完成度

 全体に、かなりのできばえだといえます。
 まず、一番インパクトがあったのが走行音。5500系、 9000系の独特の加減速音をかなり忠実に再現しています (特に減速のほうがよくできている)。
 また、運転面では、実際のスタフを時刻表示に採用したり、 細かな制限をもれなく採り入れたりと、より本物に近づけよう、 という意欲が随所にうかがえます。スタフが複数面にわたる普通の場合には、 西宮と御影で「めくる」のですが、このめくりかたひとつとっても、 ほんとうに神経を使っています。
 これらに加え、メニュー画面などで流れる音楽も充実(さすがは本業!)。 ついついループするまで1コーラス聴いてしまうほどです。:-) 曲によってはけっこう長く作ってあります。


試験のしくみ

 トレインシミュレータというと、 最初のころは「試験に通らないと全線運転できない」というしくみになっていて、 試験になかなか通らない人から、どうしても全線運転したいんだ、 という嘆願が発売元に届くなんてこともあったようです。:-)
 そんなわけで、今回は、最初から全種別が運転できるようになっています。
 ただ、試験はあります。準急→急行→快急→特急という順で受ける9000系の部と、 5500系の部があって、両方に合格すると(減点が一定以下だと)、最後の試験、 直通特急を受けられるしくみです。 ただ、最後だから特に難しいということはありません。
 その直通特急の試験に合格することが最終目標となります。

 が、実は、それに飽きたらない人のために、さらに上が用意してあります。 デジタルの速度計と停止位置までの距離表示を隠して、 なおかつ減点なしで全種別を運転できれば100万円…じゃなくて :-)、 もれなく「無減点走行認定証」(実物)がもらえます。 ID番号が表示されるので、それを音楽館に送って、 認定証を送ってもらうというしくみです。

 ちなみに、無減点走行のIDですが、同じコンピュータでやっても、 ユーザごとにちがうものが出るようです。無減点走行達成後、 別のユーザを作ってもう一度全種別をクリアしたら、ちがうIDが出ました。 ユーザ名を適当にいじってIDを生成しているのかな。


実際にやってみると…

試験はクリア

 私自身は、発売日にさっそく購入し、すぐにやり始めました。

 まずは、全種別の試験をとりあえずクリアすることに集中しました。 その結果、9000系の部はわりあいかんたんにクリアできたのですが(もっとも、 岩屋以西の地下線は、最初はかなり難しかった)、 停車駅が30近くもある5500系の普通がどうにも難しく、苦労しました。 一晩で全部片づけましたが。

 となると、次は無減点走行。 これも、9000系については早々と達成したのですが(発売3日目までに)、 停車駅の多い5500系だけはなかなか達成できず、苦労しました。 ただ、これが終わらないと何も手に付かない気がしたので、 なんとか7月22日にはクリアしました。

 ということで、現在は弟とともに「認定証ホルダー」です (^^)

やりにくい駅・区間

 普通では、元町→西元町で時間が足りず、毎回苦労します。 定時で走るのはかなり困難です。私自身は、 なんとか5500系で3秒程度早着することができるようになったんですが、 かなり無茶な運転なので、 無減点走行挑戦中にはかんべんしてほしいものがあります。
 あと、停まりにくいのが新在家。 停止位置の標識と実際の停止位置が微妙にずれているうえ、 「T標識」がかなり停止位置に近いところに設置されているので、 ついついオーバーランします。
 それから、元町、高速神戸も個人的に嫌いです。 広告に埋もれて、停止位置の標識が遠くからは発見しにくい…

 また、へたに時間の余る区間はやりにくいものです。 朝ラッシュ時の列車を再現しているために余裕(というより前の列車への「つかえ」) が多い直特は論外としても、普通の尼崎センタープール前→甲子園、 特急の梅田→西宮、そして西元町→高速神戸など、速く着きすぎて、 もうどうしようかと思います。
 駅に入ってから、停止位置の手前で停車するといろいろ不幸なので、 駅に入る直前で待つのがいいんだと思いますが、 そこで待ちすぎると逆に延着となってしまい、やり場のない怒りが…(;_;)



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最終更新: 1998年10月16日
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