この「付録2」は、 最長片道きっぷの経路を求める方法を記した「本編」に付随するもので、 「経路編」「質問編」の2部構成です。
2004年3月13日、九州新幹線(新八代・鹿児島中央間)が開業すると同時に、
並行する在来線のうち八代・川内間が第3セクター化されました。
また、同時に上越新幹線の本庄早稲田駅が開業し、これに関連する部分、
関連しない部分の双方で運賃計算の特例に若干の変更がありました。
これらのできごとにより最長片道きっぷの経路が変わったため、
あらためて最長経路を求めることにしました。
このページ「経路編」では、2004年3月13日時点での最長経路を紹介します。
また、ここで紹介する経路をもとに旅人が実際に旅行するという、 類まれな紀行番組「列島縦断 鉄道12000kmの旅」が NHK で放送されています。「質問編」では、 この番組を見た人が不思議に思いそうなことをQ&A形式でまとめます。 さらに「質問編九州版」では、 最長片道きっぷの「流儀」によって九州内の経路がどう変わるかをまとめています。
最も多くの人が関心を持つのは「2004年3月以降の最長経路はどういうものか」
という点だと思いますが、
実際に計算してみると在来線が新幹線に置き換わり、
大阪環状線部分を遠回りで計算できるようになっただけという結果で、
その他の地域には影響がありませんでした。
具体的な経路は以下の図を見てください。
なお、この図に示された経路は 「新下関・小倉・博多間では新幹線と在来線を重複利用できない」 という解釈にもとづいて計算した結果ですが、 「重複利用可」という解釈にもとづいて計算しても、 やはり変更点は「在来線を九州新幹線に」「大阪環状線を遠回りで」の2点のみでした。
従来と比較すると、以下の部分で運賃計算キロが変わっています。
また、前回までは「新下関・小倉・博多間で、
一定条件のもと新幹線と在来線を両方利用できる」という解釈に基づいていましたが、
今回から「排他利用」という解釈をメインに据えたため、
九州新幹線開業の影響を除いて運賃計算キロが42.7km短くなっています。
付録1(2002年12月)の時点では、全経路の運賃計算キロは11614.9kmでしたが、
以上の増減を加味すると、
新たな経路の運賃計算キロは11552.7kmとなります。
念のため、筆者作の運賃計算システム「MARS」の計算結果を引用します。
稚内 → 肥前山口 経 由:宗谷,石北,釧網,根室,富良野,函館,[岩見沢],室蘭,千歳,函館, 江差,海峡,津軽,東北4,東北新幹線,山田,釜石,東北,北上,奥羽,羽越, 米坂,奥羽,陸羽東,東北,大船渡,気仙沼,石巻,仙石,東北新幹線, [(北)福島],東北,[岩沼],常磐,磐越東,磐越西,信越1,[長岡], 上越新幹線,越後,[柏崎],信越1,上越,飯山,信越1,北陸,大糸,篠ノ井, 信越1,北陸新幹線,上越新幹線,[越後湯沢],上越,両毛,東北,水郡, 常磐,武蔵野,東北,[赤羽],埼京,山手2,東北,総武2,総武,[佐倉], 成田,[松岸],総武,東金,外房,[安房鴨川],内房,京葉,東北,中央東, 武蔵野,埼京,高崎,八高,青梅,南武,東海道,[品川],東海道3,[鶴見], 東海道,[横浜],根岸,[大船],東海道,[国府津],御殿場,[沼津],東海道, 身延,中央東,横浜,新幹線,[小田原],東海道,[三島],新幹線,[静岡], 東海道,飯田,中央2,[岡谷],中央東,中央西,東海道,関西,紀勢,和歌山, 桜井,関西,[今宮],大阪環状,片町,関西,草津,東海道,湖西,北陸, 東海道,高山,北陸,小浜,舞鶴,山陰,東海道,[新大阪],新幹線,[西明石], 山陽,東海道,福知山,山陰,因美,姫新,山陽,[相生],赤穂,[東岡山], 山陽,津山,姫新,伯備,山陽,福塩,芸備,伯備,山陰,三江,芸備,山陽, [岩国],岩徳,[櫛ヶ浜],山陽,山口,山陰,美祢,山陽,[新下関],新幹線, [小倉],鹿児島1,日豊,吉都,肥薩,日豊,鹿児島2,[(鹿)川内], 九州新幹線,鹿児島1,久大,日田彦山,後藤寺,筑豊,[折尾],鹿児島1, 篠栗,筑豊,[原田],鹿児島1,長崎,佐世保,大村,長崎 JR線営業キロ:11158.0km 運賃計算キロ:11552.7km JR北海道営業キロ: 1601.5km 運賃計算キロ: 1685.1km JR九州営業キロ: 1180.1km 運賃計算キロ: 1208.7km 普通片道運賃 :大人 90820円 小児 45410円 学割 72650円 普通片道乗車券の有効日数は57日です。
新下関・小倉・博多間での新在同時利用を一定条件下で認めるという解釈に基づくと、
営業キロは11202.1km(44.1km増)、運賃計算キロは11595.4km(42.7km増)となり、
運賃は大人91140円、有効日数は58日となります。
運賃計算キロより営業キロのほうが増加が大きいのは一見すると妙ですが、
これは「新在同時利用不可」のほうが「新在同時利用可」
より地方交通線を多く利用するためです。
具体的には、「新在同時利用不可」の制限を外すと、
地方交通線の増加分は「長者原→香椎」「新飯塚→桂川」の2区間(営業キロ計14.0km)、
地方交通線の減少分は「新飯塚→折尾」(営業キロ26.8km)で、
新在同時利用を認めると、最長経路における地方交通線の乗車距離は逆に減少します。