「ラッチ外乗継10連続」、やろうと思えばかんたんにできる。そこで、実際 にやってみることにした。当日は7時半に起床。睡眠4時間にもかかわらず、 である。授業に出るときより気合いが入っている。小田急の各停から山手線へ 乗り継ぎ、高田馬場に着いたのは9時10分ごろだった。腹痛で、ちょっと体調 がすぐれない。
高田馬場から東西線に乗る。すべての始まりはこの高田馬場なのだ。あらた まった気持ちでSFメトロカードを改札機に投入、ホームへ。ちょうど5000系 が来た。車内はかなり混んでいた。飯田橋の駅は、工事中で、まさに「場末」 といったふうだった。いや、飯田橋全体が「場末」というわけじゃなくて…。
腹痛、寝不足をかかえ、開始早々から先行き不安な「乗継旅行」だが、とり
あえず改札を出る。9時23分。まあ、9時50分までに戻ればいいな、と気楽に
考えていた。
セントラルプラザという大きなビルの1階に出る。ここの3階に富士銀行が
あるというので、行ってみる。目的は、旅行貯金用の100円硬貨を用意するこ
と。案の定、自動両替機があって、これで2000円を100円20枚に両替。昔から
「両替機」には特別な思い入れがあった。何せ、お金を入れるとか出すとかし
なくても機械が使えるのだ。10000円札を1枚持っていたら、まず5000円2枚
に両替して、次に1000円、500円、100円…と、何ら金銭的に損をすることなく
機械の操作が何度も楽しめるのだ。近くの両替機といえば、兵庫銀行武庫川支
店(今や「みどり銀行」だけど)。小学生のころには、ここの両替機にずいぶ
んあこがれたものだが、今ではこうして、まとまった旅行貯金の前には必ずお
世話になっている。
閑話休題、このビル、非常にきれいで、トイレもきれい。ということで、腹
痛の原因は水に流してしまった。ここまでで所要10分。
さあ、次は郵便局だ。飯田橋会館という建物の中にあるらしいので、探して
みると、すぐに見つかった。飯田橋郵便局。風景印あり。しかし、この郵便局
は「振り込み」と「貯金」を別々にしていて、貯金は番号札をとらなくていい
らしい。それで少し時間をむだにしてしまった。さらに、混んでいた。窓口で
待っている間に、改札を出てから20分が経過、どうなるかと思ったが、かろう
じて間に合った。その間に風景印をもらっておいた。ゴムが新しいらしく、ま
た、捺す人の腕も非常にすぐれていて、非の打ちどころのない風景印を入手で
きた。101系ふうの電車がかわいい。
坂を駆け降り、あわてて飯田橋駅にもぐる。改札を通ったら9時45分。23分
しか経っていないのだが、ずいぶんあせってしまった。
電車はすぐに来た。7000系。途中まで2段窓だったのに、目の前の車両から 1段窓に変わった。あとから増結したんだろう。増結車に座って、しばらくの んびりしていると、7000系インバータ改造車、ついで07系とすれちがった。な かなか楽しいな、有楽町線。千代田線と共通点も多いし(だいたい車両も乗り 入れ可能で、線路もひそかにつながっている!)、親近感の持てる路線だ。も っとも、乗る機会はまったくといっていいほどない。
池袋には、駅付近に郵便局がない(少なくとも地図では見つからない)こと が分かっているので、郵便局には寄らず、そのまま乗りかえることに。通路は かなり長く、しまいには東武東上線池袋駅まで来てしまった。この場所、私に は思い出深い。合格発表を見たあと、池袋の不動産屋(ごていねいに西宮まで 広告のはがき送りつけていたという…)に寄り、下宿のめどをたててから、朝 霞の知人の家に泊めてもらったのだ。「鉄」とはいえ、まだ右も左も分からな かった東京で、初めて「カン」をつかんだ場所というと、御茶ノ水かいわいと この池袋駅西口、ということになる。
さて、改札を入ると、すでに電車は停車中。だが、これが見事に満席。次の 電車のほうが新しければ、そちらに乗ろうと思ったが、見てみると、先発の電 車は第45編成。次発は30台だったので、結局先発の荻窪行に乗る。後楽園を出 たところで座れた。淡路町で下車。千代田線に乗りかえだが、これは何度もや ったことがあるので知っている。通路が長いのもよく知っている。
まず、線路の下をくぐって、向かいのホームに出る。向かいのホームの改札 を出ると、目の前に長い長い通路。300mはある。けっこう速足で歩いたのだ が、それでも5分かかった。改札をくぐると、ちょうど綾瀬行の6029Fが入っ てきたところ。がらがらだ。向かいには小田急1000系の直通準急。う…思わず 帰りたくなってしまった。
車端に落ち着く。竹林をイメージしたと思われる車内は、慣れているせいも あって、やはり落ち着く。赤いシートというのが不釣り合いだが…。いつも降 りている根津を通り過ぎ、西日暮里も過ぎて、北千住。ここまで来たのは、昨 年夏、最終の〔スーパーひたち〕を我孫子で降りて、家に帰るのに乗ったとき が最後である。
さて、北千住である。階段を上るとすぐに改札、そしてJR線連絡改札(機
能していない)があったので、出てしまいそうになるが、「日比谷線」という
表示があるので、ひとまずそちらに歩いていく。長かった。地図を見ながら歩
いていたので、時間の感覚もなくなってきた。どれくらい歩いただろうか、東
武の管轄に入った。…あれ? 改札出てないぞ?
改札を出ることが今回の目的なので、あわてて引き返す。そのへんの張り紙
にも目を向けてみたが、「不審物があったら…」という張り紙、そして、「ラ
ッシュ時には入場制限をすることがあります」という張り紙。なんと! 日常
的に入場制限があるほど、北千住の混雑はひどいのか。やはり東武、懐の深さ
は小田急以上なのかもしれない。(浅草のターミナルとしての立地が悪く、さ
らに常磐線があるのが原因か?)ともかく驚いた。
驚いてばかりもいられない。「ラッチ外乗継をやっている」という運賃表の
表記を見て来たのだから、ラッチ外乗継をやっているはずだ。そう思い、駅ビ
ルにある有人改札へ行ってみた。すると、どうも当を得ない。しばらくやりと
りをしていると、ここが東武の改札であることが分かった。
「カードで有人改札を通ると、この次に使えなくなります」
という案内を受けて、ふたたび千代田線の改札へ。ここで駅員さんに聞いてみ
たが、やはり答えは×。うーん、運賃表の記述はまちがいだったのか?
納得がいかないので、駅事務室に行ってみたら、意外な答えが返ってきた。
この駅はラッチ外乗継の対象駅ではないが、普通乗車券では、便宜的に、ラッ
チ外乗継を認めているという。通路もかなり混雑するようだし、そうでもしな
いと、混乱がさらに増すから、ということなのだろう。しかし、あくまで便宜
的なものであり、カードは使えない、とのことだった。
やっぱり納得がいかないので、運賃表をもう一部もらって、読みながら日比
谷線ホームへ…あれ? 北千住がラッチ外乗継になっていない。おかしいな…
としばらく考え、自分の行程表を見て納得。そういえば、ここは単なる乗継だ
った。まいったまいった。どうもすみませんでした>事務室の人。それでも、
「便宜上ラッチ外乗り継ぎ」が行われていた、という情報を得られたのは思わ
ぬ収穫だったといえよう。(正当化するなよ)
すでに入線していた東武の車両に乗る。20m車で3扉、しかも扉が偏ってい るため、ドア間が長いこと長いこと。ちょうど真ん中あたりに座った。10分ほ どで上野に到着。今度はまちがいなくラッチ外乗継だ。
さて、2000円も両替してきたのだから、やはりここは郵便局に行くべきだろ う。そこで上野駅前郵便局へ。たしかに駅からは近かった。かなり待たされた が、11時15分には入場。ちなみにこの郵便局、「見返り美人/月に雁」の記念 切手をまだ置いていたので、買ってきた。あと、風景印はなし。
銀座線で上野から三越前。うーん、東京だねぇ…。末広町から先は、秋葉原 の帰りによく乗るので慣れたものだ。どうせ、今日またあとで使うだろうし。
三越前で下車。この駅、知らないうちに改札を出てしまうという不思議な通 路があったのだが、今日はそこを通っては意味がないので、きちんと改札を通 した。三越の広告が目立つ長い通路を歩き、半蔵門線の駅へ。この乗りかえも 何度かやったことがある。
半蔵門線に乗る。「また」東急車だった。営団8000に乗りたいよぉ…。堅い シートに1駅座り、大手町で下車。そういえば週1回利用している駅だ。
まずは長いエスカレーターで地下の浅いところまで上る。そして、改札を出 てから、地下街をかすめつつしばらく歩くと、東西線乗り場。郵便局は、めん どうなので、しばらく探すのをやめようと思う。これから先、乗りかえの数が 尋常ではないのだ。
九段下まで05系に乗る。05系には最近よく乗るが、扉間の窓が1枚の新車に は全然当たらない。どうしたものかな。九段下で下車。西船橋通いの最初2週 間はこの駅を利用し、ラッチ外乗継をやっていたが、最近は利用していない。 回数券利用だと、ラッチ外乗継は改札機を通せず、つまらない。
ここのラッチ外乗継、特に東西線から半蔵門線へは非常に楽だ。階段を降り るだけ。なぜラッチ外なのか不思議なくらいである。30秒ほどで乗りかえを完 了。また半蔵門線だ。
やっと乗れた営団8000系。しかし、期待していた、0x系なみの増結車両はな かった。楽しみにしてたのになぁ…。これがないと、営団8000系は、6000系、 7000系と変わりない。永田町で下車。ラッチ外乗継ではない。赤坂見附からも 改札内で乗り継げるのだが、こちらはなぜラッチ外になっていないのか不思議 である。
まず、乗りかえようとすると、その長いエスカレーターに圧倒される。この 長さ、尋常ではない。半蔵門線の深さが尋常ではないということか。疲れたの で、自分の足で上るのはやめた。売店の整備されたコンコースを抜けて、有楽 町線の永田町へ。
7000系に乗る。最後尾はすいていた。車端に座るが、落ち着く間もなく有楽 町。あわただしい…。でも先は見えてきた。
駅名のちがう乗継は2度目。それなりに長い通路を歩いた。改札を出るとす ぐに都営の管轄に入ったが、Tカード発売カウンター、絵の展示など、なかな かいい雰囲気だった(Tカード発売カウンターがどうしていい雰囲気なのかっ て? いや、なんとなく…)。それからしばらく歩いて、ようやく日比谷線の 日比谷。これで営団のラッチ外乗継は制覇したわけだ。
2度目の日比谷線は03系。第31編成だ。デザインは洗練されているし、シー トの座り心地もなかなか。もっとも、ちょっとぺたぺたしている気がするが。 これに乗って2駅、東銀座で下車。これで営団はおしまい。
営団−都営の乗継は概して楽だ。運賃体系が異なるために改札を別にしてい
るのだろうから、改札外といっても遠いとは限らない、いや、営団同士より近
いことも多いのである。
東銀座もご多分にもれずそうだった。40秒ほどで乗り継げた。方向によって
はもっと楽なこともあろう。(たしかこの前がそうだった。30mほどで次の改
札が現れたのでちょっとびっくり。)
京急車が来た。なかたさんのために記しておくと、1912である。どういうも のかは知らない。が、阪神ファンとしてはやはり親近感がわく車両だ。ただ、 一部木目調の内装なのには笑ってしまった。そういえばはやったなぁ、一時期 は。117系くらい濃い色ならいいんだけど、営団車などに残っている「木目」 は、色が薄くて、いかにも「20年前の安物の家具」といった顔をしている。
そして、最後のラッチ外乗継。都営ではここが唯一…だと思う(神保町にあ
るかな?)。都営はしっかりしていて、乗りかえ専用改札というのを設けてい
る。これを使えば、普通乗車券や回数券も、回収されずに出場できる。営団も
この方式をとればよかったのに、と思うが、駅の構造が複雑すぎて無理だと思
われる駅もあるので、現状がせいいっぱいだろうか。
通路をしばらく歩くと、所用で何度か使ったことのある、馬喰横山の駅に出
る。ここの改札を通すと、カードには11行目の印字が入った。1乗車で11行は
やはり壮観だ。
最後の仕上げは都営10系。座ってほっとするのもつかの間、次の岩本町で下 車。秋葉原が近いから降りる、という理由もあるが、次の小川町まで行くと、 経路が「6の字」になってしまい、ちょっと不都合がありそうだ(実際にはな いと思うが)。下車。ホームの柱が鮮やかな青なのがおしゃれな駅だ。自動改 札を通ると、今日の「乗継旅行」は終了。出発からすでに3時間以上が経過し ていた。地上に出ると、秋葉原の南のはずれで、しばらく歩くと電気街。今日 は何を買って帰ろうか(もう決まっているけど)。