営団や都営では、同じ駅での乗継なのに、通路の都合で、改札をいったん出
て乗り継がなくてはならない、ということがあります。また、いちおう改札内
でつながっているが、改札を出て乗りかえたほうがずいぶん近道になる、とい
う駅もあります。
さらに、営団と都営を乗り継ぐにも、いったん改札を出る必要があります。
これらが、このページで扱う「改札(ラッチ)外乗継」です。
96年春、営団・都営共通のストアードフェアシステムがスタートしました。 このシステムでは、改札外乗継にも対応しています。つまり、ストアードフェ アシステムを利用し、そのような駅でいったん改札を出ると、30分以内に次の 路線に乗り継げば、運賃はきちんと通しで計算されるのです。
たとえば、三越前駅で銀座線と半蔵門線を乗り継ぐと、
101営 渋谷16三越 84 * 三越前 18水天 82
などと印字されます。つまり、一度改札を出ると、そのたびに1行印字が増え
るのです。日付部分には、乗継を示すアスタリスクが印字されます。
同様の印字は、営団と都営を乗り継ぐとき、都営と都営を改札外で乗り継ぐ
ときにも見られます。
それなら、1回の乗車で、何行まで印字が増やせるだろう? そう考えるの が自然です(謎)。そこで、詳しく調べてみることにしました。
まず、改札外乗継はどういうときに起こりうるのでしょうか? これには、 前述のとおり、3つのパターンが考えられます。
このうち、1番目の「営団−営団乗継」、すなわち、営団線相互間を乗り継 ぐのにいったん改札を出なくてはならない(もしくは出てもよい)駅は、以下 の8カ所があります。
次の「営団−都営」乗継。これは、現在のところ、どの駅でも改札をいった ん出なくてはなりません。つまり、改札内で営団と都営を乗り継げる駅はない のです。ですから、これは数多くあります。
最後に、「都営−都営」。これは(たぶん)1例しかありません。東日本橋 −馬喰横山です。
さて、これらをどう組み合わせることができるでしょうか。
営団と都営は別の事業体で、運賃も別建てです。ただし、両者を乗り継ぐと
乗継割引運賃が適用され、このときカード上では乗継扱いになります。ですか
ら、上に列挙した駅でことごとく乗りかえをすれば、かなり印字がかせげそう
な気がします。
が、この「営団−都営」乗継は、営団と都営を2回以上乗り継ぐと、そこで
いったん打ち切って計算されることになるはずです。少なくとも、コースを決
定するときにはそう思っていました。
となると、「営団−都営」乗継は1回しか使えません。
「営団−都営」については上記のような制約がありますが、他の2種類につ
いては制約はありません。
ただ、いくらカードで乗車するといっても、結局は片道乗車券が姿を変えた
ものですから、乗車経路は一筆書きでなくてはなりません。「6の字乗車」も
趣旨からいってだめでしょう。
以上より、乗継回数が最大となる経路では、「営団−営団」の8カ所、「都 営−都営」の1カ所、そして「営団−都営」のどこか1カ所、計10カ所を一筆 書きでめぐらなくてはなりません。しかも、単純にその10駅を通ればいい、と いうのではなく、その駅すべてで改札外に出なくてはならない(出てもよい) 乗継をしなくてはならないのです。これはなかなかの難題です。
一時は、プログラムでも組んで探そうかと思ったのですが、それもまためん どうなので、結局、自力で2つ解を出してみました。
水天宮前−(半蔵門線)→[三越前]−(銀座線)→[上野]−(日比谷線)→北千住− (千代田線)→[新御茶ノ水/淡路町]−(丸ノ内線)→[池袋]−(有楽町線)→[飯 田橋]−(東西線)→[九段下]−(半蔵門線)→永田町−(有楽町線)→[有楽町/ 日比谷]−(日比谷線)→銀座−(丸ノ内線)→[大手町]−(東西線)→[日本橋]− (浅草線)→[東日本橋/馬喰横山]−(新宿線)→岩本町
営業キロ:40.6km 運賃:280円
高田馬場−(東西線)→[飯田橋]−(有楽町線)→[池袋]−(丸ノ内線)→[淡路町/ 新御茶ノ水]−(千代田線)→北千住−(日比谷線)→[上野]−(銀座線)→[三越 前]−(半蔵門線)→[大手町]−(東西線)→[九段下]−(半蔵門線)→永田町−(有 楽町線)→[有楽町/日比谷]−(日比谷線)→[東銀座]−(浅草線)→[東日本橋/ 馬喰横山]−(新宿線)→岩本町
営業キロ:44.9km 運賃:280円
まだほかにも解はあると思いますが、とりあえず、ぐるぐる乗り回してから 最後に岩本町に降り立てる(=秋葉原へ行ける)というコースが見つかりまし た。:-) そこで、この乗継をぜひ実行してみよう、と思い立ったのでした。
1996年6月10日、この計画は遂行されました。