この文書は本来、世の中の現状について解説するために公開しているものであり、
常に現状に追随することが期待されます。
しかし実際には、最後の更新(ページ末尾に記載)から相当な年月が経過しており、
記載内容は現状に追随していません。
また、この文書を今後更新する予定はありません。
したがって、この文書は本来の目的を達成していません。
最終更新当時の世の中の様子を伝えるという、
本来とは異なる目的で公開を続けているものです。
以上の点を理解のうえ、お読みください。
まず最初に「振替」「払込み」「払出し」という用語の使い分けから。 似たような用語が3つ並んでいますが、実際にはそのちがいは明確です。
つまり、お金の移動が「口座→口座」「現金→口座」「口座→現金」 のどれなのかで呼びかたが決まるわけです。非常に明解ですよね。 これが分かっているだけで、 サービスの名称とその内容の対応がずいぶんかんたんにとれるようになります。
ただ、実際には上記とは異なる意味で使われる場合もあります。 たとえば「振替」という言葉は、 文脈によっては以上の3つをひっくるめた概念として使われることがあるようですし、 口座から口座へのお金の移動でも、 送金する側(お金を送り出す側)の立場に立ったときには「払出し」 と呼ばれることがあります。 3つの言葉がちょっとずつ重なった分野をカバーしている印象です。
「現金→現金」はどうするんだって? それは現金書留で送ってください。:-) ほかに為替という手段も使えます。
(広義の)振替には、大きく分けて 「通常」「電信」の2種類があります。 大ざっぱにいえば「通常=のんびり」「電信=大急ぎで」という意味です。
より正確には、「電信」は完全にオンライン処理のみで瞬時に送金ができるもの、
「通常」はそうでないもの(手続きの途中に郵送などのステップが入り、
瞬時には相手の近くに届かないもの)です。
両者を比較すると、急ぐぶん、電信のほうが料金が割高です。
また、通常扱いの払込みだと、
用紙の「通信欄」に書いた内容がそのまま受取人に伝わりますが
(極端な話、通信欄に絵を描いても届きます)、
電信の場合にはそういった「伝言」は有料のオプションであるうえ、
送れる内容も電報のようにカナ文字に限られてしまいます。
ともかく、 これでサービス名とサービス内容の対応がほぼ完全にとれるようになったと思います。 たとえば「電信払込み」といえば、 「現金を振替口座に大急ぎで入金すること」となりますね。
さて、上記の説明では何の断りもなく「振替口座」という言葉が出てきました。 これもあまりなじみのない言葉だと思います。
振替口座とは、文字どおり振替のための口座、 すなわちお金をやりとりするための口座で、以下のような特徴があります。
この口座はお金の受け渡しのための一時的な置き場なので、 利子がつかないかわりに、「1000万以内」というゆうちょの限度額も適用されません。 また、(総合口座でない)一般振替口座だと、 あらかじめ決めておいた「取り引き郵便局」でないとできない手続きも多く、 印鑑、通帳もしくはキャッシュカードがあれば全国どこででも取り引きのできるゆうちょの口座にくらべると不便です。
ともあれ、「振替口座=お金の受け渡し用の口座」 ということは分かっていただけたでしょう。 振替口座は、郵便貯金の口座とは目的も機能もちがいます。 それゆえ、いくつかの例外を除いて、 郵便貯金の口座で他人とお金をやりとりすることはできません。
例外としては、公共料金などを引き落としてもらう「自動払込み」、 給料などを受け取る「自動受取り」などがあります。
えっ、送金機能のついている「総合口座」はどうなんだって? それはね…
さて、「郵便局で送金」というと、このごろ何やらさかんにPRされているのが、 送金もできる総合口座(旧:新総合通帳)です。 通帳から直接送金ができるようですが、これはいったい何なのか…
結論から言うと、総合口座にセットされている送金機能の正体は、
電信扱いのみが可能な振替口座です。
総合口座には、通常貯金の口座とともに、
電信扱いのみが可能な振替口座がついていて、
お金を送ったり受け取ったりする機能はこの振替口座によるものです。
通帳は1冊ですが、実は2種類の口座が開かれているんです。
ゆうちょの通帳を持っている人は、ためしに表紙の裏を見てみましょう。
多くの人は「振替口座開設(送金機能)」に○がついているはずです
(通帳発行の時期により、表現が多少異なる場合があります)。
これが「送金機能つき」の証です。
「でも、通帳の中身を見ても、
残高が振替口座のものか貯金口座のものか分からないよ?」
そうですね。一見したところでは、2つの口座の残高は区別されていません。
しかし、実際には残高は厳密に分けられています。
具体的には以下のようになっています。
以上の条件を常に満たすよう、
2つの口座間のお金の移動は暗黙のうちに行われます。
つまり、たとえば送金するときには、
必要な額が送金の直前に通常貯金口座から振替口座に移され、
それから振替されます。送金を受ける場合も同様で、
振替口座に入ってきたとたんに通常貯金口座に移されます。
通常貯金口座は「利子がつくが(他の貯金も合わせて)1000万円まで」、
振替口座は「利子がつかないが『1000万円ルール』の適用外」ということを考えると、
貯金残高が1000万円になるまでは通常貯金口座に入れたほうが利子の面で有利ですよね。
総合口座では、利子の面で最も有利になるよう、
自動的に2口座の間でお金を移動してくれるのです。
ちなみに、「オートスウィング基準額」は総合口座の申し込み時に決定する額で、
通常は1000万円(=ゆうちょの上限)になっているはずです。
つまり通常貯金の残高が1000万円を超えない限りは、
お金はすべて通常貯金口座に入るわけです。
この基準額は総合口座の最初のページに印字されていると思いますので、
総合口座を持っている人は確認してみましょう。
たとえば定額貯金にいくばくか(例:200万円)預けている人は、 本来はそのぶんを引いた額(例:800万円)をオートスウィング基準額にすべきなのでしょうが、 小市民にはあまり関係ないことかもしれません。;-)
最後に、おさらいとして一般振替口座と総合口座の比較をしておきます。
総合口座も振替口座の一種ですが、これはいってみれば「アマチュア仕様」。
前述のとおり、電信扱いのサービスしか受けられないという制約があります。
ただ、貯金口座と一体化している関係で、
全国どこの郵便局でも現金が手数料なしで出し入れできますし、
送金の手続きも全国どこででも可能で、使いやすくなっています。
これに対し、昔からあったタイプの振替口座
(一般振替口座)はいわば「プロ仕様」。
手数料の安い通常扱いのサービスなど、
郵便振替のサービスがフルに受けられます。
ただし、前述のとおり、ある種のサービスは
「加入者払込(払出)郵便局」と呼ばれる郵便局でしかできません
(事前に、自分の最も便利な郵便局を1つ指定しておきます)。
その他の郵便局では、たとえば自分の振替口座からお金を引き出すには数日を要し、
しかも手数料がかかってしまいます。
実は、通常振替口座には通帳というものが存在しません。 送金を受けるなどすると明細書が送られてきますが、 それを自分で保管していないとお金の動きはつかめません。 逆に言えば、お金の流れの把握はしやすいわけで、 貯金口座が「ストック重視」だとすると、 振替口座は「フロー重視」であるといえます。
また、通帳がないということは、 口座と印鑑との対応をとる手段が加入者の手元にないということでもあります。 オンラインで印影を照合できるようにはなっていないはずなので、 あらかじめ印影を保管してある加入者払込(払出) 郵便局もしくは貯金事務センターでないとお金を引き出す操作はできないことになります。 どうしてもそれ以外の場所から手続きをしたいときには、 いったん貯金事務センターに必要な書類を送って、 そこで印影を照合してもらう「通常扱い」にせざるを得ず、時間がかかります。