首都圏と京阪神を結ぶ路線バスの雑多な情報をまとめました。
期間限定の割引やちょっとした節約法などを紹介するのが主目的で、
できるだけ現状に追随していきたいと考えています。
ここで扱う路線は、東京「付近」と大阪「付近」の移動に利用できるものに限ります。
選択基準は多分に主観的で、たとえば奈良へ行くバス(のうち、
京都や大阪で乗降できないもの)は対象に含めていません。
2006年4月、東京と京阪神を結ぶJRバスはダイヤ改正を行い、
これまでの通常便よりさらに高い便を新設する一方、「Web
予約による割引(2%)」「閑散期のみ、
3週間前までの購入による割引(25〜35%)」の2つを新設し、
利用日や利用する便による価格の幅が広がりました。
その後、2007年3月のダイヤ改正で若干の変化がありました。
以下に記すのは2007年3月現在の情報です。
まず、通常便より高い「高級便」、
東京・大阪間の〔プレミアムドリーム号〕について。
2007年3月以前にも同名のバスが走っていましたが、
2007年3月に車内の改装が行われ、価格も変わっています。
このバスは2階建てで、2階部分は通常便と同じ横3列ながら、
新開発のシートを採用し、
前後の座席間隔(シートピッチ)や座席の横幅が広がっています。
価格は通常便+700円です。(2007年3月以前は、
2階部分は座席間隔がより狭い一方で通常便+300円でした。)
一方、1階部分は横2列・縦2列で4席だけの「最高級座席」で、
横幅の広いシートに液晶テレビ付き、というもの。
価格は通常便+1300円です。
〔プレミアムドリーム号〕の1階部分は通常便より1300円高く、
東京・大阪間では9910円です。
10000円出せば新幹線〔こだま〕の普通車指定席が利用できますし、
スカイマークエアラインズの羽田・神戸間の普通運賃が当面は10000〜10500円なので、
夜行でなくてもいい人なら、
8時間もかかる夜行バスをわざわざ選ぶ意味はないでしょう。
一方、「とにかく夜行で移動したい」という人には利用価値があります。SWA
も1階の「最高級シート」を体験してみましたが、
シートベルトを締めなければ寝返りが打てる状態でしたし、
シートピッチが広いので後ろに気兼ねなくリクライニングでき、よく眠れました。
この高級便、以下で紹介する「早期予約割引」は対象外ですが、
学割はきくようなので、学生にはおすすめです。
2007年3月以降、通常便(プレミアムでない〔ドリーム〕)にも、 座り心地を改善した新シートを順次導入されていきます。 「背もたれと座布団が連動して傾く」そうです。 通常便は、閑散期には割引を駆使すると片道5490円で乗れるので、 一考の価値があります。
いっぽう、今度は安くなるほうの話。JRバス各社は共同で「高速バスネット」という
Web サイトを開設し、ここで予約・決済することで、
一部路線を除き、常に2%程度の割引を受けられるようになりました。
片道あたり200円にも満たない割引ですが、ないよりはマシで、
通常運賃が他社と同額なら多少のアドバンテージになります。
また、これとは独立に早期予約割引「早売」が登場し、
東京・大阪間の場合、繁忙期を除く月〜木曜の便に限り、
3週間前までの予約で運賃が25〜35%引になります。
早めに予定が決まれば、夜行の通常便で片道5500円程度、
昼間の便で同4500円程度となり、3列シートのツアーバスより安くつきます(なお、
格安便や高級便は割引率が10%前後と低く、
「最高級シート」に関しては割引はありません)。
今回の各種割引導入や「超格安便」の登場で、 ツアーバスよりもJRの路線バスのほうが安いという事例が多く出てきました。 特に学生は、「ツアーバスは安いらしい」という印象だけで判断せず、 路線バスも比較対象に入れたほうがいいでしょう。 学割や早期購入割引、格安便などを駆使すれば、 路線バスの安心感をツアーバス以下の価格で得られることがあります。
2006年1月10日から、
京成バスの「京都〜上野・TDR線」(京都〜上野〜TDR〜千葉中央)が4列シート化され、
同時に運賃が片道5000円、往復10000円となりました。
片道5000円程度の「格安路線バス」は最近では珍しくなくなりましたが、
既存の3列シート車を廃止して4列シートに置き換え、
同時に運賃を大幅値下げするという「格安化」は、私の知る限りでは初めてです。
マイナーな通常便を細々と走らせるよりは、
格安にしてとりあえず席を埋めたほうがよいと考えたのでしょうか。
千葉始発ですが、上野を経由するので、
東京と京都を結ぶ格安路線として利用できます。
知名度からいって、当面は他の格安路線よりは空いていることが予想されるので、
混雑期の「最後の切り札」として利用できるかもしれません。
通常、東京・大阪間の往復運賃は15000円程度、学割でも13000円程度ですが、
横浜発ながら、大人の往復運賃が13000円未満という路線があります。
学割運賃の項でも紹介していますが、
海浜幕張と和歌山を結ぶ「サウスウェーブ号」(京成バス・和歌山バス)で、
横浜〜堺・堺東・泉ヶ丘間が大人往復12500円です(学割12000円)。
関西側の発着地が堺というのが難点で、
大阪キタや神戸方面に行くにはかなり不便なのですが、
大阪ミナミ方面に用がある場合にはそこそこ便利です。
東京・大阪間4800円の格安夜行バス「フライングスニーカー」 (近鉄バス・東北急行バス)が増便され、 「東京〜京都〜茨木」という便が加わりました。路線バスの安心感を考え合わせると、 特に混雑期にはツアーバスと比較しても遜色のない価格であり、 利用価値は高いといえるでしょう。
路線バスで学割を設定している会社は少ないのですが、
JRバスはわりと積極的に「片道2割引、
往復はその2倍(さらなる割引はしない)」という学割運賃を設定しています。
片道だけでも2割引になるのは重宝しますが、
鉄道の学割と同じ、かなり伝統的な制度に端を発するものであるため、
原則として1回につき1枚の「学割証」を必要とするなど、少々めんどうです。
また、割引率はぴったり2割(10円未満切り捨て)で、
「ほんとは8610円だけど、端数はまけといて8500円!」といったサービスはありません。
なお、JRバス直営の窓口できっぷを購入する場合には、
学生証の呈示のみで学割の適用が可能です(JRバス公式サイトの、割引に関するページにそのような記述があります)。
他社との競争もあることから、今後、
「学生証だけでOK」という販売チャネルが増えるのではないか、と
SWA は予想しています。
往復乗車券の有効期間は各社とも10日というのが標準的ですが、 JRバスは片道でも学割がきき、「片道乗車券2枚」でも往復乗車券と同額ですから、 10日を超える長期の帰省などではJRバスのほうが有利といえます。
これに対抗しようということなのか、
一部の大手民鉄系バス会社でも学割運賃を設定しています。
まず、片道でも学割がきく路線としては、
京成バス・阪神電気鉄道・阪急バスの千葉・TDR・上野〜大阪・神戸線、
西武バス・阪急バスの池袋〜京都・大阪線があります。
主要区間で比較すると、運賃はJRバスと同額の「ちょうど2割引」です。
また、関東側では京成バスとケイビーバス、
関西側では阪神電気鉄道、阪急バス、京阪バス、和歌山バスなどが、
一部の路線で「往復のみ学割」を導入しています。
(おそらく)JRバスとの競合上始めた割引であるため、
東京・大阪間で往復13000円など、
分かりやすいうえにJRより若干安い設定となっています。
片道にせよ往復にせよ、学割証は不要で、
乗車券購入時と乗車時に学生証を呈示すればよいことになっています。
調べてみたところ、民鉄系各社の学割運賃の「相場」は、 首都圏と京都周辺の間で12500円、首都圏と大阪・神戸の間で13000円のようです。 JRバスだと東京・京都間が13080円、東京・大阪間が13780円なので、 学割で往復するなら民鉄系のほうが安いことになります。
調べた中で学割の往復運賃が(4列シートの格安便を除いて)最も安いのは、
京成バスと和歌山バスの運行する〔サウスウェーブ〕です。
海浜幕張と和歌山市を結ぶというマイナー路線ながら、
乗車区間にかかわらず往復12000円と格安です。
もちろん3列シート車が使用されます。
この路線、関東側では海浜幕張、西船橋、TDS、TDR、東京テレポート、
横浜に立ち寄ります。いっぽう関西側では堺東、堺、泉ヶ丘、和歌山、
和歌山市と停車し、大阪市の都心に一番近いのは堺東もしくは堺ということになります
(南海電車で難波まで10〜15分、250円)。
東京・大阪間の移動にはやや使いにくいのですが、TDR
や横浜から大阪ミナミ方面など、条件が合えばかなりお得です。
JRバス関東と西日本JRバスは、
東京・大阪間の高速バスの乗車券に着地のJR線1乗車をセットした、
バスと鉄道の連絡きっぷを発売開始しました。
対象となるバス路線は東京・新宿と大阪を結ぶ〔ドリーム大阪〕〔中央ドリーム大阪〕
〔東海道昼特急大阪〕〔中央道昼特急大阪〕で、
大阪行の便に乗る場合には大阪市内のJR全線、
東京・新宿行に乗る場合には山手線+東京〜舞浜間に1回乗車できます。
ねだんは通常のバス運賃に60〜100円をプラスした金額で、学割の設定もあります。
このきっぷは「バス→鉄道」の向きしか発売されていません。 つまり、たとえば「大阪→東京→山手線内」というきっぷは買えますが、 逆向きの「山手線内→東京→大阪」は買えません。
JRの初乗り運賃は130円(西日本は120円)ですから、 60〜100円をプラスするだけでJRに1回乗れるというのは、単純に考えればお得です。 ただし、乗り越すと足りない部分の運賃を別途支払うことになるので、 目的地が連絡きっぷの範囲外の場合には要注意です。
たとえば東京から大阪までバスで行き、そこからJRに乗る場合を考えてみます。 「バスとJRの連絡きっぷ」が通常のバス乗車券より60〜100円高いということを頭に入れて、 以下の例を見てください。
連絡きっぷの区間内へ行くなら必ず得ですが、
区間外へ行くときは、得になることも損になることもあるわけです。
きちんと下調べをして、得かどうかを考えて使ってみてください。
この連絡きっぷ、高速バスの他の割引乗車券(往復割引や回数券など)と比べると、 割引額は微々たるものです。 あくまで「片道乗車券をふつうに買うよりは安い(ことがある)」というだけですから、 バス用の別の割引きっぷが使えるのであれば、そちらを利用するのが賢明です。