東京・大阪間の路線バス

Summary

 東京と関西の主要都市間では、以前からの夜行バスに加え、 「格安」「高級」「昼間」など、さまざまな路線バスが運行されています。 予約可能なものでは片道最安3430円の路線がある一方、 横2列の超高級シートを装備した車両も走っています。
 このページでは、バリエーションの最も多いJRバスをメインに説明し、 同クラスの他社便がある場合には、それもあわせて紹介します。

[注意] ツアーバスとは違います

 最近「格安高速バス」などと銘打った、いわゆる「ツアーバス」が増えていますが、 こうしたツアーバスと、このページで扱っている「路線バス」はまったくの別物です。 混同したまま利用すると、思わぬ不利益を被る可能性があります。
 路線バスとツアーバスの相違点については、別のページ「路線バス風のバスツアー(ツアーバス)」を参照してください。

関係各社の公式 Web サイト


[Summary] 東京・大阪間のJR路線バス一覧

 まず、最大手のJRバスについて、 東京・大阪間の全路線をグレード・運行時間帯ごとに分類してみます。

東京・大阪間のJR路線バス一覧
グレード 夜行便 昼行便
愛称 通常運賃 最安運賃 愛称 通常運賃 最安運賃
超高級 プレミアムドリーム
(1階)
9910円 9710円 プレミアム昼特急
(1階)
7300円 7150円
高級 プレミアムドリーム
(2階)
9310円 8210円 プレミアム昼特急
(2階)
6700円 5910円
横3列 ドリーム 8610円 5490円 昼特急 6000円 4410円
横4列 青春ドリーム 5000円 4170円
トイレなし 超得割青春
(正座席)
4300円 3430円
巨大 青春メガドリーム 4300円 3430円
補助席 超得割青春
(補助席)
2100円 2100円
備考 通常運賃=東京・大阪間の普通片道運賃
最安運賃=閑散期に「早売」「ネット割」双方を適用した場合の運賃

横4列、格安夜行バス

 最近、「夜行なのにあえて横4列、そのかわり格安」という路線バスが増えています。 その先駆けといえるのが、片道5000円の〔青春ドリーム〕です。 他社も追随しており、現在、以下のような路線があります。

4列ながらトイレつき、2人連れなら安心

 これらの路線には、横4列ながらトイレつきの車両が使われていて、 座席が狭いという点を除けば通常の高速バスと大差ありません。 それでいて通常運賃は一般的なバスの約4割引ですから、 かなりお買い得といえます。
 ただ、横4列で、隣の座席との間には細いひじ掛けがある程度なので、 隣に他人がいると気になって眠れない、という人にはおすすめできません。 その点、2人連れなら隣を気にすることもないので安心で、 偶数名で乗ることをおすすめします。

さらに割引あり

 JRバスの場合、往復すると9500円(片道あたり4750円)となり、 多少は割安になります。
 また、21日前までに予約すると15%割引(片道4250円)となる「早売21」もあります。 ただし、週末や夏休みなどの多客時には設定がなく、席数も限定です。 さらに言えば、通常の3列シート便は「早売21」で35%割引(片道5600円)となるので、 「早売21」が利用できる日なら、相対的に3列シートの便のほうがお得です。


トイレなしでさらに安い「超得割」

 上記の〔青春ドリーム〕も十分に安いのですが、 横4列・トイレなし車両でさらに運賃の安い〔超得割青春号〕という路線もあります。 新宿・大阪間の1日1便のみですが、運賃は片道4300円と「超格安」。 トイレなしでいい、という人にはありがたい存在です。
 往復割引はありませんが、乗車前日までに購入すれば「早売1」(閑散期3500円、 繁忙期4000円)が利用できます。 当日になって「じゃあ、今晩大阪に行くか!」と思い立つ人は多くないでしょうし、 「早売1」は「早売21」とちがって座席数の限定はないようなので、 事実上、これが「標準価格」と考えてもよいでしょう。 (なお、「早売1」は駅の「みどりの窓口」や旅行会社では購入できません。 直接JRバスに電話する、あるいは Web で予約するのがいいでしょう。)

補助席利用なら片道2100円

 この〔超得割青春号〕の特徴は、満席の場合に限り、 片道2100円で補助席も発売するという点です。 ツアーバス全盛といえども、 補助席まであてにした夜行バスはこれ以外にないでしょう。
 補助席は「満席の場合に限り」発売なので、 最初から狙って乗るのはちょっと難しいといえます。 また、トイレ休憩の際にはいったん立たないといけないので、 一晩に4回起こされます。乗るにはそれなりの覚悟が必要です。


巨大バスの乗り心地は? 最安路線登場

 そして、2006年6月に登場したのが、東京・大阪間の〔青春メガドリーム〕です。 全長15mの超巨大バスを利用した路線バスで、 東京・大阪間に毎日2便(閑散期などには1便)運行されています。
 運賃は〔超得割青春号〕と同じで、通常運賃4300円のところ、 「早売1」で「閑散時3500円、繁忙時4000円」となります。
 4列シートでトイレつきなので、 スペックだけ見ればトイレなしの〔超得割青春号〕より上なのですが、 もともと東京・つくば間で利用されていた詰め込み仕様のバスをそのまま利用しているため、 座っているだけなら〔超得割〕のほうが快適、という声もあるようです。

巨大バスの弱点

 この路線に使用されるバスは全長15mと巨大であるため、 運行経路が厳密に指定されており、 異常時であっても迂回できないという弱点があります。
 たとえば「事故で高速道路が1区間通行止」という場合、 ふつうの路線バスなら一般道を迂回できますが、この路線はそれもできません。 天候の悪いときには利用しないのが無難でしょう。


「通常便」、お得な利用方法は?

 以上のような格安路線に押されて、3列シートの「通常便」は最近目立ちませんが、 便数や提供座席数といったボリュームの面では依然として主流であり、 JRバス以外の路線も星の数ほどあります。

活用したい「早売21」

 JRバスの通常便は、 21日前までに購入する「早売21」を利用すると片道5600円と、 かなりお得です。実に35%引です。 閑散時(年末年始やお盆などを除いた月〜木曜)限定の割引ですが、 もし利用できる日なら、他社の夜行バスには乗る気がしなくなります。 3列シートのツアーバスも、さすがにこの価格では乗れません。

学割で通年2割引

 また、学生なら「学生割引」の利用で片道2割引(東京・大阪間で片道6890円)となります。 格安便には学割がないので、学割が使えれば、 通常便と格安便の差はかなり縮まります。 最近は、JRバスの窓口で買えば学割証不要(学生証の呈示だけでOK)なので、 利用回数を気にすることもありません。
 格安便の主なターゲットは学生とみられていますが、学生こそ、 格安便ではなく通常便を利用するのが賢いといえるでしょう。

女性専用便あり

 ほかに通常便のよいところは、 「女性専用便」である〔レディースドリーム〕がある点です。 東京・大阪間と東京・京都間に各1便ずつ走っています。
 料金や設備の面では通常便と特に差はありませんが、 バス1台まるまる女性専用なので、女性の一人旅には安心といえます。


新しい流れ「高級夜行バス」

 「格安」が主流の夜行バスですが、 最近では通常便よりも高い「高級夜行バス」も登場しており、こちらも注目です。

+700円でちょっとぜいたく

 まず、通常便より700円高いのが、 東京・大阪間の〔プレミアムドリーム〕2階席です。 横3列というのは通常便と同じですが、座席の横幅や前後の間隔が広いほか、 新開発のシートを装備していて、座り心地がよいそうです(SWA は未体験)。また、使い捨てスリッパやアイマスク、 パック入りのお茶などのグッズが提供されます。
 以上の相違が追加料金700円に見合うかというと微妙なところですが、 通常便を利用する予定があれば、一度利用して各自で判断するのがいいと思います。

早売21もあるが…

 「通常便+700円」のシートには閑散期のみ「早売21」が適用されますが、 割引率は10%と低く、「ネット割」と併用しても片道8210円です。 「早売21」の使える日だと通常便は最安5490円で、差が3000円近いので、 さすがに躊躇してしまいます。 この高級シートは、「早売21」の使えない場合に利用するのが相対的にお得でしょう。

+1300円で破格のぜいたく

 そして、通常便より1300円高いのが、東京・大阪間の〔プレミアムドリーム〕1階席。 毎日1便(+多客時1便)で、1便あたり4席限定という希少な席ですが、 1300円の追加料金以上に快適で、 全席このグレードだとたぶん採算割れだろうと思うほどです。
 2階建てバスの1階は、通常「横3列×縦3列」という配列ですが、 〔プレミアムドリーム〕だとこれが「横2列×縦2列」。 座席数は半分以下なので、運賃を倍額とられてもおかしくないところです。 実際、「横2列」の先輩格である弘南バスの〔ノクターン〕(品川〜弘前)では、 追加料金は実に3870円です。
 シート自体もこの配列に見合った豪華なもので、 地上波デジタル放送を受信できるテレビが各シートについています。SWA も一度体験してみましたが、 「寝返りの打てるシート」といううたい文句は嘘ではないと思いました。
 ただ、この豪華さと希少性のため、閑散時にも「早売21」は利用できず、 だれでも利用できる割引としては「ネット割(約2%引)」がある程度です。 2階席には往復割引がありますが、1階席には往復割引すらありません。

学割はあります

 割引の少ない〔プレミアムドリーム〕1階席ですが、 追加料金部分を除いて学割(2割引)が適用され、 片道あたり8190円(通常便の学割運賃+1300円)で利用できます。 まちがいなくお買い得といえ、学割の使える人にはおすすめです。


格安+快適、昼間の高速バス

安いのに快適!

 これまでは夜行便の話でしたが、JRバスには、 東京・新宿と京都・大阪を結ぶ昼間の便〔東海道昼特急〕〔中央道昼特急〕もあり、 ひそかに人気を呼んでいます。
 この路線のウリは何と言っても運賃の安さです。 片道だと6000円、往復だとさらに安く10000円です。 「青春18きっぷ」を利用して東海道線の普通を乗り継ぐ(片道あたり2300円) のには遠く及ばないものの、こちらには通年運転という強みがあります。 「青春18きっぷ」の使えない時期には、 東京・大阪間を最も安く移動する手段の1つとなります。
 しかも、運賃のわりに非常に快適です。夜行と同じバスが使われるので、 シートは3列、1席ずつ独立しているうえにリクライニング角度も大きく、 普通列車とは比べものになりません。もちろんトイレもついています。 途中休憩も3回あり、食料の調達やリフレッシュもある程度は可能です。
 さらに、〔プレミアムドリーム〕の車両を使用した〔プレミアム昼特急〕も登場しました。 上記の格安運賃に+700円で2階の「スーパーシート」、 +1300円で1階の「プレミアムシート」を利用できます。 昼間の便では起きている時間が長いため、高級なシートを選ぶかいもあります。 (ただし、車窓を楽しむなら2階席のほうがおすすめです。)

途中乗降も可

 〔東海道昼特急〕は東名江田、東名御殿場、東名静岡、 東名浜松北などにも停車するので、 たとえば御殿場・京都、静岡・大阪などの移動にも利用できます。
 ただし、途中停留所は鉄道の主要駅から離れていますので、 事前に市街までの交通手段を調べておかないと、バスを降りて途方に暮れるかも。
 いっぽうの〔中央道昼特急〕は中央道三鷹・府中・日野などに停車します。
 また、大阪発着便はいずれも京都深草に停車するので、 京都発着便の予約がとれなかった場合には要チェック。

学割なし、往復割引あり、早売21あり

 この路線には学割運賃がありません。が、前述のとおり往復割引運賃はあります。 片道6000円のところ、10日以内の往復なら10000円です。
 さらに、行きは昼行、帰りは夜行(あるいはその逆) で往復する場合の割引きっぷもあります。 行きが昼、帰りが夜だと「昼特急&ドリーム」、 その逆が「ドリーム&昼特急」という名前で、 発売額はいずれも往復13000円です。
 また、夜行と同じく閑散時には「早売21」があり、 25%引で片道4500円となります。

学割の使える人は

 昼行と夜行で往復する場合、学割なら、ここで紹介した割引きっぷを買うより、 ふつうに片道きっぷを2枚買ったほうがわずかに安くつきます。 夜行には学割がきくからです。


「直販体制」に移行するJRバス

 最後に乗車券の話です。JRバスの乗車券は、 これまで「みどりの窓口」での発売が主でしたが、徐々にJRバス窓口・Web サイトでの販売を増やす方向にあります
 具体的には、JRバスの窓口・電話予約センター・Web サイトでないと購入できない乗車券が増えています。 その典型例が「早売」です。また、「ネット割」はJRバスの Web サイトで予約・決済した場合にのみ約2%割引となるものです。
 JRバスの窓口は数が多くないため不便ですが、 節約した販売手数料が割引で還元されているので納得がいきます。 これまで駅や旅行会社で乗車券を買っていた人も、 購入スタイルを見直してみる価値があるでしょう。



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最終更新: 2007年 4月 8日
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