首都圏から関西へ

Summary

 首都圏から関西へ行く場合、あるいはその逆の交通手段をまとめてあります。
 日本の大動脈というだけあって、「速くて高い」ものから「遅くて安い」ものまで、 ありとあらゆる交通手段があります。 せっかく選択肢が用意されているのですから、 ぜひ、いろいろなものを選んでみてください。

メニュー(速い順)


何はともあれ〔のぞみ〕と〔ひかり〕

 やはり、最も一般的なのは東海道新幹線〔のぞみ〕〔ひかり〕利用でしょう。 朝6時から夜21時過ぎまで、駅に行けばいつでも乗れて、 しかもおおむね3時間弱で到着というのは魅力です。

Summary: 2003年10月からの価格体系

 2003年10月改正で、東海道新幹線に関係するの割引きっぷ事情は大幅に変わりました。 まず最初に、「どのきっぷを使うと片道あたりいくらなのか」をまとめておきます。 価格は東京・新大阪間のものです。
 それぞれのきっぷの詳細は次節以降を参照してください。

きっぷの名称 発売
単位
ねだん
(片道あたり)
利用
制限
期間
備考
普通乗車券+特急券
(〔のぞみ〕指定席)
片道 14050円 なし 閑散期200円安
繁忙期200円高
普通乗車券+特急券
(〔ひかり〕〔こだま〕指定席)
片道 13750円
のぞみ指定席回数券
(普通車指定席用)
6枚 13750円 あり 〔ひかり〕〔こだま〕も利用可だが
繁忙期を除き安くはない
普通乗車券+特急券
(自由席)
片道 13240円 なし 〔のぞみ〕利用時も同額
新幹線回数券20
(普通車指定席用)
20枚 13240円 あり 〔のぞみ〕も利用可
普通乗車券+特急券
エクスプレス予約
(普通車指定席)
片道 13200円 なし 「エクスプレス・カード」等会員限定
閑散期・繁忙期も同額
ひかり早特きっぷ
(普通車指定席用)
片道 12000円 あり 〔ひかり〕のみ利用可
予約は出発1週間前まで
席数限定
日帰り 1day プラン 往復 約10000円 あり 日帰り限定
利用列車に限定あり
きっぷではなく旅行商品
月・金曜など利用できない日あり
ぷらっとこだま
エコノミープラン
(普通車指定席用)
片道 10000円 なし 特定の〔こだま〕のみ利用可
きっぷではなく旅行商品
ピーク時は11500円

新幹線の新標準〔のぞみ〕

 東海道新幹線の中でも最も速いのが〔のぞみ〕です。 一般的な列車だと、東京・京都間を2時間20分、 東京・新大阪間を2時間36分で結びます。停車駅は品川 and/or 新横浜、名古屋、京都、新大阪、新神戸、岡山…となります。
 〔のぞみ〕はおおむね毎時4本が運転されています。 行き先は新大阪、岡山、広島、博多が各1本ずつというのが標準的です。 このほか、混雑する朝夕の時間帯や週末などには、 さらに多くの〔のぞみ〕が走っています。

 2003年10月から〔のぞみ〕にも自由席が連結されています。 自由席に限り、〔ひかり〕〔こだま〕と同額で利用できます。
 指定席利用時の特急料金は〔ひかり〕〔こだま〕より高いものの、 その差額は2003年10月に引き下げられ、東京・新大阪間なら300円です。

節約派は自由席狙い

 〔のぞみ〕に自由席が連結されるようになり、 「便利になった」という点ばかりが強調されがちですが、 価格面でのメリットも相当あります。 自由席に限り、〔のぞみ〕と〔ひかり〕〔こだま〕は同額だからです(詳しくは後述)。 たとえば東京・新大阪間で比較すると、 〔のぞみ〕の指定席と自由席では差額が810円(通常期)にもなります。
 ただ、〔のぞみ〕の自由席は3両しかありませんから、 座りたいなら始発駅から乗るのが無難でしょう。

乗れればお得な〔ひかり〕

 第一線を退いたように見られている〔ひかり〕も、 速い列車なら東京・新大阪間2時間50分、 遅い列車でも3時間00分といったところですから、 実は〔のぞみ〕(2時間36分)とそれほど変わりません。
 〔ひかり〕は毎時2本に減ってしまいましたが、 指定席の特急料金が〔のぞみ〕より若干安いうえ、 〔ひかり〕専用の割引きっぷ(後述)も登場したので、狙って乗ればお得な列車です。

実は〔のぞみ〕と同じ速さ

 〔ひかり〕はほぼ例外なく〔のぞみ〕に抜かれますが、 両者の最高速度は同じなので、差は停車駅の数と通過待ちの時間だけです。

個人でも使える節約方法は?

 東海道新幹線は、便利な半面、 個人で利用する場合に安いきっぷはほとんどありません。 以前は主流だったビジネス用の回数券(金券ショップで扱われているもの)も値上がりし、 「自由席のねだんで指定席に乗れる」という程度の意味しかなくなっています。
 それでも探せばいくつか割引があるので、以下ではそれを紹介します。

〔ひかり〕利用なら「早期購入」がお得

 まず、ダントツで安いのが「ひかり早特きっぷ」です。 その名のとおり、出発1週間前までに購入しなければなりませんが、 東京・新大阪間で〔ひかり〕の普通車指定席が片道12000円と、 かなり安くつきます。
 ただ、〔ひかり〕の本数は毎時2本に減ったうえ、 このきっぷは席数限定で発売されるとのことで、 JR東海のさじ加減一つで購入すること自体が難しくなる可能性もあります。 また、予約変更ができないほか、 当日乗り遅れたら特急券部分は無効(後の列車の自由席に乗る場合も特急券を買い直す)なので、 予定がある程度しっかり決まっていないと利用できません。

取消料は通常どおり

 航空だと「早期購入割引」は取消手数料が高いのですが、 「ひかり早特きっぷ」の取消手数料は「通常の乗車券・特急券を買った場合の手数料」と全く同じです(乗車2日前まで530円、 乗車前日以降発車までの間は210円+通常の特急料金の30%、 発車後で有効期間内は210円+通常の特急料金の全額)。

日帰りなら「1day プラン」

 また、日帰りならば「日帰り 1day プラン」という旅行商品がおすすめです。 利用できる列車が早朝発、深夜着の列車に限定されていますが、 〔のぞみ〕〔ひかり〕の指定席が利用でき、片道あたりの価格は約10000円。 さらに、そこそこ高級な昼食などと引き換えできるクーポンがついてきます。
 このプランについては、別のページ「JR東海ツアーズの旅行商品」で詳しく説明しています。

自由席特急券+往復乗車券

 割引きっぷではありませんが、「ふつうの」乗車券と特急券を買う場合でも、 ひと工夫すれば多少は安くなります。特に往復の場合には工夫のしがいがあります。
 まず、指定席ではなく自由席を利用すれば、 〔のぞみ〕の東京・新大阪間では片道810円も安くなります。 東京からなら、少し早く駅に行けば自由席でも確実に座れますし、 新大阪からでも「新大阪始発」の列車を選べば同様です。 特に、時刻表では目立たない臨時列車、 前の列車の数分後を追いかけて走る列車などが狙い目です。 また、〔ひかり〕があればこれを利用するのもいいでしょう。

 次に乗車券ですが、片道600kmを超えると往復割引があり、 往復乗車券を買えば往復ともに1割引になります(特急券は割引になりません)。
 東京・大阪間だと約560km、東京・神戸間だと約590kmなので、 素直に往復乗車券を買ったのでは割引になりませんが、 「東京・西明石」「大宮・神戸」など、 わざと600kmを超えるように買うと、 片道運賃が若干高くなるものの1割引の効果が勝り、 トータルでは「東京・大阪」「東京・神戸」の往復乗車券(無割引)より安くつきます。

 以上2つを組み合わせると、 「東京・(新)大阪」「東京・(新)神戸」は片道換算で13140円。 自由席ではあるものの、〔のぞみ〕利用としてはけっこう安いといえるでしょう。
 また、新幹線に乗る区間が「東京・新大阪」であっても、 新幹線の前後で在来線を利用して通算600kmを超える場合、 「わざと遠くまで買」わなくても乗車券が往復割引になるので、 捨てる部分がなくなってさらに得です(実際、 「東京・明石」「神戸・千葉」などは片道13140円で済む)。

往復割引 Tips

 東京からの大人往復運賃は以下のようになっています。

 東京発の場合、「わざと長く買う」という手が通用するのは大阪、 神戸へ行くときということになります。 ただし、スタート地点が変われば事情も変わりますので、 事前に運賃計算ソフトなどを使って調べてみるといいでしょう。
 なお、「東京・西明石」など、 600kmを若干超える往復乗車券の有効日数は10日間です。 10日以内に往復しなければ、この手は使えません。

どう使う「エクスプレス予約」

 最後に、「一番安い」とさかんに宣伝されている「エクスプレス予約」ですが、 東京・京阪神間を利用する人にとって、 金銭面でのメリットは「年会費1050円を払うと、 自由席料金で指定席に乗れます」という程度のものです。 これがメリットだと感じられる人にとっては、 純粋に金銭面だけを考えても利用価値があります。 逆に「それなら自由席に乗れば同じことだ」と思う人には利用価値がありません。

 「エクスプレス予約」は、 JR東海のクレジットカード「エクスプレス・カード」、 およびJR西日本のクレジットカード「J-WEST カード(エクスプレス)」の会員向けサービスです。 携帯電話などで予約を行うと、割引の特急券が買えるというものです。 この割引はお盆や年末年始などにも利用制限がなく、1年中使えます。
 この割引特急券、たしかに回数券よりも自由席特急料金よりも安いのですが、 東京・新大阪間で比較すると、 安いといっても回数券・自由席より40円安いだけです。 そこらの金券ショップでばら売りの回数券を買える人には、 (お盆などの利用制限期間を除き)価格面でのメリットはほとんどありません。 (ただしこれは純粋に「東京・新大阪間」で比較した価格で、 東京や新大阪から在来線でさらに先へ行く場合、 回数券との価格差は広がることがあります。自由席との価格差は常に40円です。)
 エクスプレス予約には、 ほかに「ひんぱんに利用すればポイントがたまってグリーン車利用券がもらえる」 「エクスプレス早特が利用可能」といった特典がありますが、 ポイント制はある程度ひんぱんに利用しないと無意味ですし、 「エクスプレス早特」にしても、「ひかり早特」の制限が多少緩和されているだけで、 この制限の差がクリティカルになる人はそれほどいないと思います。
 年会費は1050円とそこそこ高いので、 「年に何回利用するか」「どうしても指定席がいいのか、 自由席ではダメなのか」などを考慮して入会するかどうか判断するのがいいでしょう。 (もっとも、金銭的なメリットがなくても、 「携帯電話でも予約できる」「発券前の予約変更が何度でも可能」など、 割引以外の機能に価値を見い出せる人には、入会する価値はあります。)

組み合わせの妙

 エクスプレス予約では、割引になるのは特急券だけで、 乗車券は「普通のを別に買って」というスタンスです。 これをうまく利用できる人にこそエクスプレス予約の価値があるのかもしれません。
 先に、「指定席ではなく自由席を使う」「わざと遠くまで往復乗車券を買う」 という2つの手段の組み合わせを紹介しましたが、 前者を「エクスプレス予約」に置き換えれば、 「東京・大阪」や「東京・神戸」、さらに「東京・明石」や「神戸・千葉」なども、 〔のぞみ〕指定席で往復して片道あたり13100円という価格が実現します。

「エクスプレス早特」登場

 「ひかり早特きっぷ」のエクスプレス予約版として「エクスプレス早特」が登場しました。 通常版だと1週間前までに購入しなければならないところ、 エクスプレス早特だと3日前までOKで、かなり便利です。 3日前までなら予約変更も自由にできますし、 かりに2日前以降でも手数料なしで通常料金に変更できます。 また、早朝6時台に限り〔のぞみ〕も利用可能です。
 ただし、同時に利用する乗車券に制限を受けるため、 「東京・西明石間の往復割引乗車券+東京・新大阪間のエクスプレス早特」のような使い方はできません。


安くてお手軽、夜行バス

 次に、若者を中心に人気なのが夜行バス。 東京から京阪神へ向けては、発着地の微妙にちがう星の数ほどの路線があります。 個別の路線に対する情報は別の文書「首都圏・京阪神間の路線バス Tips」を参照してください。

割引で選ぶと〔ドリーム〕

 これらのバスの普通運賃は一部を除きどれも横並びですが、 こと学生に関しては路線によって大きな差があります。 すなわち学割運賃があるかどうかです。
 学割運賃を設定している会社は少なく、 東京・京阪神間に限ればJRバスの〔ドリーム号〕と、 他社の一部の路線くらいです。 学割があれば、普通運賃が8000円強のところ、 2割引(1600円ほど安い!)となるのでかなりお得です。
 JRバスでは、学割の利用には学割証(きっぷ1枚に対し学割証1枚)が必要です。 ただし、JRバスの窓口(バス乗り場近くにある)など、 購入する窓口によっては学生証の呈示のみでOKということも増えています。

 これに加え、JRバスの〔ドリーム号〕には、閑散期(月〜木曜)に限り、 3週間前の予約で運賃を35%も割り引いてくれる制度があります。 席数限定ですが、これを利用すれば片道6000円以下で東京・大阪間を移動でき、 他社の夜行バスより大幅に安上がりです。

学割、じわじわ増加中

 最近、TDL・TDS 直通の便を中心に、 JRバス以外でも学割運賃の設定が増えています。 往復しないと学割にならない場合も多いのですが、 学生証を呈示するだけでOKという簡便な取り扱いが一般的で、 学割証を取りにいく時間のない場合などには要チェックです。

東京発着の〔ドリーム〕、新宿発着の〔中央ドリーム〕

 〔ドリーム号〕はだいたいが東京駅発着ですが、 大阪、京都、神戸へは新宿駅発着の〔中央ドリーム号〕もあります (このほかに〔ドリーム和歌山〕〔ドリーム難波・堺〕が新宿駅を経由します)。 〔中央ドリーム号〕は中央自動車道を経由するもので、 〔ドリーム号〕よりも所要時間が若干短くなっています。
 両者に大きな差はないので、便利なほうを利用すればいいでしょう。 ただし、一部の割引きっぷは〔ドリーム号〕しか利用できません。

新宿発着、座席数は少な目

 新宿駅発着の便はバスの台数が東京駅発着より少ないのがふつうです。 新宿便がダメなら東京便を当たってみましょう。

往復ともに〔ドリーム号〕なら往復割引きっぷ

 〔ドリーム号〕には往復割引乗車券(首都圏・関西間のJRバスだと6日間有効)があり、 通常の大人だと1割引になりますが、 学割の使える人だと学割の2割引以上には割引がありません。 つまり、学割の往復は片道乗車券を2枚買うのと同じねだんです。

学割証は1枚

 学割の往復乗車券の利点は学割証が1枚で済むこと。 片道乗車券2枚だと学割証も2枚必要なのです。

片道〔ドリーム号〕、片道は新幹線という場合には

 行きが〔ドリーム号〕で帰りが新幹線というときには、 「ドリーム&ひかり」というものもあります。ふつうに買うよりだいぶ安いので、 学割の使えない人には利用価値があります(このきっぷには学割はありません)。 具体的なねだんは、東京から大阪往復が19820円、京都往復が18960円。 お手軽な出張費節約にはいいでしょう。

制限注意

 このきっぷ、行きが〔ドリーム号〕、帰りが新幹線でないと使えません。 また、GW、お盆、年末年始には利用制限期間があります。


新ジャンル?「格安夜行バス」登場

 新幹線にくらべると十分安い夜行バスですが、 それよりさらに安い「格安夜行バス」が最近にわかに注目されています。

「バスだけのツアー」続々登場

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの開園以降、 ツアー形式の夜行バスが毎日運転され、 着実に数を増やしています(詳細は「路線バス風のバスツアー(ツアーバス)」参照)。
 具体的なツアーの紹介はここではしませんが、 旅行代金は平日だと片道4000円強が相場のようです。 さらに、片道1000円強を追加することで3列シートの車両も選べる場合があり、 安さと快適さを兼ね備えた選択肢といえます。

トイレなし、かも

 こういうツアーの「スタンダードクラス」では、 しばしばトイレなしの車両が使われます (オプション料金を払えばトイレつき車両を選べる場合もあります)。 もちろんトイレ休憩はありますが、やっぱり不便ですよね。 その点でも次項の路線はお買い得なのです。

夜行バスの価格破壊?

 こうしたツアーに触発されたのか、 JRバスが〔青春ドリーム〕という系統を新設しました(詳細は「東京・大阪間の路線バス」を参照)。 4列シートで通常便よりグレードは落ちますが、 それを補って余りある安さを実現しています。何せ片道5000円です。
 「グレードが落ちる」といってもトイレつきの車両ですし、 比較的距離の短い路線では、 同等の車両を使った(格安でない)夜行バスも運行されていますから、 この程度で5000円にまで値引きしてくれるのは非常に「お買い得」といえるでしょう。
 なお、近鉄バス・西東京バス・東北急行バスも同様の格安夜行便 〔カジュアル・ツインクル〕〔フライングスニーカー〕(片道4800円) を運転しています。さらに、京成バスが既存の千葉〜京都線を「格安化」し、 4列シート・片道5000円で運行しています。
 私は〔青春ドリーム〕以外は未体験ですが、 〔カジュアル・ツインクル〕は(4列車ではあるものの) 比較的バスのグレードが高いという話を耳にしたことがあります。 ひんぱんに利用する人は各路線を比べてみるのもいいでしょう。
 さらに、JRバスでは片道4200円のトイレなし便〔超得割青春号〕、 1日前の予約で片道3500〜4000円の〔青春メガドリーム〕を運行しています。 ここまでくると運賃はツアーバスより安いぐらいで、見逃せない存在です。

路線バスの安心感

 ツアー形式でなく通常の路線バスとして運行されるため、 発車直前まできっぷが買える、払い戻し手数料が安い、 バス会社が確定している…など、安心感があります。 また、ツアーでは「週末500円アップ」などの割り増し料金がしばしばありますが、 路線バスにはそれがありません。
 ただ、最近はかなり人気があるようなので、 特に週末のきっぷは発売開始後すぐに売り切れてしまい、 「乗車直前に買う」というのは閑散期でないと無理かもしれません。


スマートに格安旅行 昼間の高速バス

 東京・大阪間で「知る人ぞ知る人気路線」となっているのが昼間の高速バスです(詳細は「東京・大阪間の路線バス」を参照)。 高速バスというと夜行ばかりが目立っていましたが、 東京から京都や大阪まで直行の昼間便〔東海道昼特急〕〔中央道昼特急〕が登場して以来、 都合に合わせて昼夜が選べるようになりました。
 両路線とも片道6000円、往復10000円という低価格。 それでいて、夜行仕様の3列シート車が使用されるので非常に快適ですし、 所要時間も東京・大阪間で7時間半と、普通列車の乗り継ぎより速いのです。
 この路線には、閑散期の月〜木曜に限り、 3週間前までに予約すると席数限定で25%割引という制度があり、 これを利用すると片道の運賃は4500円と、さらに安くなります。

昼夜ミックスも可

 行きが昼で帰りが夜、あるいはその逆の場合、 往復13000円という割引きっぷもあります。 ただし、学割の使える人はふつうに買ったほうが安くつきます。


〔こだま〕は意外な穴場

 〔ひかり〕〔のぞみ〕が高いというあなた、〔こだま〕はどうですか?
「え、〔こだま〕って〔ひかり〕と同額じゃないの?」
 たしかに、通常の乗車券と特急券を買うぶんには〔ひかり〕と同額です。 しかし、〔こだま〕専用の格安商品を利用すれば、 新幹線とは思えない低価格で〔こだま〕を利用できるのです。
 ここでは、東京と関西の間で利用できるお得な商品を紹介します。

〔こだま〕は意外に混んでいる?

 東京・新大阪間で〔こだま〕の指定をとろうとすると、意外に埋まっています。 もともと指定席が少ないうえ、短距離利用の人が入れ替わりで乗ってくるせいで、 通しで空いている座席は少ないのです。予約はお早めに。

安さと自由度のバランス「ぷらっとこだま」

 知る人ぞ知る商品が「ぷらっとこだまエコノミープラン」です。 〔こだま〕の普通車指定席が利用できて、東京・新大阪間が10000円と格安。 学割で〔ひかり〕に乗るよりも安いのです。
 〔こだま〕といってもそこは新幹線、速さはそこそこです。 所要時間は4時間強で、在来線や高速バスとは格段にちがいます。 利用できる列車には制限がありますが、新大阪まで10000円はやはりお得です。
 詳しくは、別ページ「JR東海ツアーズの旅行商品」を参照してください。

実はパックツアー

 この商品、厳密には添乗員なしの募集型企画旅行(いわゆるパックツアー)です。 みどりの窓口では扱っていませんので、JR東海ツアーズもしくは JTB 系列の旅行会社でどうぞ。


貧乏旅行の決定版、普通列車乗り継ぎ

 意外にメジャーなのが、東京・大阪間を普通列車で移動することです。 ずいぶん遅そうですが、東京から大阪まではだいたい9時間。 豊橋以西は車両のレベルもスピードも高く、移動がそれほど苦になりません。 また、東京・大垣間を走る夜行の普通列車もあります。

普通列車の定義

 JRでは、急行料金のいらない列車はすべて普通列車です。 快速の類も含まれます。

普通列車乗り継ぎにはこのきっぷ

 普通列車を乗り継ぐときには普通乗車券を買ってもいいのですが、 東京・大阪間だと学割でも往復で約14000円かかってしまいます。 これならバスのほうが安くて快適です。
 がんばって在来線を乗り継ぐのなら、長期休暇前後に発売される青春18きっぷ」を利用するのがベストでしょう。 これを利用すると、片道あたり2300円で東京・大阪間を移動できます。 その気になれば、岡山、広島とさらに足を延ばすことも可能です。

11500÷5=2300

 「片道2300円」というのは、 5回1セットで11500円の青春18きっぷを使い切ったときの話。 「5回分もいらない」という人は、まずは消化方法から考えましょう。


速くて安い…こともある、飛行機

 ほかには飛行機で行くという手もあります。純粋な移動時間は約1時間なので、 関西での目的地が空港に近い場合、新幹線より大幅に早く着くこともあります。
 現在、東京(羽田)・大阪(伊丹または関空)間では、 航空各社が「シャトル便」と称したサービスを行っています。 航空会社のちがいを意識することなく利用できるサービスもあり、 各社を合わせた運航間隔はかなり均等になりました。

便利→高い

 ただ、3社を共通に使える航空券は割高で、安い航空券はたいてい会社限定です。 やっぱり便利なものは高いんですね…。

徐々に高値へ? スカイマーク

 2006年2月に神戸空港が開港し、東京・神戸間には、 大手2社に加えてスカイマークエアラインズが就航しています。
 登場当初は「普通運賃10000円」というので話題になりましたが、 2006年7月現在では片道12000円と、徐々に高額になっています。 目的地が神戸近辺でなければ、空港前後の交通費で足が出てしまう価格です。
 早めに予定が決まれば最安7500円という運賃もあるので、 依然として要チェックな交通手段ではありますが、以前ほどのインパクトはありません。

サービスは最小限

 スカイマークエアラインズは運賃が安い一方、 他の航空会社よりもサービスを削っています。
 飲み物や機内誌などの本質的でない部分はともかく、 欠航の場合に他社便への振替がないという点には注意する必要があります。 振替先は自社便のみで、たとえば自社便が最終まで満席なら、 払い戻しを受けて自腹で他社便に乗るか、 翌日まで待つか(この場合もホテル代は出ない)、どちらかしかありません。

22歳未満ならスカイメイト

 22歳未満の人にはスカイメイトという手もあります。 一度会員証を作っておけば、あとは当日空席がある限り運賃が最大約50%引き。 東京から大阪なら片道11500円程度になります。
 ただ、日本の大動脈ですから、朝夕の東京・大阪線は混雑します。 当日にはどの便も軒並み満席ということもざらです。 数便のキャンセル待ちを覚悟するなど、行程には余裕を持ちましょう。
 また、最近は他の割引運賃のほうが安いことも多いため、 特に予定が早く決まったときには、もっといい手段がないか、 いったん立ち止まって考えてみましょう。

成田から飛んでみる

 ちょっとした穴場が成田・伊丹線。 主に国際線利用者が使うので出発間際の予約は少なく、空席状況が読みやすいのです。 成田へは京成を使うと意外に安く行けます。

特定便割引

 航空会社が力を入れている各種の割引も検討に値します。
 最近の東京・大阪線の主力割引は、前日までに予約すればよい「特定便割引」です。 ねだんは各便の「人気」によりますが、 早朝や真っ昼間などの空いている便だと約10000円、 夕方など混み合う便では約13000円程度です。 事前購入割引のような高額の取消手数料や早めの予約は必要なく、 しかもそこそこの割引率が得られるのは魅力です。

格安運賃もあるけど

 条件が合えば8000円程度で乗れることもありますが、 搭乗日の1カ月以上前に買わなければダメなどといった制限がつくのがふつうです。 かなり前から計画を立てておかないと利用するのは難しいでしょう。


寝台列車もあります

 最後に1つ、寝台列車について。 東京・大阪間で寝台を利用できる列車は多くありませんが、 夜を越す寝台列車としては以下のようなものがあります。

寝台で昼寝?

 東京を18時ごろ出る〔はやぶさ・富士〕に乗ると、大阪に深夜1時ごろ着きます。 これに乗れば、寝台で昼寝(?)をしながら移動できます。 夜遊びしたい人には便利…なんでしょうか。

高いけど、よく眠れます

 寝台料金はグリーン料金並みに高いうえ、割引きっぷもないので、 たとえば急行〔銀河〕で東京・大阪間を利用すると片道16070円かかります。 〔のぞみ〕の普通車指定席より高額です。
 が、夜行で、しかも横になれるというのは他の交通機関では得がたいメリットです。 「夜行がいいけど翌日に疲れを残したくない」という場合には重宝するでしょう。

元凶は寝台料金

 高い理由は寝台料金にあります。B寝台でも6300円。 このほかに急行料金が必要なので、どうしても高くついてしまいます。

安く眠りたい人に、上りだけの穴場

 「横になれるとうれしいけど、寝台料金は高すぎる」という人には、 〔サンライズ瀬戸・出雲〕の「ノビノビ座席」があります。 「座席」とは言いながら実際にはカーペット敷きで、 フェリーの2等船室を2段重ねにして1人ごとに区切ったようなものです。 床は少々堅いものの、座席とちがって完全に横になれます。 しかも座席扱いなので寝台料金は不要です。 特急料金は新幹線より安く、東京・大阪間で3340円(通常期)。 運賃も含めると大阪→東京で11850円です。 ただ、東京・大阪間で利用できるのは残念ながら上りだけ。 下りは大阪を通過します(姫路でようやく朝5時過ぎ)。
 なお、〔サンライズ瀬戸・出雲〕には個室寝台も連結されています(というより個室寝台がメイン)。交通費に糸目はつけないから、 とにかく快適に夜行列車が利用したいという向きにはおすすめです。 特にA寝台個室など、衛星放送を見ながらのんびり一夜を過ごせます。

あればラッキー〔サンライズゆめ〕

 臨時特急〔サンライズゆめ〕にもノビノビ座席がありますが、 運転日はごく限られています。 もし走っていれば、下りでも利用できるのでラッキーです。 年末年始、行楽シーズンなどに走るので、時刻表でチェックしてみましょう。



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最終更新: 2007年 4月 8日
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