寝台個室を知っていますか
Part 3:各個室の詳細

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 以上の点を理解のうえ、お読みください。

 さて、目的地へ向かう列車に個室はあったでしょうか。 もしあったのなら、それがどんなものであるかというのが最後の問題です。
 ここでは各個室の詳細をまとめます。同じ名前の個室でも、 列車によってずいぶんタイプがちがうことがありますので要注意です。


ソロ(B寝台1人用個室、6300円/人・夜)

 おそらく一番身近な個室です。料金は6300円。 ふつうのB寝台と同じねだんで、鍵のついた個室が利用できます。 荷物を置いて車内をぶらぶらするのに便利で、特に一人旅には魅力でしょう。
 現在、ソロには大きく分けて2種類のタイプがあります。 「車両の端に通路がある」タイプと「車両の真ん中に通路がある」タイプで、 それによりベッドの向きもちがってきます(枕木方向かレールの方向か)。

車両の端に通路(ベッドは枕木方向)

 〔北斗星〕〔北陸〕〔はやぶさ〕〔富士〕がこのタイプです。 通路が車両の端についていて、ベッドは進行方向と直角です。 部屋は2段重ねになっていて、1階室、2階室があります。
 2段になっているので、部屋の中で立ち上がるのは困難です。 が、〔北斗星〕の一部(JR東日本の車両)と〔北陸〕を除き、 2階室は階段が室内にあるので、階段の途中なら室内でも立つことができます。 また、1階室でも一部天井が高くなっている部分があるので、 そこでなら立ち上がることができます。
 2階室なら屋根裏、1階室なら足元に、荷物収納スペースのある場合があります。

車両の中央に通路(ベッドはレール方向)

 〔あけぼの〕〔なは〕〔あかつき〕〔サンライズ瀬戸〕〔サンライズ出雲〕など、 比較的新しいタイプのソロは、車両の中央を通路が通っていて、 その両側に部屋があり、ベッドはレールの向きに並んでいます。 部屋はユニット工法で作られたもので、 まさにカプセルホテルといった趣の部屋ですが、 1階室、2階室ともに大きな窓が1つ占領できます。
 しかしこのタイプでも、部屋の中で立ち上がることはほぼ不可能です。

 以上のように非常に狭い個室ですが、ねだんが安いのでこんなものでしょう。 座席で寝るよりは格段に快適で、しかも鍵のついた個室が使えるので、 長距離の移動には検討の価値があります。


シングル(B寝台1人用個室、7350円/人・夜)

 新型寝台電車を使用する〔サンライズ瀬戸〕〔サンライズ出雲〕に連結されている、 ソロより少しグレードの高い個室です。 〔サンライズ〕ではこの個室が標準となっています。 車両中央に通路のあるタイプで、ベッドはレール方向に配置されています。
 料金はソロより約1000円高いだけで、部屋のつくりはソロと似ています。 が、天井が少し高いため、 背が低ければ部屋のすべての部分で立ち上がることができます(背が高くても、 部屋を入ってすぐの部分ならまずだいじょうぶ)。 これはソロとの大きなちがいでしょう。 新しいこともあり、一人旅には快適な部屋です。


シングルツイン(B寝台1人用個室、9170円/人・夜)

 名目上は「ソロ」「シングル」と同じB寝台1人用個室です。 が、その料金や居住性はまったくの別物。 現在、連結されているのは〔トワイライトエクスプレス〕と〔あかつき〕、 それに〔サンライズ瀬戸〕〔サンライズ出雲〕の4列車だけという個室です。
 この個室は、車両の中央に通路があり、その両側に部屋が並ぶタイプです。 ですから個室の幅はあまり広くありません。
 が、ソロのように部屋が2段重ねになっているわけではありませんので、 天井は高く、居住性はかなり良好。 へたをするとA寝台個室よりも居住性はいいかもしれません。 室内には、大きな窓をはさんでソファーが2つ並んでおり、 このソファーを変形すると1人分のベッドになります。
 また、この個室の特徴は、その名のとおり2人部屋としても利用できることです。 ソファーが2つあるので昼間は2人でも快適ですし、 補助寝台がソファーの上に固定されており (「サンライズ」では跳ね上げ式になりました)、 これを使用することで夜も2人で楽に寝られます。 この補助寝台の料金は5250円で、2人合計の寝台料金は14420円となり、 1人あたりの料金はふつうのB寝台より約1500円高いだけ。 居住性を考えれば破格のサービスといえます。
 この個室、知名度の低い寝台個室の中でも群を抜いて知名度が低いようで、 寝台券の入手は容易です。その上コストパフォーマンスは抜群。 まさに穴場の個室といえます。


デュエット(B寝台2人用個室、6300円/人・夜)

 スタンダードなB寝台2人用個室で、 寝台料金は一般のB寝台と同じ1人6300円です。 現在、〔北斗星〕〔なは〕のみに連結されています。
 車両の端に通路のあるタイプで、同タイプの「ソロ」を2つつなげた構造です。 ソロと同じく、部屋は上下2段重ねになっていて、 上の部屋のベッドが下の部屋のベッドの上に食い込むような形になっています。 そんなわけで、ソロ同様、 部屋の中で立ち上がることは容易ではありません(特に上段)。 それなりに圧迫感があります。
 が、それでも鍵のついた個室。 ドアを閉めてしまえばまわりに気兼ねなく過ごすことができます。 夫婦と小さい子供一人といった組み合わせにはぴったりではないでしょうか。


サンライズツイン(B寝台2人用個室、7350円/人・夜)

 その名のとおり、 〔サンライズ瀬戸〕〔サンライズ出雲〕に連結されている2人用個室です。 1人分の料金は「デュエット」より約1000円高いのですが、 「デュエット」とのちがいは天井が若干高い程度です。 また、すべての部屋が2階建ての1階で、2階の部屋はありません。
 ただ、一般の寝台より快適なことは確かですし、 ホテルに泊まることを考えると決して高くはない個室でしょう。


ツイン(B寝台2人用個室、8160円/人・夜)

 B寝台ながらちょっとハイグレードな2人用個室、それが「ツイン」です。 連結されている列車は〔トワイライトエクスプレス〕〔あかつき〕のみ。 「シングルツイン」の親戚にあたります。
 この個室は車両の端に通路があるタイプで、 ベッドは進行方向と直角に配置されています。 部屋が2段重ねになっているわけではないので、天井が高く広々としています。
 2人用として設計されているので、2段ベッドの上段、 下段それぞれに対応する窓がついているほか、 昼間には上のベッドを少し持ち上げ、部屋を広く使えるようになっているなど、 居住性は抜群。A寝台としても通用しそうです。それでいて1人あたり8160円と、 寝台料金はふつうの寝台に比べてそれほど高くありません。 これも「掘り出しもの」です。
 〔トワイライトエクスプレス〕では、 2人部屋を2つつなげて4人部屋にできる部屋が一部にあります。 5・6号車の、それぞれ1号室と2号室をつなげられるのではなかったかと思いますが、 この部屋を指定して買えば、4人グループでも快適に個室が利用できます。


Bコンパート(簡易個室、6300円/人・夜)

 「簡易」個室の名のとおり、ふつうの寝台に毛が生えた程度のものです。 現在〔トワイライトエクスプレス〕〔北斗星1・2号〕 に連結されています。
 Bコンパートは制度上は個室ではありません。 ふつうのB寝台とまったく同じものとして扱われます。 制度上は個室ではないので、見知らぬ人との相部屋もあり得ます。 また、実物にしても、B寝台の相違といえば、 廊下と寝台の間にガラス戸が1枚あることだけです。
 そんな、メリットないじゃない…と思う人もいるかもしれませんが、 4人グループでの旅行なら意外に悪くない選択肢です。 ふつうのB寝台は4人1ボックスで、もともと4人グループには使いやすい構造です。 これに扉をつけたら、もういっぱしの「個室」なのです。
 また、相部屋の可能性があるといっても、あくまで「可能性」であり、 可能な限り相部屋を避けるような売り方をしている(はずです)ので、 ピーク時でなければ3人ぐらいのグループでも1部屋を占領でき、 きっと快適に使えるでしょう。


シングルデラックス(A寝台1人用個室、13350円/人・夜)

 A寝台1人用個室です。国鉄末期に「個室寝台ブーム」が訪れるまでは、 これが唯一の個室寝台でした(厳密にはもっと古いのがありましたが)。
 このシングルデラックスは4タイプに分けられます。

旧タイプ

 〔富士〕〔はやぶさ〕がこれに該当します。 旧タイプというだけあって、古いのです。 何しろ、前述の「唯一の個室寝台」がこれ、 つまり国鉄時代から走り続けてきた車両なのですから。
 古いだけではなく、このタイプは部屋が非常に狭いのが特徴です。 「独房」「うなぎの寝床」などと称されることもあるその室内には、 ベッドにもなる長い座席が1本、あとは洗面台と窓が1つあるだけ。 室内を歩き回るゆとりはありません。 この狭さを端的に示すのが1両あたりの部屋数で、 他の新しいタイプが1両10〜11室なのに対し、このタイプは14室。狭いはずです。
 個人的には、13350円という価格設定は高すぎるように思えます。 たしかに天地方向には余裕がありますし、 何より「A寝台個室」であり、B寝台とは格がちがうわけですが、 それにしても「ソロ」の2倍以上の寝台料金を支払って乗る価値があるかどうか、 私には判断しかねます。

JR西日本の新タイプ

 〔あかつき〕〔日本海1・4号〕に連結されているのがこのタイプ。 「新」タイプですから、前述の「旧タイプ」よりは新しいものです。
 このタイプは、 頭の部分を持ち上げることができるタイプのベッド(寝転がっての読書などが楽)、 洗面台、そして VHS 方式のビデオデッキを内蔵したテレビが備えられています(ただし、 登場から年月が経っており、 テレビのような「容易に撤去・交換できる調度品」が現在どうなっているかは不明です)。 部屋は前述の旧タイプより格段に広くなっています。
 また、このタイプの隠れた特長は、 となりあった2つの部屋を1つにすることができることです。 具体的には、1番と2番、3番と4番…の部屋をつなぐドアがあり、 双方の部屋でロックを解除すると、 通路に出ないで部屋どうしを行き来することができます。 グループ旅行にはありがたい設備です。
 といったぐあいで、この個室は高いだけの価値があります。 大人2人、子供2人の家族なら、 並んで2部屋を予約すれば4人で快適な旅行ができるでしょう。 ただそのときは、「2号室・3号室」のような買いかたは×。 つながっているのは1と2、3と4、…、9と10です。

JR東日本の新タイプ

 〔北陸〕〔あけぼの〕に連結されているのがこのタイプ。 これも新しくて広いという点は「JR西日本の新タイプ」と同じです。 ベッドは持ち上がりはしないものの上等なものですし、昼間、 座席として利用するときに座り心地がいいのが特長です。
 また、これは〔あけぼの〕だけなのですが、 ソファーベッドの上に補助寝台があります。 これを使うと2人で個室を利用することができます。 2人で利用すると1人あたりの寝台料金は11445円となり、 ふつうのA寝台とそれほど変わりのないねだんで個室が利用できます。
 こちらも、料金は高いものの、それに見合った設備のため、 利用する価値はあるといえるでしょう。

「サンライズ」タイプ

 そして、1998年に加わったニューフェイスが、 新型寝台特急電車に連結されるタイプ。 列車名でいうと〔サンライズ瀬戸〕〔サンライズ出雲〕になります。
 このタイプは2段式(部屋の中が2段なのではなく、 車両全体が2階建て)で、天地方向にはちょっと狭いのですが、 すべての部屋が2階に位置するので眺めはよさそう。 加えて、衛星放送の受信できるテレビ、ちょっとしたデスクなど、 室内の設備はさらにグレードアップしています。
 ということで、これも料金に見合う価値はありそうです。 真新しい寝台電車でちょっとぜいたくな旅行を、という向きにはおすすめ。


ロイヤル(A寝台1人用個室、17180円/人・夜)

 豪華寝台個室のはしりとなったものです。〔北斗星〕で一番豪華な個室、 といえば分かる人も多いのではないでしょうか。 大阪と札幌を結ぶ〔トワイライトエクスプレス〕でも人気の個室です。
 このロイヤルには数タイプがあり、JR北海道、JR北海道新タイプ、 JR東日本、JR西日本の4つに分かれるのですが、どれも設備はほぼ同じ。 カラーリングが一部異なるだけです。(ただ、JR北海道の新タイプには、 天井に富良野の夜景が映し出される「ステラリウム」があり、人気があります。 またJR西日本のものはベッドが電動式で、 ボタン1つでソファーに早変わりします。)

 最大の特長はその広いスペース。誇張抜きで部屋の中を歩き回れます。 ベッドも広く、窓際にはベッドとは別のソファとテーブルがあり、 ちょっとした書斎のようです。それから、洗面台はおろかトイレ、 シャワーまでが室内にあり、好きなときにシャワーを浴びることができます。 その他、乗車直後のウェルカムドリンク、朝のコーヒー・新聞サービスなど、 「動くホテル」という形容が大げさでない個室です。
 またこの個室は、補助寝台を利用することで1室2人での利用が可能です。 補助寝台はベッドの下から出てきて、 シングルベッドがセミダブルベッドに変わる、といったイメージです。 補助寝台を利用すると1人あたりの寝台料金は13360円。 ふつうのA寝台個室とほぼ同じ料金になります。

 ただ、難点は予約がしにくいこと。〔北斗星〕には1列車に4室、 〔トワイライト〕には1列車に8室あるのですが、 ピーク時でなくても入手は至難の業と言われています。また、実際そうです。 北海道へ向かう列車より、北海道から本州への列車のほうがとりやすいようですが、 それでも「神頼み」状態のことが多いようです。 ピーク時にどうなるかは言うに及びません。
 予約が難しいだけに、一度は乗ってみたいこの「ロイヤル」。 北海道の帰りにでも一度チャレンジしてみる価値はあります。


ツインデラックス(A寝台2人用個室、13350円/人・夜)

 スタンダードなA寝台2人用個室です。〔北斗星〕に連結されています。
 ツインデラックスには2タイプがあります。

2段ベッドタイプ

 〔北斗星〕登場当初(厳密には登場1年前)からあるタイプ。 部屋の中には2段ベッドがあり、上のベッドは座席使用時に折り畳めます。 テレビ、ソファーが備え付けられています。

1段ベッドタイプ

 前者にくらべて新しいのがこれ。2つのベッドが同一平面にあります。 ただし、部屋自体に「上の部屋」「下の部屋」の2種類があり、 2種類が互いちがいに配置されています。 「上の部屋」は2つのベッドが天井近くにあって、 「下の部屋」は2つのベッドが床近くにあります。 「上の部屋」のベッドの下にはとなりの「下の部屋」のベッドがあるという構造で、 屋根が低いのが欠点ですが、洗面台がついているのが特長。 「上の部屋」だと「2段ベッドタイプ」より眺めがいいようです。

 2種類のうちどちらのタイプがどの列車に来るかというのは、 実は一定ではありません。原則として〔北斗星1・2号〕には「1段ベッドタイプ」、 その他には「2段ベッドタイプ」が来ることになっているのですが、 「1段ベッドタイプ」は少数派で、 車両検査時などには連結されないことがあります。
 ちなみに、「1段ベッドタイプ」は1・3・5・7号室が「下の部屋」、 2・4・6・8号室が「上の部屋」です。
 個人的には、ねだんのわりにそれほど魅力を感じません。 何せ、同じ寝台料金を払えばあの「ロイヤル」を2人で使用でき、 そちらのほうが絶対にぜいたくな気分になれるのですから。
 それでも、ロイヤルは予約がなかなか入りませんし、数も少ないので、 2人でちょっとぜいたくな旅行をするときには、無難な選択ではあると思います。


スイート(A寝台2人用個室、25490円/人・夜)

 〔トワイライトエクスプレス〕の最後尾を飾る人気の個室です。
 〔トワイライト〕の写真を見たことがある人なら、展望を独占できる、 最後尾の個室といえば分かるでしょう。 ふつうなら車掌室などがある位置に大きな個室が1つ。 文句なしに「すごい」個室です。
 実は、このほかにももう1タイプの「スイート」があります。 といっても最後尾は2つもありませんから、こちらは車両の中央。おもしろくない?  たしかに。そのかわり最後尾よりも部屋が広く、 天井にかかるくらいの大きな窓が1つあります。 こちらも、それはそれは豪華な個室です。
 と、このようにすばらしい個室なのですが、寝台料金もすばらしく高いのです。 1人25490円、2人で50980円。ちょっと躊躇しそうなねだんです。 もっとも、この個室は補助寝台を利用すると3人でも利用でき、 その際には1人あたり20000円強になります…が、これでも十分高いですね。
 さらに、1列車に2室しかないため、寝台券の入手は困難を極めます。 入手できたら奇跡、といったレベルです。 札幌から大阪へ向かう列車のほうが入手は容易なようですが、 それでもなかなかとれるものではありません。
 と、庶民にはあまり縁のない個室ですが、 フルムーン旅行などに一度は使ってみたい個室です。


カシオペアツイン(A寝台2人用個室、13350円/人・夜)

 その名のとおり、〔カシオペア〕に連結されているスタンダードな個室です。 スタンダードとはいえA寝台ですから、 部屋はそれなりにグレードの高いものになっています。
 同じカシオペアツインにも大きく分けて3種類があります。

通常タイプ

 まず、最も数の多い(64室)通常のカシオペアツイン。 車両の中央部が2階建て構造になっていて、「1階室」「2階室」があります。
 どちらの部屋も間取りはほぼ同じで、 レールに沿った向きのベッド(昼間は窓をはさむソファになる)が1つと、 レールと直角の向きのベッドが1つ。 つまり2つのベッドはL字型の配置になっています。
 また、室内にはトイレ、洗面所があります。 このクラスの個室だと、洗面所は室内にあるのがふつうでしたが、 トイレがついたのはこれが初めてです。
 室内で立ち上がることはできますが、2階建て構造なので、 天地方向にはちょっと圧迫感があります。 トイレがあるのはいいのですが、これが部屋の面積をさらに狭くしていて、 おせじにもゆったりした個室とはいえません。

車端タイプ

 各車両の端には、これと異なるタイプの部屋があります(計15室)。 車両の端は2階建てになっていないので、部屋のつくりもちがうのです。
 といっても、平面的な間取りは同じです。 異なるのは、平屋なので天地方向に余裕があること。 これは通常タイプにはない大きな特長といえますが、 車端部は揺れる、うるさいというデメリットもありますので、 これだけで車端部を希望するのが得策かどうかはちょっと分かりません。
 また、この車端タイプの一部には、 補助寝台を利用することで3人部屋として使えるものがあります。 〔カシオペア〕の個室は(1室を除いて)すべて個室の定員が2人なので、 奇数名のグループにはありがたい部屋といえます。

車イス対応タイプ(カシオペアコンパート)

 そして最後に、編成全体に1室しかないのが「カシオペアコンパート」。 これをカシオペアツインに分類するのはやや不正確ですが、 便宜的にここに分類しました。
 この部屋は車イスの人が乗ることを前提に作られたもので、 部屋の「床の部分」が広いのが特長です。 そのかわり居住性のほうはやや犠牲になっていて、 ベッド使用時には壁に収納してある補助寝台を引き出して、2段で使います。 また、座席は線路と直角の方向についているので、景色は見づらいでしょう。
 実はこの個室、寝台料金がカシオペアツインよりも安くなっています。 2人の寝台料金の合計は22890円。 このねだんは「A個室1人分+補助寝台」に相当するもので、 制度上、この個室は定員1名のようです(補助寝台を利用して2名で使える)。 ただ、ここを1人で使ってよいのかどうかは不明です。
 前述のとおり、この個室は車イスの人が使うためのもので、 そうでない人が使えないように運用されています。 具体的には、寝台券は端末でふつうに発売することができず、 そのつど指定券担当の「総元締め」に電話をかけて部屋の割り当てを受けます。 また、車イスの人が乗るということを発売時に確認し、 そのうえで乗降駅に連絡がいきます。
 このように、車イスの人(とその付き添い)以外には利用できない部屋ですが、 こういうものもあるよ、ということでいちおう紹介しておきます。 もちろん、車イスの人には文句なしにおすすめの個室です。


カシオペアデラックス(A寝台2人用個室、17180円/人・夜)

 〔カシオペア〕にのみ連結される個室で、 1編成に1室しかないという希少価値の高い個室です。
 1室しかない「異端」ができた理由は、 どうもスペースの割り振りの都合であるようです。 ほんとうはもう1ランク上のカシオペアスイートにしたかったが、 場所が足りなくなったので、少し料金の安いこのカシオペアデラックスを作った、 というふうに見えます。
 そんな成り立ちでできた個室なので、設備面、 サービス面は最高級の個室である「カシオペアスイート」と同等で、 使えるスペースがやや狭いというのが唯一のちがいです。
 編成に1室しかないので、 ただでさえ競争率が高いのにこれを狙うのは相当のリスクを伴いそうですが、 逆に1室しかないので穴場、ということもあるのかもしれません。 このへんまったく予想がつかないので、だれか利用してみてください。:-)

 ちなみにこの部屋は、補助寝台を使うことで3人での利用が可能です。


カシオペアスイート(A寝台2人用個室、25490円/人・夜)

 〔カシオペア〕で最もグレードの高い個室です。1編成に7室があります。
 カシオペアスイートには2タイプがあります。 最後尾の展望を独占できる「展望タイプ」が1室、 そしてそれ以外の6室は、ベッドルームとリビングがそれぞれ1階、 2階と分かれた「メゾネットタイプ」です。 インパクトは文句なしに前者のほうが強いのですが、 トータルの居住性では後者でしょうか。
 設備に関しては、部屋の中にシャワーまであるなど、 豪華すぎて書くこともないほどです。
 ちなみに、この個室も補助寝台を使って3人で利用することが可能ですが、 補助寝台の料金が1人あたり13350円というのがほかとはちがいます。


スーペリアツイン(A寝台2人用個室、25490円/人・夜)
エクセレントスイート(A寝台2人用個室、33640円/人・夜)

 いちおう書きますが、一般人にはほとんど縁のない個室です。
 まず、この寝台を装備した車両が1両しかないのです。 ということは1日1往復走れないということ。 実際には臨時列車でたまに走るだけです。 走るときには主に東京から北海道方面に走るようですが、 キャンペーンのタイアップなどで、たまにちがう方面へも走ります。 これまでの例としては、北陸、山陰、北東北などがあります。
 寝台の設備はもう言うまでもなく豪華です。 「スーペリアツイン」よりも「エクセレントスイート」のほうが若干広い、 というのはねだんを見れば分かると思いますが、両者ともほぼ設備は同じ。 部屋の中にユニットバスまであって、1両に3部屋(「スーペリアツイン」2部屋、 「エクセレントスイート」1部屋)しかないと言えば、 どんなものか想像はつくでしょう。
 そして、料金も言うまでもなく豪華です。 部屋数の少なさからいって、入手が困難というのも言うまでもないでしょう。 もっとも、突発的に走る臨時列車に充当されるので、 狙いすまして入手すれば、ひっかからなくはないかもしれませんが。

 もともと、この2種類の個室を含む3両の寝台車は、 博覧会に展示するために製作された「夢空間」という試作車両です。 個室3室のついた寝台車が1両と、展望食堂車が1両、ラウンジが1両で計3両。
 これまで紹介してきたさまざまな個室は、 〔サンライズ瀬戸〕〔サンライズ出雲〕〔カシオペア〕を除き、 実はすべて改造車、つまり古い寝台車の車体を生かしながら、 内装を大幅に変更したものです。 ですから思わぬところでボロが出ます(通路や洗面所など)。
 が、この「夢空間」は完全な新造車。乗ったことはありませんが、 すみからすみまで新しいのでしょう。 このあたりからも「未来の寝台特急」の息吹を感じとることができます。

 とはいえ、 現状では一生に一度も乗れない(乗らない)可能性のほうがはるかに高いこの個室。 定期列車では運転されていないので、 実用性もなかなか見いだしにくいのですが、でも、 何かの機会に一度乗ってみたい、そう思わせる個室ではあります。



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最終更新:2006年 3月26日
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