この文書は本来、世の中の現状について解説するために公開しているものであり、
常に現状に追随することが期待されます。
しかし実際には、最後の更新(ページ末尾に記載)から相当な年月が経過しており、
記載内容は現状に追随していません。
また、この文書を今後更新する予定はありません。
したがって、この文書は本来の目的を達成していません。
最終更新当時の世の中の様子を伝えるという、
本来とは異なる目的で公開を続けているものです。
以上の点を理解のうえ、お読みください。
5500系は、阪神大震災をきっかけに製造された新世代のジェットカーです。
震災により、ジェットカーでは8両の廃車が発生。
もともとジェットカーにはそれほど運用上の余裕がなく、
代替新車を製造する必要が生じました。
が、ジェットカーには1983年以来、10年以上新造がありませんでした。
最後の新造車である5131・5331形にしても冷房化に際して車体を更新したというだけで、
下回りは制御器を除いてほとんどがお古。
結局、走行性能としては20年前とさほど変わりない車両でした。
さすがにこの形式を増備するわけにもいかないと考えたのでしょう。
数年前からあたためていた「ニュージェットカー構想」が具体化します。
1995年9月、待望の新車、5500系が姿を現しました。 何よりも斬新だったのはそのデザイン。新8000系をほぼ継承した車体はジェットカー初で、 それだけでも画期的でしたが、36年ぶりに車体の塗色を一新。 アレグロブルーとシルキーグレィという鮮やかないでたちは人目をひきました。 もともとの塗色は長い間守ってきた伝統あるものだけに、 変更には社内でも議論があったそうですが、 震災復興のシンボルに、ということで合意を得られたとのこと。
余談ですが、このアレグロブルーという色、なかなか表現が難しいのです。 太陽の加減によってさまざまに色を変えるうえ、 塗装から時間が経つごとに色が薄くなっていくとしか思えないのです。 さらに、耐候性を考えてか、最近はより濃い色が塗られるようになっています。 これを写真に撮るともう大変。撮るたびにまったく色がちがいます。
このページの最初の写真は、今でも「一番いい色」に撮れたと思っているものです。
斬新だったのは見た目だけではありません。
走行性能も以前とは比べものにならないほど向上しています。
VVVF インバータ制御を阪神で初めて採用、
台車はこれまた阪神初のモノリンク式ボルスタレス台車。
モーター出力はこれまでの赤胴車の標準だった110kWで、
ジェットカーでは最大となりました。
それでなおかつ4M0T、つまり全車にモーターを装備。
これで加速がよくないはずがありません。
実は、最大の加減速度は従来のジェットカーよりも若干落としてあります。
そのかわり、従来のジェットカーの弱点だった中速域以降の加速度を低速域並みとし、
加減速度の時間変化を可能な限り減少することで、
乗り心地の向上が図られています。
実際に乗ってみると、発車時には意外なほどゆるやかに加速しますが、
起動時の加速+αを維持したまま最高速へ。
80km/hまでの加速にはわずか21秒、まさにあっという間です。
その気になれば1km未満の駅間での90km/h走行も可能。
加速度の時間変化が小さいため、
ただ乗っているだけでは加速のよさを感じにくいのですが、
速度計を見ればなるほど納得。おもしろいように速度が上がります。
ある京急ファンが「バケモノ」と評するほどの高加速、
ぜひあなたも一度体験してみてください。加速ファンならやみつきになります。
登場以来約2年、2編成のままで推移した5500系ですが、
震災復興の新車製作が一段落した1997年度から1999年度にかけて
既存のジェットカー、あるいは赤胴車を置き換えていくため、
一挙に7編成が新造されました。
まず、1997年度には5500系3編成が新造されました。
この3編成によって淘汰されたのは意外にも急行形の3000系でした。
これは1998年2月のダイヤ改正で昼間の運転間隔が12分から10分になり、
ジェットカーの所要車両数が増えたものの、
赤胴車の所要車両数は減ったことに対応する措置のようです。
比較的急を要する増備だったためか、この3編成に限り川崎重工製となっています。
また、9000系で採り入れられた新機軸(転落防止板、
広い貫通路、新しいドアの窓押さえなど)も採用されました。
翌1998年度にも3編成が増備されました。
こちらは赤胴車(7801・7901形)4両のほか、
旧型のジェットカー(5261・5311形)8両を淘汰するものでした。
この年の3編成は武庫川車両製ですが、
川崎重工製の3編成に採り入れられた改善点は採用されています。
そして、1999年度に最後の1編成が増備されました。
5261形の生き残り、5271Fを淘汰するための編成で、
登場は年度末の2000年3月までずれ込みましたが、
この編成の登場で5500系はジェットカー最大勢力となりました。
5500系のシートは、 車内にいてもジェットカーが分かるようにするため青色だったのですが、 すり減りや汚れの目立つ柄だったためか、 最近ではより濃い青色のものに張り替えられています。 ちょうど、9300系のモケットを青にしたような小枝柄のもので、 車内の印象が少し変わりました。