東海道「最適乗り継ぎ」のすすめ Part 1
最適のススメ

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 この文書は本来、世の中の現状について解説するために公開しているものであり、 常に現状に追随することが期待されます。
 しかし実際には、最後の更新(ページ末尾に記載)から相当な年月が経過しており、 記載内容は現状に追随していません。 また、この文書を今後更新する予定はありません。
 したがって、この文書は本来の目的を達成していません。 最終更新当時の世の中の様子を伝えるという、 本来とは異なる目的で公開を続けているものです。
 以上の点を理解のうえ、お読みください。

Index

  1. 最適のススメ
  2. 「最適化」5つのポイント
  3. 乗り継ぎ改善 Before→After
  4. 出かける前に、最後のヒント

実は最速が嫌いです?

 「ムダのない乗り継ぎ一覧」を作っている本人が言うのも何ですが、 私は一般に、時間的にムダのない乗り継ぎが嫌いです。 といっても速いということを嫌っているわけではなく、 速さのために快適さを犠牲にしすぎるのはイヤなのです。
 「東京・大阪間の移動を普通列車で」というページでは、東京から大阪へ、 あるいは大阪から東京へ行くのに、 時間的なムダ(もっと遅く出ても同じ時刻に着くとか、 途中で乗り継ぎを工夫すればもっと早く着くとか)のない、 言いかえれば時間帯ごとの「最速」乗り継ぎを列挙しています。 (以下、このような乗り継ぎのことを単に「最速の乗り継ぎ」と書きます。 「早朝出発から深夜到着まで、 考えうるすべての乗り継ぎの中で最も所要時間が短い」という意味ではないのでご了承ください。)
 最速の乗り継ぎは1日で片道約20種類ありますが、この20種類のうち、 私自身が実行する気になるものは、実はごくわずかです。 大多数のものは、「ここの乗り継ぎは競走になるな」とか、 「ここは混みそうだな」とかいう不安が先に立ち、 とても実行に移そうという気にはなれません。 実際には「案ずるより産むが易し」ということも多いのですが、 こういうことだけ心配性の私は、前途に不安があると旅行を楽しめないのです。

「おすすめできないもの」を列挙する理由

 自分でやる気のない乗り継ぎをわざわざ列挙しているのは、単に、 そうでもしないと収拾がつかないからです。 「時間的にムダのない乗り継ぎ」だけで片道約20種類もあるので、 「時間的にムダのある乗り継ぎ」まで含めると膨大な数になってしまいます。
 最初から「おすすめの乗り継ぎ」だけに絞るなど、いろいろ方法は考えられますが、 今のところは、最速のものを列挙して乗り継ぎの骨格を示し、 あとはそれぞれの旅行者が自分の好みに応じて「不足している快適さ」を (時間的なムダと引き換えに)付け加えていく、という方法が最善だと思っています。


「最速」から「最適」へ

 この文書では、最速の乗り継ぎより余計に数十分ほど時間がかかるものの、 最速の乗り継ぎよりも快適で、座席の心配をすることなく安心して旅行できる、 そんな乗り継ぎを提案しています。 価値観は人それぞれですが、今のところ、 私はそういう乗り継ぎが「最適」だと思っています。

意外に多い「同業者」

 実際に最速の乗り継ぎをやってみると分かりますが、 最速の乗り継ぎに組み込まれた列車は、けっこう混んでいます。 便利な列車に乗るわけですから当然といえば当然です。
 「ふつうの乗客」で混んでいるならまだしも、 最速の乗り継ぎでは「同業者」が席を埋めていることも多く、こうなると大変です。 「ふつうの人」なら1時間もすれば列車を降りるでしょうが、 「同業者」は終点まで乗り通し、さらにその先、 きっとあなたと同じ列車に乗り継ぐわけですから。 「静岡から名古屋まで」「東京から広島まで」など程度に差こそあれ、 「ふつう新幹線に乗るだろう」と思われている距離を在来線で移動する人は、 実は意外に多いのです。
 そんなわけで、特にお盆や年末年始に最速乗り継ぎを実行すると、 各乗り継ぎ駅では誇張抜きの「競走」が繰り広げられます。 その最たる例が大垣駅で、競走があまりに激しいため、 乗り継ぎ客用の速度制限標識(10km/h)が設置されたほどです。 次の列車では座れるかどうか、やきもきしながらの競走が楽しいはずもありません。

人の行く裏に席あり

 しかし、最速乗り継ぎから少し身を退くだけで状況はがらっと変わります。 長距離客を満載した列車を見送ると、次の列車は地元の人がぽつぽつ乗っているだけ、 ということは珍しくありません。こういう列車を選べば自分も他人も幸せです。
 また、混雑する便利な列車も、発車直前にいっせいに乗り継ぐから大変なだけで、 最速乗り継ぎの一団がやってくる前に始発駅で待ち受けていれば楽に座れます。 少しだけ先回りしていればいいわけです。
 もちろん、こういうことをすれば余計に時間がかかりますが、その差は知れています。 東海道線だと電車は最悪でも30分間隔、平均的には15〜20分間隔で走っているので、 1本見送ってもたかだか30分です。 最速で9時間だったものが9時間半になろうが10時間になろうが、 どうせ1日つぶれることに変わりはありません。
 少し「ゆとり」を持つだけで、乗り継ぎは「最速」から「最適」へ変わります。


待ち時間の使いかた

 「各駅停車の旅」「気ままに途中下車」…いかにも、 某テレビ局の土曜スペシャルのようなフレーズですが、 普通列車で「ゆとり」というと、まずはこういう印象ではないでしょうか。
 しかし、このページはそういう旅行のよさを説いているわけではありません (悪いと言っているわけでもありません)。 あくまで目的は東京・大阪間の移動であり、 その移動を快適にするためにはどういう時間の使いかたをすればいいのか、 それを考えていきます。

「適当に休憩」は逆効果

 最速の乗り継ぎでは、当然、駅にいる時間は最小限しかありません。 つまり「ほとんど列車に乗りっぱなし」ということで、 この点でも「最速の乗り継ぎは快適でない」といえます。
 しかし、この点だけに気を取られ、 「空いている列車に乗る」「確実に座る」という目標を忘れて適当な場所で休憩をとると、 最速の乗り継ぎよりもかえって大変になる可能性すらあります。
 たとえば、ちょうど名古屋で昼時を迎えたからお昼ご飯でも、と考えて降りたとします。 しかし東海道線には「名古屋始発」という列車がほとんどないので、 次に乗るときに大変です。 最も混雑する時期だと、そのまま1時間ぐらい座れないこともあり得ます。
 「そこで時間をつぶすことによって、次の列車では楽に座席を確保できる」 …そんな駅に降りるのが正解です。

価値ある30分、ムダな30分

 「全列車で確実に座っていく」という目標を達成するには、単純に考えると、 すべての乗り継ぎ駅で1本ずつ列車を見送ればよさそうです。 が、さすがにそれでは時間がかかりすぎます。取捨選択は必要です。
 たとえば米原から大垣までの列車は、昼間は2両編成ということが多く、 たいてい混んでいます。しかし、だからといってここで1本見送ると、 次の列車は実に30分後です。 しかも、ようやく乗った列車はわずか30分走っただけで終点の大垣に着いてしまいます。 30分座るために30分待つのではあまり意味がありません。
 同じ30分を費やすのでも、たとえば浜松で10分、熱海で20分と振り分ければ、 浜松から東京まで全区間で確実に座れるようになるかもしれません(列車の時刻によります)。 乗り継ぎの「キモ」を把握し、その列車で座るために時間を割り振ると、 所要時間のわりに快適な乗り継ぎになります。

時間をかけずに「最適化」

 乗り継ぎを快適にするには時間をかけろ、 と力説してきたわけですが、実は、全体の所要時間を変えなくても、 乗り継ぎを工夫することで快適になる場合もあります。
 普通列車どうしの追い抜きがない場合、 とにかく「目の前にいる列車」を乗り継いでいけば、 結果としてそれは最速の乗り継ぎになります。
 しかし、目の前にいる列車を1本見送ったり、 列車の終点まで行かずに途中の駅でわざわざ降りたりしても、 最終目的地には結局同じ時刻に着く、ということが実はよくあります。 つまり、出発時刻と到着時刻が決まっても、 途中の乗り継ぎ方法は1つとは限らないのです。
 実例は Part 2 以降で挙げていきますが、いくつかのルールを覚えれば、 こうした乗り継ぎの工夫を自分でできるようになります。



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最終更新: 2005年 1月31日
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