この文書は本来、世の中の現状について解説するために公開しているものであり、
常に現状に追随することが期待されます。
しかし実際には、最後の更新(ページ末尾に記載)から相当な年月が経過しており、
記載内容は現状に追随していません。
また、この文書を今後更新する予定はありません。
したがって、この文書は本来の目的を達成していません。
最終更新当時の世の中の様子を伝えるという、
本来とは異なる目的で公開を続けているものです。
以上の点を理解のうえ、お読みください。
Part 2 では、乗り継ぎを快適にするためのポイントをいくつか紹介します。 これらのポイントを理解すれば、 同じ所要時間でもより快適な乗り継ぎを組み立てられるようになります。 また、少し余計に時間を費やして快適さを得る場合にも、 より効果的な時間の使い方ができるようになります。
「乗り継ぎ初心者」はとかく、一番先に出る電車に乗ろうとします。
追い抜きがなければ、たしかにそれでまちがいなく最速の乗り継ぎができます。
が、少し落ち着いて考えましょう。
急いでも、その先の列車がなければ意味がありません。
あとさき考えずに目の前にいる列車に乗ると裏目に出る…そんな典型例を1つ見てみましょう。
熱 海 静 岡 島 田 浜 松 A 9:58−→11:14 B 11:15−→11:43 C 11:25−→11:52−→12:36
熱海から静岡行(A)に乗り、
静岡で降りると目の前に11時15分発の島田行(B)が待機中。
反射的にこれに乗りかえたものの、島田ではその先の列車が待っていなくて、
結局は11時25分静岡発の浜松行(C)に乗ることになった…という事例です。
静岡でBに乗り継いでも、Bを見送って次のCに乗り継いでも、
浜松に着くのは同じ12時36分です。それなら、乗りかえが1回少ないうえ、
静岡から確実に座れるCに乗るほうが明らかに快適です。
Bに乗ると、発車間際なので混んでいる可能性があるうえ、
島田からCに乗って座れる保証はありません。
一般に、峠や県境をまたいで移動する人は比較的少ないといわれていて、
これは列車本数にも反映されています。
たとえば熱海・三島間(長いトンネルで山を突っ切る)、
浜松・豊橋間(静岡・愛知の県境)、
大垣・米原間(関ヶ原越え、岐阜・滋賀の県境)などは、
前後の区間にくらべて列車本数が少なくなっています。
ですから、峠の手前まで大急ぎでやってきても、
峠越えの列車がなくて待たされ、結局1本後の列車で来ても同結果だった、
ということがよくあります。
計画を立てるときには、こうした峠越えの区間から考えていくといいでしょう。
ただ、峠越えの区間とそれ以外で完全に列車が分離されている場合
(昼間の大垣・米原など)、峠越えの区間できちんと座りたい人は、
峠の手前でわざと待ち時間を作るのも一つの手です。
ふだん空いているのに混雑期にはひどく混むのも「峠越え区間」の特徴なので、
特に盆暮れには有効な手段です。
どうしても座りたければ始発駅から乗るのが確実です。
余計な時間をかけるなら、狙う列車の始発駅で待つのがいいでしょう。
そんなの当然じゃん!と思った人も多いと思いますが、
この「あたりまえのこと」に気付きにくい事例もあるのです。
たとえば、以下のような乗り継ぎではどうでしょう。
米 原 大 垣 豊 橋 浜 松 A 12:55−→13:29 B11:07−→11:40−→13:01 C 11:55−→13:14−→13:45
米原からBに乗ったとしましょう。
足の長い豊橋行をつかまえられたので、豊橋より先まで行く人も、
たいていは豊橋までBに乗っていきます。
しかし豊橋に着くと、浜松方面への列車(A)は6分前に出たばかり。
次の列車はCですが、実はこの列車は大垣発。
大垣でBを降り、Cに乗り継いでおくという手もあったのです。
この場合、大垣でCに乗り継ぐほうがおそらく快適でしょう。
大垣でCに乗り継げば浜松まで確実に座っていける一方、
豊橋からCに乗っても浜松まで座れる保証はない(おそらく、
1ドアあたり先着数名しか座れない)からです。
列車の始発駅はたいてい主要駅なのですが、
まれに「乗降客は少ないのに始発列車のある駅」というのもあります。
そういう駅から出る列車は、
発車直後には(始発駅から乗る人が少ないので)がらがらのことが多く、
狙い目です。
具体的には、静岡県内の興津、島田が「要チェック駅」です。
興津については、次の「Point
3」で具体的な乗り継ぎを1つ紹介します。
また、「乗降客が少ない」といえるかどうか微妙ですが、
富士始発の下り列車もちょっとした穴場です。
ただ、せっかく乗った始発列車がすぐ終点に着いてしまっては、
わざわざ乗ったかいがありません。「興津発浜松行」「島田発熱海行」など、
マイナーな駅が始発で、かつ足の長い列車に利用価値があります。
快適な乗り継ぎを組み立てることは、
つまるところ「人の流れを読む」ということだと思うのですが、
これを少しかみ砕いて説明すると、
まずは「主要駅は降りずに通り過ぎる」ということになるでしょう。
ここでいう「主要駅」は、新幹線停車駅のことだと思えばだいたい正解です。
主要駅は乗る人、降りる人ともに多いので、
主要駅より1駅でも手前で列車に乗っておけば、
主要駅から乗ってくる大勢の人を一歩リードできます。
また、主要駅に着く手前では多くの人が席を立つので、
この瞬間に車内にいれば、かなり自由に席を選べます。
特にラッシュ時には、座席確保の面でかなり有利です。
たとえば以下の例を考えてみます。
熱 海 興 津 静 岡 浜 松 A10:45−→11:46−→12:03 B 11:57−→12:15−→13:24
Point 2 を適用すると、AからBへ興津で乗り継げ、ということになります。 たしかにそれが正解なのですが、 興津で乗り継ぐことのメリットはそれだけではありません。 主要駅である静岡をBに乗ったまま通過できるようになる、 という点でも都合がいいのです。 一方の興津は、始発駅でありながら乗降客はそれほど多くなく、 静岡から乗るのとは雲泥の差です。
大阪から東京へ向かう場合、
まず最初に乗るのは(早朝を除けば)長浜行の新快速ですが、
この新快速はいつも混んでいて、
大阪から乗っても座れないことがよくあります。
言うまでもなく大阪は「超主要駅」なので、Point 3 を強引に実行するため、
東京とは逆方向の尼崎まで新快速を迎えにいくという手があります。
大阪到着時に車内にいれば、大阪から先で座れない可能性が小さくなります。
たとえば大阪10時00分発の上り新快速に乗りたい場合、
大阪9時45分発の下り新快速で尼崎へ行けば折り返しが可能です。
15分の「投資」で座れるようになるなら安いものです。
本来、このように折り返すと「大阪・尼崎」の往復分の乗車券が別途必要ですが、
青春18きっぷを使う人は、もともと1日乗り放題なので追加運賃は不要です。
Point 4 は、Point 3 の冒頭でふれた「人の流れを読む」の続編で、
時刻表を眺めて人の流れを予測してみます。
といっても特に難しいことではありません。
一言でいえば、「ほとんどの人は一番先に出る列車に乗る」という、
ごくあたりまえの性質をうまく利用しましょう、ということです。
たとえば以下の例を見てください。
大 阪 米 原 大 垣 豊 橋 A 11:12−→11:44 B10:00−→11:18 C 11:44−→12:15 D 12:25−→13:44 E 12:40−→14:01
この時刻表でB→C→Eと乗り継ぐと、米原で26分、
大垣で25分待つことになりますが、26分も待つのに、
Cで必ず座れるとは言い切れません(Cが2両編成というのが災いしていますが、
理由はそれだけではありません)。
いっぽう、Cより待ち時間の少ないEでは、確実に座れると言い切れます。
CとEの差は、「その時点で一番先に出る列車かどうか」という点です。
11時18分現在、Cは「大垣方面へ行く一番早い列車」なので、
Bから降りてきた人や米原から大垣方面へ行く人は、
ほぼ例外なくCに乗ろうとします。いっぽう、12時15分現在、
Eは「豊橋方面へ行く一番早い列車」ではありません(先にDが出ます)。
なので、12時15分から12時25分までの10分間、
「大垣にいて豊橋方面を目指す人」はEではなくDに乗ろうとし、
Eにわざわざ乗ろうとする人はほとんどいません。
この場合、大垣で昼食を調達するためにいったん駅を離れても、
12時25分までに駅に戻ってくれば、Eで座れることは確実です。つまり、
Eで確実に座るためには15分前から準備していれば十分ということになります。
26分待っても座れない恐れがあるいっぽう、15分待てば十分という場合もあるので、
待ち時間の長さだけでは「快適さ」は測れません。
前後の列車との関係、いってみれば「間」が重要なのです。
ダメ押しで、Point 2 で紹介した事例をもう一度見直してみてください。
大垣で乗り継ぐことで、始発列車をつかまえるのみならず、
同方向の列車を1本やり過ごすことができ、
うまく「間」をとることに成功しています。
ちょっと高度な「快適な列車の見分け方」をもう一つ。
列車の運転間隔に注目してみましょう。
列車の運転間隔は均等なのが理想的です。
実際、東海道本線でも多くの区間が、昼間は均等な運転間隔になっています。
たとえば静岡の前後はほぼ10分間隔、浜松・豊橋間はほぼ20分間隔、
豊橋・大垣間は快速類がほぼ15分間隔…などです。
こうした区間では、短距離の移動をする地元の人は、
各列車をほぼ均等に利用します。
しかし、運転間隔が均等でない区間もあります。
特に注目したいのが島田・浜松間で、基本はほぼ20分間隔なのですが、
毎時4本を確保するためか、イレギュラーに10分間隔となっている場合があります。
たとえば、浜松駅の昼間の上り列車は以下のような発車時刻です。
単純に、
各駅からの利用者が毎分何人というペースでコンスタントに「湧き出し」てくると考えれば、
12時23分発、13時02分発など、前の列車との間隔が10分の列車は、
その他の列車にくらべて乗客が半分ということになります。
実際にはそこまで極端な差はないと思いますが、
それでも、かなり空いているであろうことは想像できます。
実際には、
他の列車からの接続をとるかとらないかという要素も混雑に大きく影響しますが、
もし「他の列車からの接続をとらず、前の列車との間隔も短い」ものを見つけられれば、
かなり空いていることが期待できます。
念のため書いておきますが、「15分待てば十分」というのは、
15分前から列車を待つことに専念した場合の話であって、
単にホームにいればいいというものではありません。
15分前にすでに列車が待っていてドアが開いていれば、
さっさと乗り込んで座ってしまえばいいわけですが、
そうでない場合、「ドアの来る位置」で列を作って待っていないと、
早く来た人も遅く来た人も関係なしに列車に乗り込むことになり、
長時間待ったかいがありません。
ホームで待つ人を観察していると、
「次の列車の乗車位置」に無頓着な人が意外に多く、
いざ列車が入ってくると近くにドアがなくて右往左往…という光景をよく目にします。
案内が不足しているというのも問題の1つではありますが、
明らかに放送を聞いていない人もけっこういます。
始発列車の場合、
車掌さんが「自分の乗るべき位置」で待っていることがしばしばあります。
この場合、車掌さんのいる位置が列車の最後尾なのだな、と想像がつくでしょう。
また、乗車位置が分からなければ、
駅員さんなど「しかるべき人」に聞けば教えてくれるでしょう。特に混雑期には、
こうした地道な「情報収集」がその後数時間の明暗を分けることもあります。
Point 2〜4 のようなことに気をつけて快適な乗り継ぎを目指そうとすると、
全体の所要時間が延びるのを承知で、
わざと1本列車を見送るようなこともあるでしょう。
しかし、すべての乗り継ぎ駅で列車を1本見送っていたのでは、
さすがに所要時間が長くなりすぎます。
長距離を乗り継ぎなしで移動できる便利な列車をまず見つけ出し、
その列車だけは確実に座れるように「下準備」をしておくと、
かける時間のわりに快適な移動ができます。
私は「必要な待ち時間は乗車時間に比例する」という法則があるのだと勝手に納得していますが、
これ、わりと正しいと思いません?