この文書は本来、世の中の現状について解説するために公開しているものであり、
常に現状に追随することが期待されます。
しかし実際には、最後の更新(ページ末尾に記載)から相当な年月が経過しており、
記載内容は現状に追随していません。
また、この文書を今後更新する予定はありません。
したがって、この文書は本来の目的を達成していません。
最終更新当時の世の中の様子を伝えるという、
本来とは異なる目的で公開を続けているものです。
以上の点を理解のうえ、お読みください。
Part 3 では、これまでに説明してきた手法を用いて、 実際に乗り継ぎを「リフォーム」あるいは「新築」してみます。
まず最初に、最速乗り継ぎの「上り5」(土休日)を題材にしてみます。 もともとの乗り継ぎは以下のようなものです。
8:30 大 阪 | 新快速 長浜行 ↓ 3210M 9:51 米 原 10:07 | 快速 豊橋行 ↓ 5308F 10:38 大 垣 10:55 | 新快速 浜松行 ↓ 5220F 12:46 浜 松 12:52 | 普通 三島行 ↓ 766M 15:01 沼 津 15:12 | 普通 熱海行 ↓ 1450M 15:34 熱 海 15:40 | 普通 東京行 ↓ 876M 17:27 東 京
この乗り継ぎ、大垣では「Point 2」と「Point 4」を同時に適用し、
豊橋行の列車をわざわざ大垣で降りて、次の浜松行に乗りかえています。
したがって大垣・浜松間は盤石です。
米原・大垣間は出遅れると座れない可能性もありますが、
この区間としては比較的長い4両編成ですし、座れなくてもたかだか30分の辛抱なので、
それほど気にすることもないでしょう。
となると、問題は浜松から先です。浜松での乗り継ぎ時間は6分しかありません。
また、浜松付近の時刻表を見てみると、
乗ろうとしている列車(C)は以下のように「約20分ぶりの列車」で、
浜松から、あるいは途中駅から乗ってくる地元の人が比較的多いと予想されます。
Bに乗って浜松に着くわけですが、
着いたときにはすでに座席があらかた埋まっているかもしれません。
豊 橋 浜 松 静 岡 沼 津 熱 海 A 12:33−→13:44 B12:14−→12:46 C 12:52−→14:07−→15:01 D 15:12−→15:34 E 13:02−→14:14 F12:35−→13:09 G 13:12−→14:24 H 14:27−→15:32−→15:49
そこで Point 4 を適用し、Cを見送ってEに乗ることにします。
Eで確実に座れることはもはや説明するまでもないでしょう。
単に座れるだけでなく、CとEの間隔が10分であるため、
静岡まで終始空いているだろう、というおまけもついてきます。
Eに乗って静岡に着くと、熱海方面への列車は13分後のHまでありません。
比較的列車本数の多い静岡で13分も待つので、
Hでもまず座れないということはないでしょう。
結局、計画は以下のようになりました。
8:30 大 阪 | 新快速 長浜行 ↓ 3210M 9:51 米 原 10:07 | 快速 豊橋行 ↓ 5308F 10:38 大 垣 10:55 | 新快速 浜松行 ↓ 5220F 12:46 浜 松 13:02 | 普通 興津行 ↓ 768M 14:14 静 岡 14:27 | 普通 熱海行 ↓ 1452M 15:49 熱 海 16:00 | 快速〔アクティー〕東京行 ↓ 3764M 17:33 東 京
浜松で1本見送ったおかげで、 幸運にも熱海から快速に乗れるようになり、東京着はわずか6分差です。 6分で浜松から先しばらくの快適さを買えるなら安いものでしょう。
米原より西は新快速が圧倒的に速いのですが、
米原まで直通している新快速は、早朝を除けば毎時2本。
大垣・米原間も毎時2本ペースなので、
東西の列車が1対1で対応することになります。
米原の前後は時としてかなり混雑するので、特に最混雑期には、
できれば1本見送って確実に座りたいところです。
しかし1本見送れば待ち時間はプラス30分なので、
次の列車でいくら快適さが得られようと、さすがにペイしません。
しかも困ったことに、米原での乗り継ぎは概して悪く、
1本見送るわけでもないのに20分以上待たされることが珍しくありません。
20分待っても座れない可能性がある、1本見送れば50分待ち…と、
米原での乗り継ぎにはいつも頭を悩ませます。
米原乗り継ぎを回避できる直通列車もほとんどありません。
今のところ、私は以下のように考えています。
東から西へ向かう場合、米原から12両編成の新快速を選ぶ。 8両編成だと混雑するうえ、全車両が長浜発なので、 米原に着いた時点でだいぶ混んでいることがある。 一方12両編成だと、12両のうち8両が長浜始発、4両が米原から連結となるので、 空っぽの4両が米原で待っていて、座れないことはまずない。
西から東へ向かう場合、米原到着前に、乗り継ぎに便利な位置まで移動しておく。 大垣までなら約30分なので、座れなくてもいいと割り切る。 昼間はほぼ全列車が2両編成なので、長い編成の走る朝方、あるいは夕方近くを狙う。
次に、最速乗り継ぎのページで私が「快適さ最低」と評価した乗り継ぎ(上り10)を例にとり、改善を試みます。
乗車日は平日とし、大阪を出発する時刻は動かさないことにします。
改善前の乗り継ぎは以下のようなものです。
11:00 大 阪 | 新快速 長浜行 ↓ 3444M 12:18 米 原 12:42 | 普通 大垣行 ↓ 216F 13:16 大 垣 13:25 | 新快速 豊橋行 ↓ 2230F 14:44 豊 橋 14:55 | 普通 浜松行 ↓ 950M 15:29 浜 松 15:32 | 普通 静岡行 ↓ 782M 16:43 静 岡 16:45 | 普通 沼津行 ↓ 784M 17:38 沼 津 17:40 | 普通 熱海行 ↓ 1460M 18:00 熱 海 18:06 | 普通 東京行 ↓ 528M 20:00 東 京
乗り継ぎの回数が多く、しかもほとんど乗りかえが短時間というのが困りものです。 浜松で3分、静岡で2分、沼津で2分。大垣や豊橋は若干長いものの、 乗り継ぎ先の列車は「その方面へ一番先に出る列車」なので楽観はできません。
どこから手をつけていいか分からないぐらいですが、時刻表を眺めたところ、 やや不本意ながら、浜松まではこのままいくしかないようです。
米 原 大 垣 豊 橋 浜 松 A12:42−→13:16 B 13:25−→14:44 C 14:55−→15:29 D 13:40−→15:01 E13:14−→13:45 F 13:55−→15:14−→15:45
改善前の計画はA→B→Cと乗り継ぐことになっていますが、
かりに大垣でBを見送ってDに乗ると、豊橋から先がFになってしまいます。Point 2
を適用すると「Fに乗るなら大垣から乗れ」ということになり、
大垣で40分近くも待つことになります。確実ではありますが、Point 5
に照らして考えると、さすがに待ち過ぎという気がします。
(この間に昼食をとるという手もありますが、
確実な座席確保を考えるなら13時40分にはホームに戻っていたいので、
ちゃんとした食事をとるほどの余裕はありません。)
Fに乗るならEで大垣に来れば十分でしょう。
豊橋でCを見送ってFに乗る、というのも上記と同様に意味がなく、
結局、Aに乗るのなら「A→B→C」と乗り継ぐしかありません。
浜松から先もなかなか改善しにくいのですが、方法は皆無ではありません。
豊 橋 浜 松 島 田 静 岡 沼 津 C14:55−→15:29 G 15:32−→16:15−→16:43 H 16:45−→17:38 I 16:21−→17:00−→17:56 F15:14−→15:45 J 15:50−→16:33−→16:59 K 16:00−→16:45−→17:17−→18:16
改善前の計画ではC→G→Hと乗り継ぐことになっていますが、
浜松でGを見送ると次の列車はJ。
Jに乗ると静岡でIに追いつきますが、乗り継ぎ時間が短いので、
さらに静岡でも1本見送りたくなります。すると結局はKになり、
これだと浜松までFで来てもいいのではないかという気がします。
浜松までCに乗ってくるなら、C→Gと乗り継ぐしかないのです。
しかし、島田まで行くとIという都合のいい列車があります。
島田までGでがまんして、島田でIに乗り継ぐと、Point 2、Point 3、Point 4
をまとめて適用できるので非常に快適です。
このように、時刻表を見ながら乗り継ぎを検討していると、
視点が行ったり来たりすることがしばしばあります。
「米原からこれに乗ると大垣に何時着、大垣からこれに乗ると豊橋に何時着、
だから豊橋からこれに乗ることになる、
だけど豊橋からこれに乗るんだったら大垣発は何時でいい」といったように、
最初は実際の移動と同じ順序で考えていたのに、
途中で着眼点がバックしていくのです(米原→大垣→豊橋→大垣)。
実はこれ、市販の「乗りかえ案内ソフト」と同じ手法です。
まずは最初に乗る列車を決め、目的地まで順方向にたどってみて到着時刻を把握しますが、
今度は「その時刻に目的地に着くには何時に出ればいいか」を逆方向にたどってみると、
しばしば「実はもっと遅く出ても同じ結果だった」ということが判明し、
より所要時間の短い行程が得られる、というわけです。
時刻表に慣れている人は無意識のうちにこういう手法を使っています。
時刻表を読み慣れない人は、
スタートからゴールまでつながればそれで安心してしまうかもしれませんが、
もう少しがんばって、ゴールからスタートまで戻ってみることも重要です。
また、最初に「ゴールに到着したい時刻」を決めて、
ゴールからスタートへ逆方向に時刻を調べていけば、
「行って戻る」といった二度手間なしに最速の乗り継ぎを見つけられます。
結局、改善後のプランは以下のようになります。
11:00 大 阪 | 新快速 長浜行 ↓ 3444M 12:18 米 原 12:42 | 普通 大垣行 ↓ 216F 13:16 大 垣 13:25 | 新快速 豊橋行 ↓ 2230F 14:44 豊 橋 14:55 | 普通 浜松行 ↓ 950M 15:29 浜 松 15:32 | 普通 静岡行 ↓ 782M 16:15 島 田 16:21 | 普通 熱海行 ↓ 446M 18:22 熱 海 18:26 | 普通 東京行 ↓ 926M 20:08 東 京
乗り継ぎは1回減り、東京着は8分差でおさまりました。 熱海での4分乗り継ぎは厳しそうに見えますが、 熱海から先の列車は編成が格段に長いうえ、 熱海から乗ってくる人はそれほど多くないので、 たいていの場合には心配には及びません。
この例では、「島田でわざと乗り継ぐ」ことによって、
いちおう快適さを得たということになっています。
しかし、「大阪11時発」というのを固定して考えたため、
浜松までの行程は何ら改善することができませんでした。
こういう事例は、実は珍しくありません。
時間のロスを最小限に抑えながら快適な乗り継ぎをしようと思うと、
出発する時刻はある程度限られてきます。
快適さを得ようとすると、出発時刻はある程度の制約を受けるのだ、
と割り切って計画を立てるしかないでしょう。
最後の例は、既存の乗り継ぎの「リフォーム」ではなく、
一から組み立てる「新築」に挑戦してみます。
休日ダイヤの日に、だいたい夕方(17〜19時)に東京に着くという前提条件で、
大阪から東京までの快適な乗り継ぎを組み立ててみます。
まずは、時刻表で静岡の前後を見渡し、「これは」という列車を見つけます。
浜松より西、熱海より東は昼間のダイヤがだいたいパターン化されていますが、
静岡近辺は各列車の始発や終着、編成長がまちまちで、
乗り継ぎがうまくいく場合とそうでない場合の差が顕著です。
探してみると、以下の3つが私の目に留まりました。
このうち上の2つは、長距離を直通する、という分かりやすい選定理由です。1.
に関しては、特に考えなくても適切な接続列車が見つかるはずですので、
各自、時刻表でこの列車の前後の乗り継ぎを考えてみてください。いっぽう 2.
は、大阪方面からくると浜松での乗り継ぎ時間を確保できず、
無理に確保しようとすると豊橋から 1. の列車に乗ることになってしまうので、
「1本見送ってでも快適さを」と考える人には都合がよくありません。
というわけで、以後は 3. を軸に考えます。3.
の利点は「浜松・静岡間で先行列車のわずか10分後を走ること(Point
4 の補足説明を適用)」、
そして「静岡で同方向の列車を1本見送る乗り継ぎになること(Point
4 を適用)」です。
さらに、調べてみると豊橋方面からの接続も絶妙です。
米 原 大 垣 豊 橋 浜 松 静 岡 熱 海 A11:07−→11:40−→13:01 B 11:55−→13:14−→13:45 C 13:52−→15:04−→16:32 D 14:02−→15:13−→富士止 E 13:35−→14:08 F 15:28−→16:46
浜松からD→Fと乗り継ぐわけですが、
これに間に合う米原方面からの乗り継ぎを考えると、A→Bとなります。
AからBに乗り継ぐのは豊橋ではなく大垣、
というのはもう説明するまでもないでしょう(Point 2、Point
4)。また、浜松ではCを1本見送ることになるので、
Dで座れないということはまずありません(Point
4)。さらに、前述のとおり、Dは前の列車(C)の10分後を走るので、
静岡まで終始空いているであろうということも予想がつきます。
豊橋方面からの接続をとらない(Eに乗ってもDには間に合わない)、
というのも「空いているはず」という予想を後押しします。
主要駅の静岡で乗りかえがあるため Point 3 には反していますが、Point 4
の「1本見送る」を実践しているので問題はありません。
これで、少なくとも大垣から熱海までは、
時刻表を見ただけで「座席に困ることはあり得ない」ということが分かります。
結局、以下のような計画ができました。
9:30 大 阪 | 新快速 長浜行 ↓ 3218M 10:48 米 原 11:07 | 快速 豊橋行 ↓ 5312F 11:39 大 垣 11:55 | 新快速 浜松行 ↓ 5224F 13:45 浜 松 14:02 | 普通 富士行 ↓ 774M 15:13 静 岡 15:28 | 普通 熱海行 ↓ 1454M 16:46 熱 海 16:51 | 快速〔アクティー〕東京行 ↓ 3766M 18:29 東 京
一般的には「乗りかえが少ないほうが快適」と思われています。
ひとたび乗りかえるとなると、睡眠を中断したり、階段を上り下りしたり、
せっかく座れていたのに乗り継いだら座れなくなったりと、
たしかにデメリットはあります。
が、1日9時間も列車に乗っていると、
「たまには降りてリフレッシュしたい」と思うこともあるものです。
特に静岡県内は、愛知以西と比べて車両の質がいまいちで、
しかもことごとく各駅停車なので、長時間乗っていると疲れます。
乗り継いだ先で座れるという保証があれば、
適度に乗りかえがあったほうが、実は快適なのかもしれません。
今回、長距離を直通する 1. や 2. ではなく、あえて 3.
を選んだのにはそんな理由もあります。実際、私は 1. も 3.
も体験したことがあるのですが、1.
では3時間同じところに座っているのが苦痛になってきて、
熱海に着いたときには正直言ってほっとしました。一方 3.
では、ほぼ1時間半おきに休憩があり、多少はリフレッシュできました。
あらためて最速乗り継ぎのページを見てみると、
この乗り継ぎは「上り7」の変形にあたります。
「上り7」は浜松まで上記の乗り継ぎと同じですが、
浜松からDではなくCに乗ることになっています。
その結果、東京着は6分早い18時23分ですが、
浜松からCできちんと座れるかどうかは保証の限りではありません。
しかし逆に言えば、Cで運良く座れれば、
そのまま熱海まで行ってしまってもいいのです。
ここまでは各列車の混雑を常に悲観的に見積もって予定を立ててきましたが、
実際には、混雑する日もあれば空いている日もあります。
混んでいれば予定どおりCを見送ってDに乗り、
意外に空いていればちょっと予定を早めてCに乗る(もちろん、
Cに乗って意味があることを確認したうえでのことです)。
実際の状況を見てその場で計画を修正していく、
言ってみれば「アドリブ」ができるようになれば、もう私から言うことはありません。
あらかじめ行程を fix
しなくていいのは、本数の多い東海道の普通列車ならではのメリットです。
自由な旅行を楽しんでください。