この文書は本来、世の中の現状について解説するために公開しているものであり、
常に現状に追随することが期待されます。
しかし実際には、最後の更新(ページ末尾に記載)から相当な年月が経過しており、
記載内容は現状に追随していません。
また、この文書を今後更新する予定はありません。
したがって、この文書は本来の目的を達成していません。
最終更新当時の世の中の様子を伝えるという、
本来とは異なる目的で公開を続けているものです。
以上の点を理解のうえ、お読みください。
7801形は、1963年に製造開始となった2両1編成の車両です。
輸送力増強のため小型車を置き換える目的で製造された7801形は、
新製コストを下げるために電気ブレーキを装備していないなど、
今となっては信じられないような車両です(オイルショック以前の車両なので、
「経済車」といっても省エネは指向していません)。
阪神本線の大型化に際して、
一時期に大型車両が大量に必要になったという事情もあるのでしょうが。
編成は Mc-T で、単体での営業運転はできませんが、 番号が奇数の車両は大阪方に、偶数の車両は神戸方に運転台を持っているため、 奇数と偶数で4両編成が組めますし、他の車両と組めば、 3連から6連まで幅広く対応できました。もっとも、 1991年4月のダイヤ改正で本線の赤胴車はほとんどが6両に統一されたため、 この自由度の高さは現在では特に意味を持ちません。
「7801形」とひとまとめにしていますが、 厳密には制御電動車(モーターつき先頭車、Mc)が7801形、 付随車(モーターなし中間車、T)が7901形です。
このような7801形ですが、製造時期によって大きく3種類に分けることができます。
まず第1〜34編成は、側面が切妻で裾には丸みがなく雨樋を埋め込んでいない、 まさに「経済車」といった車体です。 さすがにこの時期の車両はそのままの形では残っていません。
車体が同じ1〜34編成ですが、その処遇には差がありました。
まず第12編成までは、
3521形という1両単体の形式(車体は7801形と同じ)と編成を組んで3両編成とし、
制御器を界磁チョッパに交換、回生ブレーキを装備、一部は内装を暖色系に変更し3000系となりました。
車体の古さからいって早晩廃車となるはずだったのですが、震災で車両不足が生じ、
この3000系は2編成を除いて無事だったため、現在でもまだ6両が残っています。
第13編成から第30編成までは特に何事もなく生涯を過ごしました。
つまり、晩年まで冷房化以外の大きな改造を受けず推移したのです。
ただ、その中の7822Fは、付随車7922がもともと改造車だったという珍しい編成です。
これは、
阪神間を25分で走破するノンストップ特急に使用された3011形(クロスシート、
3両編成)をロングシートの通勤車(2両編成)に改造したとき、
余剰となった1両を組み込んだものです。7922の車体がほかより10年程度古いため、
7822Fは他の7801形より早く廃車となりました。
新造車体の7822は納得いかないでしょうが、これも人生(?)。
そして、忘れてならないのが第31〜34編成。7801形の両運転台版である7861形の2編成とともに編成の組み替えを受け、 2M1Tの3両編成として晩年を過ごしました。改造内容は以下のとおりです。
※ 画像が見られない環境のため、 文字による図表も用意しました。
つまり、7861形7870Fをまず分割し、
神戸方運転台のある7870を大阪方運転台のある7831Fに、
大阪方運転台のある7970(を電装し、パンタグラフを設け7871に改番した車両)
を7832Fにそれぞれ連結し、2M1Tの3両編成としたのです。
この改造で、7871は運転台直上にパンタグラフがある「前パン」となりました。
前パンの7861形としてひときわ異彩を放ったものです。
同様の改造が7833・7834・7872Fにも施されました。晩年は、
この2M1Tの編成が2本ずつ組になり、主に準急に運用されていたようです。
MT比が1:1の通常編成にくらべ若干加速もよく、
いろいろな意味で珍しい存在でした。
が、震災直前に4編成とも廃車となったようです。
第35〜39編成は、7801形としては初めて雨樋を内蔵、両開きの扉となり、
すそに丸みを持たせ、さらにラインデリアを装備したもので、
それまでの7801形とはまったく趣を異にしています。
しかし、この車体はその後の標準となりませんでした。
この直後、新製時から冷房を搭載することになったのと関係があると思われます。
車体の高さが妙に低く見え、7837F(の一部)までドアの窓が幅広であるなど、
その後の車両には見られない特徴を持っています。
現在は主に西大阪線で活躍していますが、
その西大阪線で運用される車両は、最近、徐々にジェットカーの比率が高くなってきています。
最近の新造車両がもっぱら5500系で、
車齢の高いジェットカーがあらかた廃車になってしまっている
(残っているジェットカーはどれもそれなりに新しい)
ということも関係があるのでしょうが、ともかく、
赤胴車の出番は徐々に少なくなっています。
このため、1999年3月には7835F、7836Fの2編成4両が廃車となりました。
第40〜50編成(この間は奇数が存在しない)は、
日本初のチョッパ制御量産車である7001形と同一の車体を使用した車両です。
7001形は登場当初、梅田方にのみ運転台を持つ3両編成で、
7801形の第40〜50編成はこの7001形と連結して5両編成を組成することを目的として作られました。
偶数編成ばかりが6本製造されたのはそのためです(偶数=元町方に運転台)。
その後製造された7001形の第2次車は最初から両方向に運転台のついた4両編成でしたから、
これに対応する7801形は製造されず、7801形は7850Fで打ち止めとなりました。
この7801形最終タイプは、新造当初から冷房を装備した初めての車両です。
現在では、7001形とともにすべてが界磁添加励磁制御の2000系に改造されています。
そして、7801形には兄弟というべき7861形がいます。
7861形は、性能、車体等は7801形とほぼ同じながら、
2両編成で2つの運転台を持っています。
つまり、2両編成で旅客列車を運行することができるのです。Mc
がどちらを向いているかで奇数か偶数が決まる、
という法則はこの形式にも生きています(Mc が梅田方=奇数)。
7861Fから7872Fまで、
間をおいて8編成16両が製造されました(奇数編成は7861Fと7863Fの2本だけ)。
このうち7870Fと7872Fは、前述のとおり7801形と組んで奇妙な3両編成に改造され、
そのあげくに老朽化のため廃車となり、現在は残っていません。
一部の車両は雨樋が内蔵されていて、
それだけでずいぶんすっきりした印象を受けます。上記の2つの写真のうち、
7863Fは雨樋を内蔵していないもの、7864Fは内蔵しているものです。
比較するとちがいが分かるでしょう。
主に本線用として使われていた未改造の7801形が続々と廃車となる中、
全列車が2両編成の武庫川線を走るために必要な7861形は生き残り、
現在もそのほとんどが在籍しています。
武庫川線のほか、西大阪線でも主に7801形と組んで使用されています。
ただ、武庫川線用にはせいぜい3、4本程度があれば事足り、
西大阪線は4両編成のジェットカーも走れるので、
武庫川線対応の改造を施した編成(7864F、7866F、7868F)を残して、あとは順次、5500系の増備により廃車となると思われます。
すでに7862Fが、老朽化が理由と思われる廃車の扱いを受けています。